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世界の民族衣装マグネット
ご当地マグネットに描かれた人物の、ご当地固有の民族衣装(古典的なものも、現代のものも)を、海外→日本の順番でご紹介。
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カタールに限らずイスラム圏の女性用として、ヒジャブ、チャドル、アバーヤなどと呼ばれる、全身を覆う衣装が何種類かあります。目元しか露出しない、ブルカ、ニカブを被る場合もあります。このマグネットの幾分ポップな女性が纏うのは、アバーヤかなと思いますが自信無し。
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絵柄ではなく形が民族衣装になっているマグネットです。韓国女性の伝統的衣装で、チマ=スカートと、チョゴリ=上着を併せて一式でチマチョゴリ。
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韓国釜山の広安大橋や冬栢島APECハウスなどが描かれた風景マグネットですが、左寄りに民族衣装のお二人がいます。左側男性が羽織っている赤いのは、トゥルマギという外套のようです。右側女性は、唐衣(タンウィ)という上着を羽織っています。少し前に散々流行した韓流王朝ドラマで見かけたような伝統的衣装。
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古代エジプトの王が、ヘムヘムと呼ばれる冠を被っているマグネットです。
「アテフ冠を3つ連ねたもので、神聖を強調したもの。太陽円盤、アメン神などの羽根、生殖、豊穣をあらわすヒツジの角などが組み合わされています。第18王朝アクエンアテン王の治世で最初に使用され、重要な儀式のときに使用されました。」
とのことです。↓
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ドイツ南部バイエルン地方で女性が着るディアンドルという衣装
の、胸の部分のマグネットです。これで解らせようというデザイナーのセンス。
ドイツビールの祭典「オクトーバーフェスト」でビールジョッキをガッと握って運んできてくれる女性の衣装と言えばお分かりでしょうか。
全身をAIで生成してみました。
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微妙に違う気もしますが、まあいいか。
下はそのドイツビールを飲むための、伝統的な蓋付き陶器製のビアマグ。
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描かれているのは子供なので、特にこれっていう名称の服ではないのかもしれませんが、強いて言えば左側の男の子が着ている肩紐付き半ズボンは、レーダーホーゼンという男性民族衣装に近いかも。二人が被っている帽子はチロリアンハット。
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「世界三大置き物みやげ」は、北海道の木彫り熊、ロシアのマトリョーシカ、そしてこのオランダのキス人形だということをご存知だったでしょうか。
申し訳ありません。今考えました。
ともあれそう言われたとしたら信じそうになるくらい有名な、オランダのデルフト焼きキス人形の置き物を描いたマグネットです。ただ大問題は、デルフト焼きは青いモノトーンなのにこのマグネットは勝手にカラフル化したということ。
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女の子は、スカート(ロク)、の上にエプロン(フフォルト)、そして頭飾り(フル)が特徴。男の子の黒ズボン&赤い上着&黒帽子は典型的。チョッキを着るのもあり。そしてどちらもクロンペンという木靴を履いています。オランダから分離したベルギーの、フランダースの犬の世界観。
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イギリス(グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国)を形成するスコットランドのエディンバラ城マグネット。現在も陸軍管轄で、観光名所化したエディンバラ城を城衛兵が警備していますが、描かれているのは、伝統的なタータンチェックのキルト(スカート)を履いた上に鎧兜を纏ったガチのスコットランド兵。
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ハワイの伝統的民族衣装といえば女性はムームーやホロクです。さらに伝統的なのは先住民のマオリ。先住民族をリスペクトしたマグネットでしょうか。
蛇足ですが、アロハシャツを発明したのはハワイに移民した日本人たちです。1930年代に持ち込んだ着物をシャツに仕立て直したもの。最初に「アロハシャツ」として売ったのは日系人経営のムサシヤさん。
海外から最後のマグネットは、民族衣装というわけではありませんが。
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フロリダといえばビキニ。ビキニといえばフロリダ。
意外にもビキニ水着を考案したのは1946年フランスルイ・レアールというフランス人の自動車エンジニアで、母親の下着ショップのお手伝いの延長だったそうです。名称は、当時マーシャル諸島ビキニ環礁でアメリカが行った原爆実験(1954年に日本の漁船、第五福竜丸も被ばくした水爆実験ではない)の衝撃にちなんで。
これまた意外にも、アメリカでビキニ着用が解禁されたのは1960年代に入ってからのことで、それまでは着用禁止でした。
さらに意外なことに、フロリダ州では州内のビーチの一部を含む州立公園でのTバックビキニ水着の着用は現在禁止されています。公序良俗vs表現の自由の闘いに女性進出問題が絡んで、複雑な議論が続いているようです。
さすればこのマグネット、強い政治的主張を含んでいたりするのでしょうか。
国内から。
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舞妓さんの衣装のしきたりについては、別の記事にまとめてあります。
・裾が長い着物(お引き摺り)
・その褄を左手で持ち上げて歩く(左褄)
・襟足を大きく開けて見せる
・帯を長く垂らす(だらりの帯)
・決められた髪型(割れしのぶ、おふく等)
・履き物が厚底下駄(おこぼ)
・道具入れ(お座敷籠)
出世とともに、定められた衣装が変遷する世界。
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織田信長さんに、武士の公務時の衣装、肩衣(かたぎぬ)と袴(はかま)の裃(かみしも)でご登場いただきましたが、原画はこちら。
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信長の一周忌に、天才絵師狩野永徳の弟狩野宗秀が描いて長興寺に寄進したものです。
肩衣の家紋が、有名な「織田木瓜(もっこう)」ではなく、足利将軍家から褒賞として貰った「五三の桐」なのが特徴。
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織田家は7つほど家紋がありました。
ちなみに本肖像画ではありませんが、信長の没後に秀吉が、派手に描かれた信長の肖像を地味な色合いに塗り替えさせるという、まあまあセコいことをやっていたのが最近の研究で明らかになったようです。
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武士も通常と有事では衣装も異なり、武将クラスになると豪華な甲冑に兜、さらに陣羽織の出で立ちに。左の武将は兜飾りが伊達政宗さんのそれです。右の馬上の武将は陣羽織が金燭です。
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日本の忍者が黒装束を着ていたというのは、真っ赤な、いや真っ黒なウソです。17世紀になってからわかりやすく創作されたイメージ。
そもそも闇夜の特殊任務だけでなく、一般の色々なものに扮して市井に紛れるのが生業。
とはいえ、農民や町人の姿をマグネットに描き、「実は忍者」と記すわけにもいかないので、これはこれで。
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社員旅行で訪れて、居心地の良さにそのまま住みついたという設定の、熱海温泉公式キャラクターあつおマグネットです。あつおは浴衣がユニフォーム。
浴衣って、用途で大きく二分されますよね。
一つはあつおが着ているような、ホテル・旅館に置かれている風呂上がりの部屋着兼寝間着。
もう一つは、夏に花火や夏祭りにお洒落して出かける用の、柄が綺麗で幅帯を締めて着る軽量な和服。
起源は平安時代の「湯帷子(ゆかたびら)」であり、風呂上がり用が先です。
日本人は感覚が麻痺していますが、外国人からすると、バスローブも夏用和服も「yukata」で済ませている日本語難しい…ってところでしょうか。
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北海道の先住民アイヌ民族の、お土産として有名な木彫り人形(ニポポ人形)の置き物を模したマグネットです。ややこしいですが、お土産を描いたお土産。
神様を現したニポポ人形は昔からあるのですが、お土産の民芸品になったのは割と新しく、不景気だった1955年に網走刑務所受刑者の仕事を創出するため新聞社の人が発案したのだとか。本物の民芸品ニポポ人形の裏には網走刑務所の刻印があるとのこと。
人形が着ているアイヌ民族衣装はアミプといい、更にチカルカルペ、ルウンペ、カパリミ、チンヂリなど刺繍文様の方式でいくつかに分かれます。覚えきれません。
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ビジネスシーンでもカジュアル化が進みました。マグネット内で、向こう向きで屋台に腰を掛けたグレースーツの男性。くたびれたネクタイを締めているならば、間違いなく昭和サラリーマンの民族衣装。