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歌川広重マグネットもネ

葛飾北斎の富嶽三十六景マグネットを以前取り上げたことがありましたが、

同じく浮世絵師である、歌川広重(安藤重右衛門)の作品をモチーフにしたマグネットもご紹介します。歌川広重は1797年生まれ。葛飾北斎より少しだけ後の世代の人で、北斎のライバル。東海道五十三次シリーズや名所江戸百景シリーズなどの風景画が有名です。
マグネットといっても、ちょいちょい自分がやっている、”ガチャのミニチュアトイを百均磁石で自作マグネット化”したもの。

ミニチュア模型製作は、安心クオリティの海洋堂さんです。

1.東海道五十三次「庄野 白雨」
2.名所江戸百景「大はしあたけの夕立」
3.東海道五十三次「箱根 湖水図」
4.名所江戸百景「亀戸梅屋敷」
5.東海道五十三次「由井 薩埵嶺」
6.東海道五十三次「桑名 七里渡口」
この6種類+墨摺仕上げ版6種類(レア)の計12種類があって、ご紹介するのはこのうち、「大はしあたけの夕立」、「由井 薩埵嶺」、「庄野 白雨」、「桑名 七里渡口」の4つになります。ガチャは被るので7回回して4種類出たぞと。


名所江戸百景「大はしあたけの夕立」
マグネット

浮世絵「大はしあたけの夕立」は有名すぎるほど有名。日本の浮世絵に惚れ込んだゴッホが模写していたことでも知られています。「大はし」というのは、隅田川の日本橋浜町~深川間に掛かっていた橋で、現在の新大橋のやや下流になります。あたけ(安宅)というのは当時の周辺の地名です。ミニチュアは立体的というより、立体そのもの。

名所江戸百景「大はしあたけの夕立」
マグネット

手前の橋は模型、奥の川面や舟は立体感ある絵にする形で、遠近感を表現しています。

本来この絵画のなにが特徴かというと、夕立の雨を、当時としては斬新な無数の線で表現している手法です。土砂降り感がすごいです。

名所江戸百景「大はしあたけの夕立」

ミニチュアではさすがにこの雨の線は再現されていませんが、そりゃまあ不可能ですよね。なおオリジナルは平面なのはいうまでもありません。



2つ目は東海道五十三次「由井 薩埵嶺(さったみね)」。

東海道五十三次「由井 薩埵嶺」
マグネット

東海道五十三次では由比宿と興津宿の間にあります。

東海道五十三次「由井 薩埵嶺」
マグネット

こちらもミニチュアの造形が素晴らしい。手前の松、左寄りの断崖はもちろん、その断崖の上を歩く旅人もちゃんと再現されています。
実際の浮世絵はこちら。もちろん平面。

東海道五十三次「由井 薩埵嶺」

現在も薩埵峠展望台からこの風景が見られます。静岡県の、国道1号線と東名高速道路とJR東海道線が目一杯太平洋の際を走っているあたりです。今でこそ東京と大阪を結ぶ日本の大動脈ですが、当時は「東海道の親不知」と言われた旅の難所で、こんなところを歩かないと行き来できなかったんですね。

薩埵峠

こんなところを歩いて旅していた昔の人もすごいけど、ここに鉄道や高速道路を通した人もすごいし、さらにはもっと山側をトンネルでぶち抜いて新幹線を通した人もすごい。広重さんもびっくりです。



3つ目は東海道五十三次「庄野 白雨」。

東海道五十三次「庄野 白雨」
マグネット
東海道五十三次「庄野 白雨」
マグネット

庄野は伊勢国の宿場で、現在の三重県鈴鹿市庄野町になります。白雨とは夏の夕立のことで、薄雲から降る雨で目の前が真っ白に見えるほどの大雨のこと。オリジナルの浮世絵はこちら。

東海道五十三次「庄野 白雨」

雨を必死に避けながら旅路を急ぐ人々や、強風に煽られる木々が、ミニチュアでもよく再現されています。線描の雨は、あたけの夕立と同じく立体再現は困難ですが、一応擦り傷のように筋が刻まれています。



最後はまた東海道五十三次の「桑名 七里渡口」。

東海道五十三次「桑名 七里渡口」
マグネット
東海道五十三次「桑名 七里渡口」
マグネット

現在の三重県桑名市になります。宮宿(名古屋市熱田区)から桑名宿までは、東海道で唯一の海路7里(約27km)になっていました。そこを渡す船なので「七里の渡し」と呼ばれました。2〜3時間掛かったそうですが、1日掛けて湿地帯北側を大きく迂回するよりは速かった。もちろん現在は砂地の埋め立てや橋の整備が進み、普通に陸路で通行可能です。

右奥の海に突き出た城は、滝川一益が築いた桑名城です。ただし天守については1701年に焼失しているのでありません。手前の2艘の船は帆を降ろしていて、まさに着岸しようというところ。
実際の浮世絵はこちら。

東海道五十三次「桑名 七里渡口」

ミニチュアの方は、波の大きさで上手く遠近感を出しています。舟は、帆柱(マスト)は再現されていますが、張られた綱は無理だったようです。




かくして、裏側は例によって百均のネオジム磁石を接着剤で貼り付け。

こうして他のご当地マグネットコレクションと並べて壁面に飾ってあります。