産業廃棄物のお姫様 あやめ外伝 吉澤家での暮らし 2

2人は森本さんに会いにコンビニへ向かった。
コンビニに着くと森本さんは陳列台に品出しをしていた。

龍一はレジに立っている男性社員に話しかけに行ったのであやめは森本さんのいる所にかけ寄った。

「おばちゃん!こんにちは!」

『あらあやめちゃん!お久しぶり。髪も短くなって髪色も戻って随分可愛いくなったわね!前より随分お姉さんに見えるわぁ~。』

あやめは照れ臭くて前髪を触った。

「おばちゃん、あたしの荷物あの部屋に持って来てくれたって聞いたよ!ありがとう!」

『あやめちゃんの荷物ってスポーツバッグ1個しかなかったし瑠衣さんにお渡ししただけで全然お礼言われるようなことしてないわよ~。そう言えばお父さんに会ってからどうなったの?』

「色々あって…リュウの家で暮らすことになったの。それから隣隣接中学に通うようになりそう。あたし架空東海地区に行ってパパの新しい家族と暮らすより架空都市部に住んだ方がリュウやお母さんやおばちゃんの近くに居られるからその方がいい!知らない場所に1人で行くのは怖いもん。だからあやめこっちにずっと住むようになって嬉しい!」

『あら、じゃああの部屋にずっと住むことになったのね!今度遊びに行こうかしら?』

「いつでも来て!だっておばちゃんお母さんとお友達なんでしょ?」

『お友達だなんて…恐れ多いわ…彩菜さんは私にとって恩人なのよ。それなのに色々お願いしちゃったからますます頭が上がらなくなったわ〜。』
ほんの少し苦笑いのような表情を浮かべる森本さん。

「お友達じゃなくて恩人?」

『そう。今のアパートに引っ越す前にね色々あって…』

「じゃああたしはおばちゃんと吉澤のお母さんが恩人になるね!ママから遠ざけてくれたりパパを探してくれたり…あたしのこといっぱい助けてくれた。おばちゃんがお母さんに相談しなかったらずっと不良のままだったかも知れない…おばちゃんありがとう!」

『あやめちゃん…吉澤さんの家族は本当にいい人ばっかりだからうんと可愛がってもらうのよ!』

「うん!…時々ここのコンビニにおばちゃんに会いに来てもいい?」

『暇そうにしてたらいつでも声かけてよ。』
森本さんは笑顔で応えた。あやめもつられて笑顔になった。そして龍一のいるレジの方へ向かって行った。

龍一は男性社員と会話をしている。
あやめはレジに立ってる男の人が【松田】という名札をつけているのを見て思わず声が出た。

「まつださん…ってもしかして携帯の人?」
龍一に尋ねた。

『あぁ!そうそう。…ウチの家に住んでるけどあやめは見た事なかったっけ?』

「家では見たことないけどリュウにコンビニで捕まった時レジに居たのは知ってる…」
あやめは恥ずかしくなって下を向き小さな声で答えた。

『あぁ…あの時!いたね!この人がPHSを買ってくれた松田さんだよ。』

あやめは松田さんに近づきピンクの携帯を見せて
「松田さん…コレ…ありがとう。」
あやめは大人の男の人と話し慣れていないので恥ずかしそうにモジモジしながらお礼を言った。

『大した事してないですよ。龍一さんと携帯ショップに行って私はサインしただけですから。あやめさん、その携帯ガンガン使っても構いませんよ!料金の支払いは龍一さんなので。』

『ちょ!松田さん!』
龍一は慌てた。

「あたし友達がリュウと蓮二しかいないからなぁ…」

『中学で新しいお友達が出来たらガンガン使えばいいじゃないですか!』

『松田さん!ちょっと!何いい出すの!』
焦る龍一。

『冗談じゃないですか〜!』
笑う松田さん。

『え?あやめちゃん携帯電話持ってるの?』
急に森本さんが話に割って来た。話が聞こえてたようだ。

「うん。リュウ…松田さんに買って貰ったんだぁ。」

『よかったじゃない。何も連絡する事ないかも知れないけど私の番号教えとくわ!』
森本さんとあやめは電話番号交換をした。

『じゃ、帰るか。仕事の邪魔になるし。』

「コンビニに来たのに何も買わないで帰るの?あたしはジュース買って帰る!」
あやめはジュースをレジに持って来た。

『何も買わずに帰るお客さんなんていっぱいいるんだから気を使わなくていいのよ。』
気を遣うあやめに気を遣う森本さん。

「ううん。あたしが買いたいの。」

『わかったよ!俺も買うし一緒に払うから出して!』
龍一もジュースをレジに持ってきた。

「あやめ自分で買うよ?」

『俺はここのバイトだから安く買えるの!だから一緒に買った方がお得なの!』
龍一はジュースを2本買ってあやめとコンビニを出た。

「ありがとう。」
あやめは素直に龍一からジュースを受け取った。

それから吉澤邸に戻って来た。
普段龍一は母屋の玄関から入って3階のキッチンの前を通って彩菜に顔を合わせてから繋がっている隣のビルに入ってからエレベーターで1階まで降りてあやめの部屋に行くのだが面倒くさいので母屋には寄らずそのままあやめの住むビルの入り口を通って直接あやめの部屋に入った。

『この部屋1人暮らしの部屋みたいでいいよなぁ。俺の部屋と交換してくれよ!』

「やだ!あたしこの部屋気に入ってるもん!リュウの部屋は狭いの?」

『俺の部屋?狭くはないけど…風呂とかトイレとか部屋についてないから一々部屋から出なきゃいけないじゃん?しかも家族多いから風呂に入ろうとしたら誰かが入ってたりとか…仕方なしに下の部屋の風呂に行ったけどまた誰かが入ってたりとか。そういうわずらわしさが無いからこの部屋羨ましいなって。』

「3階だけじゃなくて1階にも2階にもお風呂があるの?一体いくつお風呂があるの?」

『離れも入れたら俺が入れる風呂は4つかな?それ以外にも別棟やあやめの部屋やこのビルに住んでる家族分もある。優おじさん一家は女が3人いるから母屋の2階の風呂は女専用になってる。1階には俺の家の風呂と大浴場があってそこは野郎専用。俺もたまに大浴場行ってる。』

「大浴場!?家に!?入ってみたい!あたしお母さんのお手伝いでお風呂の掃除もするよ!」

『ダメダメ!あそこは男風呂!掃除も住んでる奴が交代でやっるし1ヶ月に1回はちゃんと業者が来るから!あやめが手伝う事なんかないって。』

「…ねぇ。リュウの家って何で色んな人が住んでるの?」

『…聞きたい?』
嫌そうな顔であやめに問う。

「うん!」
素直に明るく答えるあやめ。

『家のデカさと家族の多さで気付いてると思ってた…ウチは昔から代々続いてる…』

トゥルルル…
内線電話が鳴った。
相手は彩菜だった。ゲームを買いに行って帰って来てもおかしくない時間なのに家に龍一がいないので直接あやめの部屋にいる様な気がしてあやめの部屋の内線に電話したら案の定龍一がいた。女の勘?母の勘?は鋭い。
すぐに母屋に帰って来いという内容だった。

『なんだよもう~。』

龍一は重い腰を浮かし母屋の玄関に戻るのが面倒だったのでビルのエレベーターを使って3階から母屋のキッチンに入って来た。

『何やってんのよアンタは!』
彩菜は怒っていた。
龍一は彩菜に母屋を介さず勝手にビルの入り口を使ってあやめの部屋に入ったっことを注意した。

『年頃の女の子の住んでる部屋に直接出入りしないの!アンタに好き勝手なことしてもらったら困るのよ!自分の立場わかってる?』

『年頃の女の子ってあやめガキじゃん。』
不貞腐れる龍一。

『私から見たらアンタだってクソガキだけどね!一般的には中学生の女の子は年頃なの!むやみに若い男が部屋を出入りするものじゃないの!わかった?行くなら母屋から行きなさい。ビルに行く時必ず見える場所に私がいるし見てるから。』

『黙ってあやめの部屋に行くなってこと?わかったよ…』
納得出来ない様子で自分の部屋に戻らず蓮二の部屋に入る龍一。
蓮二の部屋で文句を言うのだろう。

彩菜はあやめの部屋に行きあやめにも同じように注意する。

「あたし…不良と一緒に居た時ずっと同じ部屋に男も女も雑魚寝してたしベタベタしてたのが近くにいたしママと住んでる時は男とママがベタベタしていたから何も思ったことなかった…。」

『子供の頃から随分とハードな生活したてのね…。でもそれは一般的には間違ってるの。それにリュウはこの家の人間だからちゃんとルールを守ってもらわないと示しがつかないの。』

「お母さん、さっきリュウに聞いてたんだけど…この家って何をしている家なの?」

『あら。言ってなかったっけ?この家はね…昔から代々伝わるヤクザの家系なのよ。今の組長は龍一の祖父で慶さんが若頭で私がその妻。龍一と蓮二はその息子。吉澤以外の苗字以外で住んでる家族は幹部の家族。大部屋に居る子達はまだ下積みの子。家だけじゃなくて外から事務所に通ってる人もいるわ。だからウチは大家族なのよ。総勢何人いるのかしら?忘れちゃった!あはは』
あっけらかんととんでもない事実を聞かされてびっくりするあやめ。

「お父さん…本当は怖い人なの?」

『あやめちゃんが思ってるような怖いヤクザじゃなくて昔ながらのヤクザでね。警察が出動出来ないような内容の時に介入したりこの街で迷惑をかけている人を追い出したりするの。地域密着型非公式の警備隊みたいな感じ。怖そうな黒いスーツの集団じゃないでしょ?』

「うん…普通の服の人ばっかり。でも庭で1人だけ金色の龍の刺繍の白いジャージ着てる人なら見る…あの人はちょっと怖い…」

『あの子ね…下積みの子だわ。色んな人が注意してるけどあの格好するのよ。今度見たら慶さんに直接注意してもらうわ。流石に慶さんから注意されたら止めるでしょ。それとも組長直々にお灸を…』

「お母さん怖いよ…。ねぇこの家には吉澤の苗字の家族は何人いるの?あやめ8人しか知らないけど。」
あやめはまだ会ったことがない吉澤家の人数を知りたくなった。

『今いるのは組長の夫婦と組長の双子の弟夫婦。で、ウチが慶ちゃん…じゃなくて慶さんと私と龍一と蓮二。慶さんの双子の弟の優さんと奥さんの瑠衣ちゃんと娘の明菜ちゃんと秋乃ちゃんだから12人かな。組長夫婦と組長の双子の次男夫婦はまだ会ったことないわよね。母屋の裏に離れの大きな2階建ての家があるでしょ?あそこに住んでるわ。また紹介してあげる。』

「裏に家があるの知ってたけどあそこにリュウのおじいちゃんとおばあちゃんとおじいちゃんの兄弟夫婦が住んでたんだ!それで…やっぱり双子なんだね!会ってみたいなぁ。」

『何時代から始まったかわからない時代から直系長男の子供は男の子の双子が生まれるみたいなのよ。だから双子の歴史も長いらしいわ。不思議よね〜。』

「へぇ~!面白いね」
吉澤一家の正体がやっとわかった時だった。

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