文学の散歩道 (BU1J-1) 「義血侠血(滝の白糸)」(泉 鏡花) 1
■「義血侠血(滝の白糸)」(泉 鏡花)
「規範」対「人情」
◆ 「泉 鏡花」の作品
・「泉 鏡花」の作品は、数が多く、特に、「有名」なのは、
「義血侠血(滝の白糸)」(外科室・海城発電 他五篇の中に収録)
「婦系図(湯島の白梅)」。「歌行灯」。「高野聖」。「夜叉ヶ池」。「天守物語」などです。
・数ある作品の中から、「義血侠血(滝の白糸)」について書いてみます。
◆ 「義血侠血(滝の白糸)」の「あらすじ」
・ある日、馭者をしていた「村越欣弥(きんや)」に、客として乗った水芸人である「水島友(白糸)」という美しい女性に出会います。 その後、会社を首になった「村越」と、また「再会」します。
そのとき、「白糸」が、これからどうする?と問うと、「村越」は「法律」の修業をしたいが「金」がないという。
「白糸」は、「村越」の話しを聞いて、「学費の援助」を申し出、「村越」はそれを受け入れ東京へ学問の修業にのぼります。
・数年の時が流れます。 あるとき「白糸」は、「学費の援助金」に難儀し、100円を借金して工面しますが、出刃の強盗に奪われてしまいます。
途方にくれた「白糸」は、強盗の落としていった出刃で、金のありそうな家に強盗に入り、その家の夫婦を殺してしまいます。
・場面は変わり、「白糸」はその件の容疑で捕まっていました。 そして、その裁判には、偶然あの「村越」が、学業を終えて、「検事代理」として参加していました。
「白糸」は当初、認否していましたが、「立派」になった「村越」の姿に感銘し、ついに「自白」します。
「村越」は、「大恩人」である「白糸」を、「私情」を挟まず、「検事」として「立派」に「罪は罪」として、法にのっとって断罪しました。 その結果、「白糸」は「死刑宣告」の判決がくだされます。
しかし、その夕方、「村越」は「自殺」してしまうのでした・・・。
(次回に続く。 次回はポイント解説です)