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幽刃の軌跡 #13

第13話: 瀬戸内の乱開戦

備前港の夜は静寂に包まれていたが、その静けさは一瞬で破られた。平安国第四軍を率いる那須弘明は、港に近づく不審な動きを察知し、すぐさま部隊に警戒を命じた。空を見上げると、遠くに無数の小舟が押し寄せてくるのが見える。瀬戸内の海が、戦火に染まろうとしていた。


「弓矢隊、準備せよ!」那須が号令をかけると、前線に配置された1000人の弓矢隊がすばやく整列した。那須の顔には決意がみなぎっていた。


「敵が港に接近する前に、弓の雨を降らせてやる。全力で行け!」彼の命令と同時に、無数の矢が一斉に放たれ、夜空にアーチを描いた。


一方、海上では、四国軍の小舟隊が那須の指示した弓攻撃に直面していた。小舟は次々と矢に貫かれ、進軍が阻まれている。


その様子を見て、土佐族のリーダーである高知竜馬(こうち りゅうま)が笑い声をあげた。「瀬戸内の海域なんざ、太平洋の荒波と比べりゃ、べた凪みたいなもんじゃき!」


しかし、彼の隣にいる西東大森(さいとう おおもり)は冷静だった。「竜馬殿、あまりはしゃいではいかんぜよ。おいどんらがこの戦のカギを握っちょることを忘れちゃあいけん。」


竜馬は肩をすくめて笑った。「うるせーな、お前さんはいつも心配性じゃき。戦は楽しまんといかんぜよ。」


海上の四国軍の小舟隊の指揮官は、弓矢の猛攻を前に焦りを隠せなかった。「嵐のような弓攻撃で、これ以上港に近づくことができんぜよ!」


その言葉を聞いた竜馬は、目を光らせた。「わかった、やっちゃろうかい。霊域解放!」


竜馬の言葉と共に、彼の背後から巨大な霊的エネルギーが放出され、海面がざわめき始めた。その力がどのように戦場を変えるのか、今はまだ誰にも分からない。ただ一つ確かなことは、この戦いが「瀬戸内の乱」として後世に語り継がれる大きな戦いの始まりであるということだ。

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