令和の虎591人目 一級建築士試験対策のYouTubeを運営し人手不足解消に貢献したい レポート

1.動画概要

 大手ゼネコン勤務・すっちー(25)による「一級建築士試験対策のYouTubeチャンネルを運営して、建築関係者のスキル工場、人手不足解消に貢献したい」希望金額100万中、160万円でEXCEED。

・今回の虎

 竹内亢一(株式会社Suneight 代表取締役)
 桐原隆(RAM Homes Allied Service Inc.  代表)
 遠藤悠記(株式会社えん 代表)
 茂木哲也(株式会社ピナイ・インターナショナル 代表)
 林尚弘(株式会社癒し~ぷ 代表 株式会社FCチャンネル 代表取締役)

・司会

 雫石将克(フリーアナウンサー)

2.動画考察

・志願者の経歴から見るポテンシャル

 志願者は大学の建築学科で7年間建築を学び、卒業後、大手ゼネコンに就職。就職から現在3年目を迎えている。プライベートではYouTubeで二級建築士の構造力学に特化した講義動画を配信している。チャンネル登録者数は1万人弱である。
 建設業界では「2024年問題」により、人手不足や若手技術者の減少が懸念されている。このような背景から志願者は、YouTubeで資格取得を目指す技術者向けの講義動画を配信し、業界のPRと技術力向上に貢献しようとしている。
 志願者自身も建築学を学ぶ中で、YouTubeの講義動画に助けられた経験がある。独学での学習に苦労したことから、同じような環境にいる若手技術者に対して「建築を学んでよかった」と思えるような支援を提供したいと考えている。
 なお志願者は既婚であり、20歳の妻と2人の子どもがいる。大手ゼネコンに勤務しているため一定の年収は確保されているが、生活費に余裕がなく、YouTubeチャンネルの運営資金を自己資金で賄うことが難しい状況にある。そのため、チャンネルの継続的な運営と事業拡大を目的として「令和の虎」に応募し支援を求めている。

・志願内容と、その評価

 本プランは「自身のYouTubeチャンネルに、一級建築士の試験対策動画を新たに掲載することで、広告収益を稼ぐ」という内容で、希望出資形態は融資、希望金額は100万円。資金はYouTubeチャンネルの運営費用や動画編集費用に充てる。
 現在運営しているチャンネルでは、23本の動画が継続的に再生されており、今後は月5本のペースで投稿を増やし、広告収益を4~5万円程度まで伸ばすことを見込んでいる。
 返済計画としては、100万円を借り入れ、2026年7月まで月々42,000円を出資者から振り込んでもらい、2026年8月から返済を開始する。2028年7月には最終返済額を112,500円として完済する計画である。収益は広告収入のみ。
 本プランについて、YouTubeの広告収益のみで安定した収入を確保し、返済を続けることは難しいと判断された。視聴回数や広告単価に大きく左右され、不確実性が高いためである。一方で、2024年問題に向き合う事業の方向性には一定の評価があった。

・志願者の人間性

 志願者は当初、会社を続けながら虎から資金を借り、安全に事業を進めようと考えていた。勤務先は副業を禁止しており、志願者の活動は「グレーゾーン」と認識されている。事業が拡大し、公に知られるようになれば、副業禁止の規定に抵触するとして、会社から辞職を求められる可能性が高い。
 この状況を受け、虎たちは志願者の姿勢を確認するため「安定した収入を維持したいなら、本プランは諦めて会社に残るべきだ」「事業に本気で取り組むなら、会社を辞めるべきではないか」と問いかけた。特に、茂木氏は「妻子がいる中で、安定した収入を得られるゼネコン勤務を手放すべきではない」と指摘し、会社に残る選択を支持した。一方で、竹内氏は「中途半端な姿勢では事業の成功は難しい」と述べ、会社を辞めて事業に専念するべきだと主張し、意見が分かれた。
 志願者は当初、安定を確保しながら事業を進めるつもりだったが、虎たちからの指摘を受け、事業と会社の両立が困難であることを理解した。最終的には、事業に専念する覚悟を決め、会社を辞める意志を示した。この決断を受け、竹内氏、桐原氏、遠藤氏が融資を表明した。

3.まとめ

 志願者の覚悟を認めた竹内氏が70万円、遠藤氏が60万円、桐原氏が30万円の融資を表明し、合計160万円の資金が集まった。目標額を超える資金調達に成功し、EXCEEDの権利を得た志願者は、竹内氏から40万円、遠藤氏と桐原氏からそれぞれ30万円を受け取った。
 この結果は、計画の合理性だけでなく「ビジネスに対する覚悟が出資の判断基準となる」ことを示していると考えられる。安全策を取り続ける姿勢では、事業の成功も安定も得られないと見られる現実が、この動画を通じて浮き彫りとなった。


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