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設問1)お前にサンが救えるか。
8月になり、我が学童も本格的に夏休み仕様となった。朝から晩まで元気にやってくる子どもたち。終わらない制作物、決まらない休み明けのイベント企画。
そしてその横で2期目へ突入した私の法人に、夏期スクーリングがはじまった私の大学。(一昨年から、通信制の大学で児童教育学について勉強している)
最近見る夢を夢占いで調べると、全部が全部「心身ともに疲れているサイン。今すぐ休みましょう」という結果になる。全部違う夢なのに抱えてる問題が全部一緒なのは最早ギャグ。
ギリギリで生きている中、私一人が大変だ大変だと言っているのはいかがなものかと思いながら仕事をする日々。
私の職場は、社員さん以外のスタッフがみんな私より年下。ちょっと上のお姉様もいるにはいるけど、毎日来るわけではない。
毎日出てるパートスタッフのなかで一番年上なので、同じスタッフさんの話を聞いたり相談に乗ったりもする。もちろん私が溜まった愚痴を聞いてもらうこともある。
だけど年下に愚痴をこぼすのはどうしても心苦しいし、言った後の後悔がすごい。
以前は、そんな私の話を聞いてくれるパートのお姉様がいたのだが、本職が忙しくなり昨年末に退職していった。
1月に頼れるお姉様がいなくなってから、私は仕事で困ったことがあると誰にも話すことが出来なくなった。
そりゃ業務上困ったことがあれば社員に相談するし、他のスタッフと問題を共有して一緒に解決していくから、話はする。
だけど業務中に生まれた小さなわだかまりを、誰に話せばいいか分からない。年の功から助言が欲しくても、社員さんには立場があるので回答を濁されることが多い。同じ立場のパートスタッフは年下なので、向こうが私に年の功の助言を求めてくることもしばしば。
そんな状態が続き、気付いたら夏休みがやってきて、私の心のわだかまりは消えないまま、ライフゲージをじりじりと削っていった。
「もう限界です」
昨日の夜、一緒に組んでいる社員の先生に相談したところ、地域担当マネージャーに「私の話を聞いてあげてくれ」と連絡をしてくれた。
そして今日、マネージャーが会いに来てくれた。その人は、去年1か月だけ私のいる学童に先生として在籍してくれていたお姉様。
今日も私の顔を見るなり「SHIOLI先生、元気?大丈夫じゃなさそうな顔だね」と声をかけてくれた。泣いた。
マネージャーに、お姉様が辞めてから今日まで、たまりにたまったモヤモヤを全部聞いてもらったところ、べそべそ泣きじゃくる私の手を取りこう言った。
「SHIOLI先生は、人の悩みをしょい込みすぎ。話した相手はあなたに聞いてもらって安心してるから、あなたが思ってるほど悩んでないよ」
そう言われてハッとした。
たまりにたまったモヤモヤは、私の中から生まれたものではなく、みんなの話を聞いて受け止めきれなくなったものばかり。
「私がいた頃、そのモヤモヤってなかったよね?」
「うーん・・・でも、マネージャーがいた頃は、マネージャーとあのお姉様にいっぱい話を聞いてもらってたので」
「そっかぁ、お姉様先生の存在が大きかったんだ。確かに、今は先生より年上のパートさん誰もいないもんね」
「そうっすね。お姉様は「アンタにとんできた愚痴は全部私が受け止めるから話せ!」って言ってくれてたので」
「そっかそっか。これからは私に全部話していいよ。いつでも呼んで。駆け付けるから」
マネージャーとは、学童を出てから最寄り駅まで一緒だったので、もう少しだけ話を聞いてもらった。
別れ際、マネージャーは私に
「私、ご自愛くださいっていう言葉がすごく好きなの。自分を愛するって書くでしょ?だからねSHIOLI先生、まずは自分のことだけ守って。先生の中で人に対して「ちょっと冷たすぎるかな」っていうぐらい突き放すのが、人並みのご自愛だからね」
と言って笑顔で去っていった。
私は全知全能の神でもないし、聖母マリアでもないし、終焉を止める救世主でもない。普通の人間。普通のアラサー独女。
そんな普通の奴が他人を救えるわけがなし。そもそも自分ですら救えてねぇ。ご自愛しやがれ。話はそれからだ。