透析患者の戦い

保存期の腎不全患者と透析導入後の患者、食生活に違いがあります。

保存期は低たんぱく厳守

保存期は残っている腎機能をなるべく長持ちさせるため、腎臓に負担がかかるたんぱく質の摂取をなるべく抑える「低たんぱく食」が必要です。もちろん、血圧も高くなりやすいので、減塩も必要です。減塩低たんぱくでカロリーは維持しなければいけないので、空揚げなどの油料理が多くなります。尿量は十分にあるので、水分の摂取はそれほど制限されません。

透析導入後は水やカリウム、リンとの戦い

透析を導入すると、尿量が減ってきますので、水分の摂取量が制限されます。また、尿で排泄されていたカリウムなどが体内に蓄積するので、摂取を抑える必要があります。そのほか、リンが体内に多くなるとリンがカルシウムと結合してしまうので、血中カルシウム濃度が低下し、それを解消するためにPTHというホルモンを増やして骨を溶かし始めてしまいます。ですから、食事でのリン摂取を抑えるため、リンの吸着剤を服用することになります。カリウムが体内で増えると、全身の痙攣や心停止の恐れがあります。ですから、必要に応じてカリウムも吸着剤が処方されることがあります。

カリウムが多い食物として、私が失敗したのは「焼き芋」です。焼き芋ってカリウムがかなり多いんです。それを気にせずバクバク食べちゃって、血中カリウムが7を超えて透析クリニックから電話がかかってきてしまいました。たまたま血液検査があったからわかったのですが、血液検査をしない時期だったら、知らずに心停止していたかもしれません。

血中カリウムが増えた時には、「カリメートなどの吸着剤で摂取を抑えないと低くできない」そうです。透析である程度はカリウムを除去できるのですが、通常の食事でもカリウムが増えるので、ベースを下げることができないからです。

透析導入後はたんぱくの制限がなくなります。腎臓はすでに壊れているので、温存の意味がないからです。なお、減塩は続けます。

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