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幽刃の軌跡 #7 yuujinokiseki

第7話: 霊域の共鳴


平安の国境地帯にある丘の上、源尊は静かに立っていた。彼の鋭い眼差しは、遠くに広がる大和の国を捉えている。戦乱の気配が漂うこの地で、源尊は常に戦場を見据え、その先にある勝利を冷静に計算していた。

風が吹き抜けると、彼の長い髪がわずかに揺れ、その瞬間、何かが胸の奥で響いた。彼の中に宿る霊域、スサノウノミコトが微かに共鳴する。それは、久しく感じていなかった感覚だった。

「これは…」源尊は小さく呟いた。

その共鳴の源は、明らかに遠く平安の都から発せられていた。源尊の霊域が反応するほどの力を感じるのは久しぶりであり、それが自分の霊域と同等、もしくはそれ以上のものだと直感した。

源尊の瞳がわずかに鋭くなる。彼の心には、かすかな期待と興味が混じり合った。あの都で、誰かが強大な霊域を解放している。源尊はその人物がどのような者なのかを知りたくなった。だが、今はその時ではない。

「新たな力か…面白い」

源尊は軽く微笑んだ。彼は冷静でありながらも、人情深い一面を持つ。その心の奥には、かつての仲間や戦友への深い思いが根付いている。だが、それは決して表に出すことのない強さとして彼の中に秘められていた。

彼の背後には、平安の精鋭たちが控えていた。彼らもまた、源尊の背中に頼もしさを感じていた。その中で、源尊は再び前方に視線を戻し、遠くの大和の国を見据える。

「全軍、前進だ」

源尊は静かに命令を下し、自軍を率いてゆっくりと進軍を始めた。彼の心は、戦いの先にある勝利だけでなく、あの強大な霊域との邂逅に向けて少しずつ動き出していた。

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