なぜ化学専攻の元記者がリーズの強化責任者になれたのか?
Number Webの取材で、リーズのビクトル・オルタさん(Football Director:スポーツ部門責任者で監督と選手の人事権を持つ)にZoomでインタビューしました。
リーズといえばビエルサ監督が有名ですが、その気難しい名将を口説いたのがオルタさんです。
オルタさんの経歴はなかなか変わっていて、大学時代は化学を専攻し、卒業後、スポーツ新聞『マルカ』に就職して記者やコメンテーターとして活躍していました。
しかし、わずか2年間で記者に区切りをつけ、選手のマネージメント会社に転職。
そして2005年夏、当時スペイン2部にいたバジャドリードのスポーツディレクター(SD)になり、翌夏、セビージャのスカウト主任に抜擢されました。
セビージャで敏腕SDのモンチと出会ったことが、オルタの人生を変えます。
「モンチさんは僕の師匠。彼はこの業界のパイオニアで、常に時代の先を行っている。いち早くデータに目をつけ、Wyscoutをスペインで初めて導入したのが私たちだった。今ではどのクラブも導入しているが、当時は画期的なことだった」
オルタさんはセビージャで7年間を過ごしたあと、2013年夏にロシア1部のゼニトのスカウト主任に就任。その後、エルチェとミドルスブラを経て、2014年夏からリーズを統括しています。
【ビクトル・オルタ経歴】
2002.6-2004.4:マルカ紙 / 記者
2004.4-2005.7:U1 st Sports / コーディネーター
2005.7-2006.7:バジャドリード / スポーツディレクター
2006.8-2013.7:セビージャ / スカウト主任
2013.7-2014.6:ゼニト / スカウト主任
2014.7-2015.6:エルチェ / スポーツディレクター
2016.1-2017.6:ミドルスブラ / リクルート部門責任者
2017.6-現在:リーズ / フットボールディレクター
オルタさんの哲学は、既存の有料デジタルサービスを駆使して情報戦を制すること。あらゆる有料サービスに申し込み、それによって低予算で他クラブの上を行こうとしています。詳しくはNumber Webを読んでみてください。
世界中で毎週のようにサッカーが行われており、もはや「スカウトの目」に頼った手法だけではカバーしきれない。「デジタルテクノロジー」を使いこなす能力が、彼をリーズのスポーツ部門責任者まで押し上げたのでしょう。
オルタさんはめちゃくちゃ熱い人で、Amazon Primeのドキュメント番組「ホームに連れて行って:リーズ・ユナイテッド」を見ると、試合中に怒鳴りまくっており、ビエルサ監督以上に目立っていました(笑)。
化学専攻の元記者が、名門クラブのフットボールディレクターになる——物理専攻のライターとしては、すごく夢のある話に感じました。
(写真:Player Lens)