『まちやぐゎー』はSNSをはるかに超えるコミュニティリーダーだった。『まちやぐゎー』が減っていく社会的損失とは?
ビジネスプロデューサーの
新里(しんざと)です。
『まちやぐゎー』という言葉を
ご存じでしょうか?
沖縄の方言なんですが、
方言辞典によると
小売店、雑貨店、駄菓子屋
と書かれています。
ようは町にある小さな商店の事。
【今も残るあのワクワク感】
『まちやぐゎー』はたいていの場合、
自宅の一角をお店にしていて、
その家のあばぁが店番をしている。
僕も小さい頃、
こづかいをもらって、
『まちやぐゎー』に行くのが
本当に楽しみだった。
100円玉を握りしめて
何を買おうかと迷っている
時のワクワク感は
今も忘れられない。
【『まちやぐゎー』が子育てをしていた】
そんな『まちやぐゎー』が
どんどん減っている。
コンビニが登場し
あちらこちらに出店するようになった。
当然、『まちやぐゎー』は
ビジネス的に太刀打ちできない。
もちろん、おばぁの高齢化、
『まちやぐゎー』の後継ぎ、
新規出店は現実的に難しいので
その数が減っていくのは当たり前と
言えば当たり前の話かもしれない。
ただ、ここにきて、
いろいろと思うところがある。
当時は『まちやぐゎー』に行くのが
本当に楽しみだったが、
今、考えてみれば、
『まちやぐゎー』は
地域に対して、大きな役割を
もっていた事が分かった。
まず、『まちやぐゎー』の
おばぁとのコミュニケーション。
おばぁは地域の子ども達の事を
ほとんど把握している。
どこの子の長男であるなど
こと細かに知っている。
時には叱られたり、
褒められたりもする。
大きなお金を持っていたりすると
売ってくれなかったりもした。
おばぁにいろいろと
教えてもらっていた。
お金を持っていなくても
そこに行けば「おばぁ」
と話が出来る。
安心できる場所でもあり、
逃げ道でもあったのだ。
もちろん、おばぁは
親たちの事も知っているので
子どもに何か異変があったりすると
連絡がいく。
そこで、どう対応していこうか
という作戦会議なるものが
行われる。
また、子どもに何かあれば、
そこは一転、避難所の役目を担う。
僕自身、不良に追いかけられた時は
『まちやぐゎー』に逃げ込んで、
親に迎えに来てもらった事が
何度かあった。
文字通り、地域が連携して
子ども達を守り、育てていた。
【『まちやぐゎー』は地域の情報網】
『まちやぐゎー』は
単なる日常生活用品を
購入するという役目を果たす
という域をはるかに
超えた立場にいた。
買い物に行って、
目的のモノを買って
すぐに帰る事もあるが、
時には、長く立ち話をする事もある。
そこで地域の人と仲良くなったり、
情報を得たものだ。
基本、地域の人は皆、同じ
『まちやぐゎー』で買い物をするので
買い物の時間は違えど、
1か所に集まっていた。
新たに引っ越して来た人も
買い物にさえ行っていれば
『まちやぐゎー』のおばぁと
知り合いになり、
やがて、おばぁを通して、
地域に溶け込んでいった。
今、考えてみると
『SNS』よりもはるかに
凄いコミュニティのように思う。
僕の実家の近くにあった、
『まちやぐゎー』のおばぁは
いつも割烹着のような
白いエプロンを着ていて、
そのポケットにはたくさんの
小銭が入っていた。
買い物客がお金を払うと
瞬時にそれを計算して
ポケットの中の小銭から
手際よく、おつりを渡していた。
その姿は子どもながらに
凄いと毎回、思っていたし、
憧れてもいた。
今、思えば、おばぁは
地域の子育ての相談役も
していたような気がする。
コンビニが増えて、
とても便利になった事は
有難い事だし、素晴らしい事。
ただ、
『まちやぐゎー』が減っていくのは
地域のコミュニティシステム、
子どもを育てる環境が減っていく事。
そういった意味では社会的な損失は大きい。
それが減ってきた事で
行政や地域の方々が
補うような環境整備に一生懸命に
活動してくれている。
『まちやぐゎー』が復活すれば
いろんな問題が解決するかもしれない。
そんな単純な話ではないかも
しれないし、
実際、現実的ではないかも
しれない。
時代に合わないと言える
かもしれない。
ただ、『まちやぐゎー』はある意味、
SNSをはるかに超える
コミュニティリーダーだった事は
間違いない。
そこから学ぶ事はたくさんあると思う。
自然にあった環境が
なくなって、
それを頑張ってつくらないと
いけない状況にいつの間にか
なってしまった。
『まちやぐゎー』のおばぁの
話を聞きたくなってきたので
近く、『まちやぐゎー』めぐりでも
やろうと思う。
あなたの近くにもし、
『まちやぐゎー』があれば、
ぜひ、立ち寄ってみてください。
あと、数年したら
完全になくなってしまうかもしれません。
最後までお読みになって頂き、
ありがとうございます。
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