木崎伸也(スポーツライター)

スポーツライター。漫画原作者。著書に「サッカーの見方は1日で変えられる」、「直撃 本田…

木崎伸也(スポーツライター)

スポーツライター。漫画原作者。著書に「サッカーの見方は1日で変えられる」、「直撃 本田圭佑」など。漫画「フットボールアルケミスト」が文化庁メディア芸術祭・漫画部門審査委員会推薦作品に選出。 http://amzn.to/2ymTvT4

最近の記事

新たなサッカーの見方:「センターバックを攻撃できているか?」

風間八宏さん初の戦術本、『風間八宏の戦術バイブル』(幻冬舎)が11月24日に発売になりました! 僕は構成を担当させて頂きました。 風間さんと言えば、「止める・蹴る」で知られていますが、その個人技術の話からさらに踏み込み、「戦術」について詳しく解説しています。 たとえば本書において、風間さんは「センターバックを攻撃できているか? を見れば、そのチームの攻撃の良し悪しがわかる」と主張します。 風間さんはある高校年代のチームで、ハーフタイムで次のようなアドバイスをしました。

    • 本田圭佑がNowVoiceで漫画を褒めてくれた!(ただし30秒だけ)

      「Clubhouse」の登場で音声メディアが非常に盛り上がっていますが、「NowVoice」をご存知でしょうか? NowDo社と運動通信社が運営する有料音声SNSで、投稿から24時間以内は無料で聴くことができます。 オススメはシュツットガルトの遠藤航選手のコンテンツ。遠藤選手が毎試合後、プレーについて詳細に振り返っており、個人的にブンデスリーガ観戦後の楽しみになっております(聞き手は編集者の黒田俊さん)。 僕もNowVoiceに少し縁がありまして、ボランティアで本田選手

      • 【代理人研究】三角移籍の謎。悪徳代理人の人助け(後編)

        「三角移籍」で中間のクラブが移籍金を中抜きしたら、売り手クラブと買い手クラブ、双方に損が生じるでしょう。 たとえば1997年のゼロベルトの「三角移籍」では、538万ドル(約6億円)が中抜きされたと報じられました。  三角移籍:①ポルトゥゲーザ→②セントラル・エスパニョール→③レアル・マドリー ①ポルトゥゲーザ→②セントラルの移籍金:460万ドル ②セントラル→③レアル・マドリーの移籍金:998万ドル 差額:998万 – 460万 = 538万ドル *セントラルはフ

        • 【代理人研究】三角移籍の謎。なぜクラブは怒らないのか? (前編)

          サッカー界の謎の1つに「三角移籍」があります。 イメージしやすいように実例を出して説明しましょう。  2008年、ブラジル人FWのフッキが東京ヴェルディからFCポルトへ移籍しました。移籍金は10億円規模と報じられました。 ただし、全額がヴェルディに振り込まれたわけではありません。この移籍にはレンティスタス(ウルグアイ)というクラブが中間に挟まれていたからです。 東京ヴェルディ→レンティスタス→FCポルト フッキはレンティスタスで1度もプレーせず、書類上の在籍にすぎま

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          【名将クロップ】負け続けて身につけた「やさしさ」

          Number最新号「不死鳥リバプール大研究。」で、ユルゲン・クロップ監督の原稿を担当しました! ・惨敗後のクリスマスパーティーのエピソード ・クロップが考える自分の最大の才能 ・個人が賞を取ったとき、みんなにどう伝えるか ・病床のファンに送ったメッセージ ・感情を抑えられなかった過去 ・選手が語るクロップ戦術の真髄 ・進化し続けるマネジメント術  ・選手をどう叱るか ・開幕前に準備したパニック対応術 ざっと上のような内容になっています。 原稿の軸になって

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          なぜ日本人選手はドイツで成功できたのか? ある代理人の功績

          漫画「フットボールアルケミスト」の主人公・先崎のモデルはいるんですか? よく聞かれるのですが、主人公・先崎はいろんな代理人のダークサイドをぎゅっと集めて1人にした人物になっております。 なので特定のモデルはいません。日本の代理人の方たちから「あの人がモデルでしょ?」と詮索されることはよくありますが(笑)。 ただ、第2巻から登場する先崎のライバル、ドイツ人代理人のラルフ・シュバルツには人物設定を考えるうえで参考にした人物がいます。 ドイツサッカーに詳しい方なら、すぐにピ

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          【代理人列伝】父親の権力を乱用して、マンチェスターUを出禁になったファーガソン息子

          漫画『フットボールアルケミスト』の第3巻が1月29日に発売になります!主人公が進める日本人選手のドイツ移籍を、ドイツ人代理人が妨害する・・・という「欧州移籍あるある」の内容になっています。 その中でクラブの会長とスポーツディレクターが親子で働いているという設定が出てきます。成功した父親のツテで、息子が採用されるという“縁故採用“も「あるある」なんです。 マンチェスター・ユナイテッドの名将、アレックス・ファーガソン監督と息子ジェイソンの場合もそうでした。 父親への口利き料

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          スタンフォード大学アメフト部に学ぶ「東京五輪開催の条件」

          東京五輪開催の雲行きがさらに怪しくなってきた。  日本時間1月22日、イギリス紙・タイムズの電子版が「日本政府は非公式に東京五輪を中止せざるを得ないと結論付け、2032年の開催を目指している」と報じた。 国民の支持も得られておらず、Yahoo!ニュースのアンケート「みんなの意見」では約85%の人が「中止になると思う」に票を投じている。 開催そのものが危うくなっており、仮に開催できたとしてももはや通常の形での開催は難しいだろう。 それでも日本政府が五輪に向けて走るのであ

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          【代理人列伝】代表監督を買収し、選手を代表に送り込んだ男

          漫画「フットボールアルケミスト」では、いろんな代理人の裏技が登場しますが、その1つに「代表監督に賄賂を渡し、契約選手を選んでもらう」というものがありました。 先崎代理人がU20ブラジル代表監督に賄賂を渡す場面(©木崎伸也・12Log/白泉社) 代表監督買収の回の試し読みはこちら→ 漫画を読んだ方から「実際にあるの?」とよく聞かれます。 はい、あるんです。特に南米において。 最も有名なのは、ウルグアイ出身の代理人、フアン・フィゲルです。 もともとシャツ販売や貿易業を

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          【代理人列伝】ライオラが移籍金で稼ぐカラクリ

          一昨日にアップされたNumber Webの記事で、さらっと 「ポグバがユベントスからマンチェスター・ユナイテッドに移籍金105ミリオンユーロ(約126億円)で移籍した際、代理人のミノ・ライオラは両クラブから計49ミリオンユーロ(約59億円)を受け取った」 と書きました。  代理人手数料が移籍金の47%! とてつもない割合です。 家の売買を扱った不動産会社が、売却額の半分を手数料として取ったら、誰もそんな不動産会社に寄りつかなくなるでしょう。 ところがサッカー業界は違

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          レアル・マドリーではどんな人材が働いている? コンサル出身・元社員の証言

          レアル・マドリーのような世界的ビッグクラブでは、どんな人材が働いているのか? そんなことを考えていたら、Number Webの取材でホセ・ラモンさんと知り合いました。  ラモンさんはバルセロナ出身で、もともと世界的コンサルティング会社『KPMG』で働いていた財務のプロ。ある日ヘッドハンターから「レアルで働かないか?」とオファーが届き、ドリームジョブを手にしました。 そこからレアルで10年間、戦略計画やデジタルトランスフォーメンションを担当したそうです。  【ホセ・ラモン

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          なぜ化学専攻の元記者がリーズの強化責任者になれたのか?

          Number Webの取材で、リーズのビクトル・オルタさん(Football Director:スポーツ部門責任者で監督と選手の人事権を持つ)にZoomでインタビューしました。 リーズといえばビエルサ監督が有名ですが、その気難しい名将を口説いたのがオルタさんです。  オルタさんの経歴はなかなか変わっていて、大学時代は化学を専攻し、卒業後、スポーツ新聞『マルカ』に就職して記者やコメンテーターとして活躍していました。 しかし、わずか2年間で記者に区切りをつけ、選手のマネージ

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          AIは試合を見なくても才能を見分けられる?

          世界中で毎日のようにサッカーの試合が行われ、「早く見なきゃ」「また見れなかった」という妙なプレッシャーを感じることはないでしょうか。  プロのスカウトにも、同じ悩みがあるようです。  ライバルクラブを出し抜いて掘り出し物を見つけようと思ったら、マニアックな国のリーグを見る必要がある。自国の2部やU19も当然ながらチェックしなければならない。  スタッフ十数人で分担しても、とてもチェックし切れません。だからこそ小さなクラブがビッグクラブを出し抜く、一発逆転のチャンスがある

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          AIが移籍先を決める時代になり始めている

          先月、小澤一郎さんのYouTubeチャンネル『Periodista』に出演させて頂きました!  <バルサも狙うあの選手はAI活用でリヨン行きを決定!? 欧州と日本の代理人業界トレンド>  文字にするとやや波紋を呼びそうなこともさらりと話しているのですが、テーマはあくまで「代理人」。たとえばタイトルにあるように「AIを使ったデパイのリヨン移籍」について触れています。  この話の引用元は、アメリカ発の有料スポーツメディア『The Athletic』。各国のトップ記者・ライタ

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          なぜスポーツライターが「代理人漫画」を始めたのか?

          おそらく世界初に違いない。サッカーの代表チームの現役スタッフが、漫画の原作を担当するのは——。  現在、筆者は本田圭佑が率いるカンボジア代表において、ビデオアナリストを務めている。もともとはヨーロッパサッカーや日本代表を追うスポーツライターが本業だったのだが、ひょんな縁からチーム強化にも携わるようになった。  2018年9月、本田が初めてカンボジア代表の指揮を取ったときのことだ。取材で現地に足を運ぶと、最終日にこう言われた。  「今回、木崎さんから質問されて、すごく頭が

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