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黒いご当地マグネット
黒いモチーフを描いたマグネット。
単に黒色が多く使われたデザインのマグネット。
その他なんらか黒にまつわるマグネット。
つらつらご紹介していきます。
松本城
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現存12天守のうちの国宝5城に数えられる、松本城のマグネットです。黒いお城はいくつかありますが、黒漆が塗られている現存天守はこの松本城だけです。別名も黒色にちなんで「烏城(カラスじょう)」
なんでも、豊臣秀吉の時代には黒い城が好まれ、徳川家康の時代になってからは白い城が好まれたそうです。白い城の代表格は姫路城(別名は「白鷺城」)ですね。
豊臣秀吉:
・まだ戦乱の世であり闇に紛れることが大事
・耐水、断熱、防腐を重視して酸・アルカリ、塩分に強い漆が使われた
・秀吉は金ピカ好きだったので背景として黒が映える
徳川家康:
・天下泰平の世で膨張色で大きく見せることが大事
・秀吉が黒い城を作ったのでその反対で白い城にした
・この時代に耐火性のある白い漆喰を使う建築技術が進展した
などという説がありますが、どうなんでしょう。
大相撲
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これは単にバックが黒いというだけの話ですが、そういえば国技館の大相撲の風景はバックが暗いものが多いです。土俵上の力士の勇姿を際立たせるためスポット以外の照明は暗くしているから。
黒船
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下田に訪れたペリー提督の黒船マグネットです。黒い理由は、木造船体の防水や腐食防止でコールタール塗料が使われていたから。コールタールは石炭を蒸し焼きにして得られるドロドロの黒い液体。もともとイギリスの船で使われ始めたのが広まったそうです。
べつに、来航して日本人をビビらすために黒く塗ったわけではないそうですが威圧効果は抜群でした。
黒豚
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肉ではなく肌が黒い豚なので黒豚。日本では「黒豚」は、1999年食肉小売品質基準で「バークシャー純粋種の豚肉」と定められています。
昔の日本には基本的に畜肉を食べる習慣はありませんでしたが、薩摩国には鶏や豚を「歩く野菜」と呼んで食べる習慣が16世紀すでにあったそうで、畜産が行われていました。1900年ごろ、「かごしま黒豚の父」とも呼ばれる園田兵助氏が、台風に強いサツマイモや、漁師町で入手し易い魚のアラを餌にした養豚業を根付かせました。
高度経済成長時代になると全国的に大型でコスパの良い白豚が流行して小型の黒豚は下火になりますが、1970年代に鹿児島県で「黒豚を残すか?白豚を導入するか?」の大論争が何年も繰り広げられた結果、最後に県知事の金丸三郎が「黒豚は鹿児島の宝。だから黒豚は残す」と決断したそうです。黒豚が脚光を浴びたのはバブル期のグルメブームで、その後も黒豚は躍進を続け、一時3%まで落ち込んでいた黒豚比率が2005年には38%にまで増加しました。
梅田スカイビル
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この梅田スカイビルの公式マグネットは、昼バージョンと夜バージョンがあり、夜バージョンが真っ黒け。
黒たまご
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箱根の大涌谷名物、黒たまごのマグネットです。源泉から出てくる硫化水素という毒ガスと、たまごの殻に含まれる鉄分が反応し、硫化鉄という黒い物質を形成して黒い見た目になります。硫化鉄になってしまえば別に毒ではありませんが、そもそもたまごの殻は食べません。
忍者の黒装束
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確か以前に別の記事でも書きましたが、戦国時代の忍者がいわゆる忍者っぽい黒装束を着ていたというのは創作。史実として初めて黒装束忍者が登場するのは18世紀の歌舞伎や浄瑠璃。そんな研究結果が2023年三重大学の研究者によって発表されたそうです。なんなら、女忍者のくノ一や、手裏剣も後世の創作。
そもそも諜報活動するのに、いかにも「忍者でございます」と判ってしまうようなユニフォームを着ているわけはありませんね。うすうす分かってはいましたがちょっと残念な気も。
ヒグマ
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ヒグマは、個体差にもよるそうですが、本来は黒というより茶色。ただ北海道特産の木彫りのクマは黒色です。
函館夜景
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函館夜景の、闇の部分が黒いマグネット。
くまモンと熊本城
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くまモンはキャラクターモチーフとして黒いクマです。熊本県ではクマは絶滅しております。
もう1つは、松本城と並んで天守が黒い城の代表である熊本城。ただし熊本城は1874年に廃城令で廃城後、野晒しされていた1877年に焼失。現在の天守は1960年にコンクリートで外観復元されたものです。
ダブルで黒いマグネット。
ピアノ
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楽器の町、浜松の楽器博物館の公式マグネットです。黒いピアノの上に白い猫が乗っています。
ピアノといえば黒ですが、なぜ黒いのか今まで考えたことがありませんでした。実は「低コストだから」だそうです。
50年前は黒いピアノを作ろうとすると、塗装の手間の分で高くついたそうで、そこで黒ピアノ=高級品というイメージがまず定着しました。
その後、時間のかかる木材乾燥工程(10~20年)が、技術の進化でどんどん短縮され乾燥木材が安く調達できるようになります。安い木材でピアノを作る際、いちいち木目の繋ぎを合わせるよりも、木目を気にせず組み立てて上から黒色でベタ塗りしてしまう方がかえって手っ取く、高級イメージも維持できるので、黒ピアノが定着したのだとか。へぇ。
ビビンバ
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単に背景が黒いだけのマグネット。
ニューヨーク夜景
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函館夜景マグネット同様、闇だから黒背景。
キングコング
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同じくニューヨークのご当地マグネットですが、こちらは小型キングコングが黒。もちろんキングコングが黒っぽいのは、モデルのゴリラが黒いからですが、なぜゴリラという動物が黒いのかは正確にはわかっていないそうです。
シロクマ 雪原に紛れやすいから白が生き残った
魚の上部 上空の鳥から見え難い背の青い魚が生き残った
シマウマ 草原に紛れ易い縦縞の馬が生き残った
みたいなことと同じように、ジャングルの密林では黒い方が生存に有利だったのかもしれません。強い紫外線からの防御のためメラニンが濃くなったという説も、もっともらしい。
囚人服
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サンフランシスコの元監獄島「アルカトラズ」のマグネットですが、囚人服といえばこのマグネットのように白黒のボーダー柄。現地のお土産Tシャツなども、この囚人服柄のものが売られています。
囚人服=白黒ボーダーを採用したのは1815年イギリスのニューゲート刑務所。もともとヨーロッパには宗教的に2色以上の服を忌み嫌う考え方があったらしく、世界的に白黒ボーダーが囚人服イメージとして定着しました。しかしその後ボーダー柄は、星条旗や革命当時のフランス国旗でイメージが次第に良くなり、ファッションブランド「セントジェームス」や「シャネル」が自由の象徴としてボーダー服を流行させたそうです。
ただ、有名な脱獄映画「アルカトラズからの脱出」では、クリント・イーストウッドら囚人は、白黒ボーダーではなく水色の作業服のような服装をしていました。
アバーヤ
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イスラム圏女性の衣装、黒のアバーヤです。ただし元来各地域のイスラム女性の伝統的な民族衣装はカラフルで華やかなものが多く、近現代になってからイスラーム主義運動に伴って黒い衣装が普及したのだそうです。マグネットに描かれたこの女性は、雰囲気はポップながら服装は守旧的。
大黒天
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宝船に乗った七福神のうち、いちばん右のオレンジ色で打ち出の小槌を持っているのが福の神、大黒天です。黒くないのになぜ大「黒」天なのか。
今でこそ笑っていますが、元来はヒンドゥ教やチベット仏教の、死を司る軍神マハーカーラ。マハーが「偉大な」。カーラが「暗黒」。偉大なる暗黒の神。日本では天台宗開祖の最澄により仏教神「大黒天」として寺に祀られ、ご利益がお金と出世に変化して日本で広まりました。
アムステルダム市の紋章
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アムステルダム市の紋章マグネットで、背景が黒。紋章のデザインとして背景が黒に決められているわけではないようですが、やはり金色は黒バックがいちばん映える。
豊臣秀吉さんも納得。