塩川 寧々

読んだり書いたり描いたり 星屑が輝き出す夜に、短いイラストエッセイを投稿します。

塩川 寧々

読んだり書いたり描いたり 星屑が輝き出す夜に、短いイラストエッセイを投稿します。

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自己紹介 はじめてnote

皆さま、はじめまして。塩川寧々です。 新しい居場所を見つける旅に出たいと思い、 noteという世界へやって来ました。 幼少期に受けた愛のない家族からの暴力で 両耳の聴覚を半分失い、話す言葉よりも文字の言葉で この世の正解や理解を求めてきました。 全く聞こえない訳ではありませんが 上手く聞き取れないことが多々あり、 字幕をつけたり、新聞を読んだりして 常に活字から情報を得る生活を送っています。 読んだり・書いたり・描いたり と静寂な中で生きている私ですが、 そんな私が綴る

    • 【イラストエッセイ】 友人の言葉

      私は昔から 物事を長く続けられない性格で 新しく何かを始めても すぐに飽きて すぐに投げ出してしまう癖がある SNSとかは特に そんな気持ちに陥りやすくて 粘り強く続けられない そんな話を いつもの喫茶店で友人としていたら 「別にSNS続けられなくたって 毎日、生きることは続けられてるんだから 気にしなくてよくない?」 なんてアッサリ言われて 思わず珈琲をプッと吹き出して 笑ってしまった 「こんな急速に移り変わっていく時代で ずっとおんなじ事やってる方が可笑しい」 と お

      • 【イラストエッセイ】 復活

        ゴッホゴホの咳が ようやく落ち着き 少女のような声はどこかへ消え失せ 大好きなプリンをしこたま食べて 元の『私』に戻った 今日はハロウィン 仮装とかして楽しみたい気持ちは あるけれど そんな歳でもないし 家で大人しく南瓜料理でも いただくとしよう ご心配してくださった皆さま ありがとうございました。 皆さまの温かいお心遣いに 励まされる思いでございました。 また少しずつですが こちらのアカウント 稼働してまいりたいと思います。 またお気軽にコメントなどいただけたら 嬉しい

        • 【イラストエッセイ】 風邪

          嘘でしょってぐらい 急に冷えてきたから クローゼットから薄手のコートを 無理くり引っ張り出して 買い物へ行ってきた 今年の冬は 何の知らせも教えてくれず 細菌を引き連れて 突然やってくるのかもしれない 喉と鼻をまんまとやられ 少女に戻ったようなかわいい鼻声になった 今なら昔の浜崎あゆみの歌が 歌えるかもしれない 天井から吊るされた青のモビールによって 風邪のひき始めコーナーが 眩しいぐらいギラギラしていた そんなお店の戦略に引っかかりながら 龍角散のど飴(青)をとりあえ

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        自己紹介 はじめてnote

          【イラストエッセイ】 鍋

          秋の味覚が恋しくなってきた 久しぶりに 野菜と鶏肉をたっぷり煮込んだ ちゃんこ鍋を作ろうと思い 鍋を出したら 白い白菜みたいな猫が鍋に入って ミャーと鳴いていた 君の居場所をとって申し訳ないのだけど 返してくれないか そう思いながら ツンツンしてみるのだけど この白菜はちっとも鍋を返そうとしない 確かに お気に入りの居場所を見つけたら 人間だって 留まっていたいし離れたくなくなる 気持ちはとてもよく分かるんだけど 『ずっとそこにいる』 という事はできないのだよ と目

          【イラストエッセイ】 鍋

          【イラストエッセイ】 読書

          久しぶりに サイン入りの文芸本を買った カツセマサヒコ先生の 『わたしたちは、海』 ここ数年 古代中国の中華ファンタジー ばかり読み漁っていて 馴染みのない発音や 登場人物の名前(姓・名・字・号) を全て覚えられるぐらい 異世界に飛び込んでいるせいか 身近に転がっていそうな温かく切ないこの物語に 海でぷかぷかと浮かぶような心地になった 私たちの人生も さざなみにかき消されていくかのように 生まれては消えていく 新しいものに出会うと見せかけて また同じものと出会ってしまっ

          【イラストエッセイ】 読書

          【イラストエッセイ】 雨

          ここ数日、ずっと雨ばかりで 乾燥機が永遠と回り続けていた カラッとすぐに乾く暑い季節が ほんの少しだけ恋しくなった 傘の上で雨粒が踊り始めると 私の髪も横にうねりながら踊り出す 不自然に広がって艶をなくし 寝起きのように右側だけがはねる 雨粒がベランダに入ってくると 私の頭の中にもジワジワと入り込んで 豆まきのように 頭痛を撒き散らしていく 雨はそうやって 私に小さなイタズラを仕掛けてくる 大人しくしてろと言わんばかりに (体調が悪く、しばらく布団に身を委ねていました

          【イラストエッセイ】 雨

          【イラストエッセイ】 忘れられない言葉

          『人の才能や持っているものを 無闇やたらに欲しがってはいけないよ』 大人になる途中で見つけた 忘れられない言葉。 昔からどこか人の持っているものに 惹かれてしまう癖があって どんなけ欲しがっても 手が届くことはなくて いつも 自分の手にしているものが 貧相に見えて仕方がなかった 人の輝かしい才能を羨んでは 自分を蔑み 自信や目標を途中で投げ出して また路頭に迷う そんな情けない人生を歩んでしまっていた 今も時々 狼のように勢いよく この感情が襲いかかってくるけれど そ

          【イラストエッセイ】 忘れられない言葉

          Monthly Letter 2 (2024.9)

          皆さまこんばんは おはようございます、こんにちは。 今回は いつも変わらずお付き合いくださる皆さまへ 「夜明け」若しくは「日暮れ」 皆さまのお心次第でどちらとも受けとれる 風景画を置いておきます。 皆さまの目に映る景色が 美しいものでありますように… さて、 涼しくなってまいりましたね。 少しだけ秋の足音が聞こえてくるようです。 皆さまのお住まいの地域にも 秋は近づいておりますか? 食欲の秋 栗ご飯を炊いて 秋刀魚を焼いておろし醤油でいただく 読書の秋 溜め込んだ積読

          Monthly Letter 2 (2024.9)

          【イラストエッセイ】 背徳感な日曜日

          日曜日だけれど なぁんにもしたくない日 そんな日は 窓際に置いてあるベッドの上で だらしなく仰向けになって 水色を背景にして流れていく雲たちを ぼんやりと眺めてみる 雲はゆっくり動いているようで 一般道路を走る車とあまり変わらない そう思うと先を越されていくようで 何だかゆっくりもしてられない 気持ちに駆られる そこで 休憩時間の終了合図を知らせるかのように 洗濯機の完了メロディーが鳴った 隣で寝ている猫を起こさないよう そっとベッドから身を起こす ベランダに出て雲を

          【イラストエッセイ】 背徳感な日曜日

          【イラストエッセイ】 レモネード

          甘酸っぱい今日の昼下がり。 生気のない顔をして 瓶ごと贅沢にレモネードを啜ってみる。 仕事をやり終えた。 だけれど気持ちは消化不良。 太田胃酸だけではどうも難しそうだ。 「最短で良いものをお願いします」 そんな無茶をたまに言われるのだが 頭を無理くり捻り返しても 良いものはそう簡単には生まれない。 出産がいい例だ。 長い月日をかけて お腹の中でゆっくり温めて育んできた 何物にも変え難い命を 何時間も何時間ももがき苦しみ 血と汗と涙を流して この世に誕生させる。 純粋無垢で

          【イラストエッセイ】 レモネード

          【イラストエッセイ】 粉末スープ

          カップ麺の中に入っている 粉末スープを 私は一度も上手く開けられたことがない。 「どこからでも開けられます」 と親切に書かれてあるにも関わらずだ。 力の入れ方が昔から不器用で 小麦粉、片栗粉などの粉物も すぐにブワッとこぼしてしまう。 そんな日常生活の不器用さは 木の枝のように内側にも伸びていて  人との関わり方も不器用だ。 話すことに分厚い壁を感じてしまい 愛情だけを一方的に残して 何も言わず静かに消えようとしてしまう。 何事にも存在する親切というものを 上手く受け取

          【イラストエッセイ】 粉末スープ

          【イラストエッセイ】 増やそう

          大切でもない人を憎む時間があるなら 大切な人と愛し合う時間を増やそう くだらないものを見る時間があるなら 面白いものを知る時間を増やそう 迷い続けている時間があるなら 進み続けられる時間を増やそう 外見ばかり気にする時間があるなら 自分らしくいられる時間を増やそう 下ばかり向いている時間があるなら 上を向いてチャンスを掴む時間を増やそう そうやって 正の数を増やしていこう

          【イラストエッセイ】 増やそう

          【イラストエッセイ】 女神

          耳の定期検診に行った時のこと。 耳鼻科の待合室で俯いて本を読んでいたら ある年配のご夫婦が空いている席を探して フラフラされていた。 それに気づき お席をお譲りしようかと本を閉じた瞬間 一番端に座っていた ショートヘアの綺麗な女性がふと立ち上がり 「どうぞ、よろしければこちらで お二人並んでお座りください。 私は向かいの席に座るので」と とっても素敵な笑顔を見せて ご夫婦に話されていた。 私の仕草にも気づいていたようで 会話は無かったけれど 透き通った綺麗な手のひらを私に

          【イラストエッセイ】 女神

          【イラストエッセイ】 プリン

          明日死のうと思ってから 気づいたらもう何年も生きてる。 こうして大好きなプリンを 猫に取られそうになりながら。 「何で私はこんなにも上手く生きられないんだろう」 昔の私はよくそんな事を考えていた。 それを色んな人に話したら 「私も」「わたしも」「僕も」と 同じ気持ちをを抱いている人たちが たくさんいることに気づいた。 上手く生きられない理由は 多種多様に存在するけれど 息の根を止めたいと思うほど 何がそうも自分を苦しめるのか よく自問自答を繰り返していた。 今の世の中は

          【イラストエッセイ】 プリン

          【イラストエッセイ】 東京

          空高く一番星のように 東京スカイツリーが光っていた 米所の稲に囲まれて暮らす私は 高い建物をあまり見る機会がなくて 何だか出口のない大きな迷路に 迷い込んでしまったのではないかと 錯覚を起こした 屹立している高層ビルの犇き具合を 首都高の渋滞に巻き込まれながら眺め 季節外れのイルミネーションを見るかのように 東京の夜景をほんの少し肌で感じてみた 長方形に伸びた超高層マンションから 漏れるオレンジ色の光たち 私とはかけ離れた暮らしを営んでいる 人たちがそこにはいるのだろう

          【イラストエッセイ】 東京