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「英語になった日本語」のマグネット

カラオケ、テリヤキ、ゲイシャ、スキヤキ…など、日本特有の文化や風習や名物が海外に伝わり、そのまま英語になった例は多くあります。海外に言葉が伝わるのは、「これぞ日本」という性質を持っているからであり、必然的に日本ご当地マグネットのモチーフにもなりがちだったりするわけです。本記事では、そんな「英語になった日本語」のマグネットを一挙紹介してみます。

ざっと20以上ありました。

食べ物

sushi

寿司はもはや、「英語でなんて言うんだっけ?」って考えることが無いほどsushiで通じることを、日本人誰でも知っていますね。sushiの説明は、
traditional Japanese dish consisting of vinegared rice topped with various ingredients, such as seafood, vegetables, or egg. (酢飯の上に様々な具材……魚介類、野菜、卵など……を乗せた日本の伝統料理)


ramen

もともと海外に知られていたのが、今世紀に入ってからアメリカなどでラーメンは一段とメジャーになり、今なおそのブームは続いています。海外でも美味しくないラーメン屋はちゃんと潰れるそうです。なお新横浜ラーメン博物館では、
 米ハリウッド:IKEMEN HOLLYWOOD
 米ニューヨーク:YUJI RAMEN
 加トロント:RYUS NOODLE BAR
 伊ミラノ:カーザルカ
 独フランクフルト:無垢ツヴァイテ
など、海外の有名ラーメン店をたびたび逆輸入出店しています。



bento

海外で日本の弁当文化が爆発的に知れ渡ったのは2010年頃フランスから。日本アニメや漫画が大好きなフランス人が、登場人物たちが学校で楽しく弁当を食べているのを見て興味を持ったことがきっかけだそうです。アニメ強し。SNS等でキャラ弁が知られるようになったのも理由かと。日本を訪れた観光客には、ハイクオリティなコンビニ弁当や駅弁も大評判。
なおkyaraben, ekibenは英語版wikipediaの見出し語にもなっています。


soba

ラーメン(ramen)やうどん(udon)と並び、蕎麦はsobaという英語になり、辞書に掲載されています。もともとパスタ等の麺類は世界にありますし、素材としてのソバはロシアやウクライナ等で日本よりたくさん消費されています。
日本の蕎麦は、しばしば食べるときの作法(=音をたててすする)が国際議論を巻き起こします。
 諸外国:音をたてるのは最悪のマナー違反
 日本:音をたててすするのが伝統的マナー

まあその場その場で、上手くやってください。


職業

shogun

ジェームズ・クラベルの小説「SHOGUN」が1980年アメリカのNBCでドラマ化されたのが、国際的単語になったきっかけでしょう。2024年にはディズニーが配信しエミー賞18部門を受賞したドラマシリーズ「SHOGUN」も有名になりました。真田広之さんが主演・プロデューサーを務め、海外の間違った日本観を徹底的に排除して製作したことで話題となりました。


salaryman

ramen屋台のマグネットでもあるのですが、向こうを向いているのは日本のサラリーマン=salaryman。元来businessman、office worker、employeeといったそれらしい英単語もちゃんとありますが、「高度経済成長時代の企業戦士」あるいは「仕事でややくたびれた会社勤めのお父さん」という日本特有のニュアンスを含ませるため、敢えて英語化されたのではないかと。

…ところでこの方は、波平さん?
サザエさん豆知識ですが、波平さんは印象よりずっと若く54歳です。当時、55歳定年制が主流だったので、必然的にそれ未満という設定。


ninja, ronin

左のninjaも、右のroninも、いずれも英語で通じるようです。1998年に公開されたアメリカ映画「Ronin」は、主君を失った侍の時代劇ではなく、東西冷戦終結で存在価値を失ったスパイや特殊工作員描いており、彼らを日本の浪人になぞらえてタイトルが付けられました。
ちなみに日本独特の教育システムの中で存在する受験浪人も、roninで通じるとか通じないとか。


kunoichi

忍者=ninjaが海外で定着しているなら、それに付随して女忍者⇒くノ一⇒kunoichiも定着して不思議ではない。輸出アニメの影響もあるでしょう。


samurai

侍、samurai。
職業のラストはサムライで。


文化

sumo

相撲は日本固有の神事ですから当然日本語が英語化されています。(モンゴル相撲=ブフはありますが。)フランスのシラク元大統領が相撲の大ファンでした。力士は英語でスモウ・レスラー(sumo wrestler)、土俵はスモウ・リング(sumo ring)です。


shogi

囲碁が国際化しているのに比べて、将棋の国際化があまり進んでいないのは、「西洋にはもともとチェスがある」「駒の漢字がルール習得の障壁」などの理由がありそうですが、英語でもshogiは一応通じる模様。というか、Japanese chessと呼ばれるのもなんだか違和感。将棋もチェスも古代インドのゲーム「チャトランガchaturaṅga」(の2人制ルール)が起源です。


ukiyoe

ukiyoeは、江戸時代に輸出用のクッション材に使われていた葛飾北斎の版画「北斎漫画」に西洋人が衝撃を受けたという話が有名で、さらに1867年のパリ万博で世界に紹介されて広まった日本の芸術。


rickshaw

東京スカイツリー公式マグネットの左下に描かれた人力車。英語では古くからrickshaw(リクショゥ)として定着しています。自転車が曳くタイプはcycle rickshaw。
たしかに(jin-)rikishaより、rickshawの方が海外の人は発音し易そうですが、勝手にスペリングされたわけではありません。言葉だけでなく人力車の実物が日本の発明品としてアジア諸国に輸出されてそう名付けられました。インドのコルカタ(カルカッタ)では1919年に公式な交通手段として認証もされています。


bonsai

盆栽=bonsaiも海外でブーム。小さな鉢の中に松などの植物で作るミニチュア芸術趣味として中国や南欧でファンが増えているとか。松(これもmatsuで通じる)を育成するのに適切な気候であることも普及の鍵。


anime

animationはそもそも英語ですが、それが日本でアニメという外来語になり、逆輸出されて今やanimeといえば世界的に日本アニメのこと。マジンガーZのマグネットをご紹介する機会ができました。なお、漫画=mangaも今や世界共通の日本発単語のようです。


kimono, obi

kimonoやobiは定番中の定番。帯の方は、kimono sashやkimono beltの方が伝わるそうですが。

観光

fuji, sakura

富士山は、Mt. Fujiでも、Fujiyamaでも、Fujisanでも通じる模様です。サクラは植物としてcherry blossomsですが、特に「特に日本観光で観られる春満開のソメイヨシノの風景」を表現する文脈ではsakuraになります。


torii

toriiについては、日本に観光で訪れた外国人女性が鳥居で懸垂している写真をSNSにアップしてしまい、大炎上した騒動が記憶に新しいです。


onsen

温泉はhot springですが、日本の温泉については2014年に観光庁が、「海外に日本の温泉を紹介する際の表現はonsenに統一すべし」というガイドラインを出しています。現状どれくらい伝わっているのでしょうか。なおspringは源泉1つに対応する単語なので、このマグネットの草津温泉ように複数の源泉を持つ「温泉地」はhot springsと複数形になります。単複同型のonsenが便利っちゃ便利。

以上でした。

※英語になった日本語といっても、そんなの一部の外国人しか知らないというのもあると思いますので、ちゃんとウェブスター大辞典」等に掲載されているかを基準にしました。