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幽刃の軌跡 #47

第47話「四国軍総帥の真髄!!」

戦場に緊張が走る中、真男はその場を圧倒する大声で叫ぶ。


真男:「もうええやろ!!遊びは終わりや!!!」


その言葉は雷のように響き渡り、彼の姿が一瞬で変わる。彼は両腕を広げ、天地を揺るがすように力を解放する。


真男:「霊域解放……真魂(しんごん)!!水界明王(すいかいみょうおう)!!!!」


すると、空気が急激に重くなり、真男の周囲には冷たく青い光が集まり始めた。彼は両手を合わせ、力強く真言を唱え始める。


真男:「ノウマク サマンダ バザラ ダンカン……俺に力を!!!!」


その瞬間、真男の体は青い炎に包まれ、彼はまるで水界の明王、怒りを具現化したかのように変貌した。その姿は巨大な神の化身のようであり、彼の背後には波の形をした霊域が渦巻き、荒れ狂う瀬戸内海と共鳴していた。


真男の力に呼応するかのように、瀬戸内海の海面が激しく揺れ始めた。遠くまで広がる荒波は、天高く立ち上がり、次第に戦場全体に押し寄せていく。津波のような波が、兵士たちを次々と飲み込んでいく様子は、まるで世界の終末を予感させる光景だった。


明菜:「あれは……こんな霊域……誰が止められるの……」


彼女の声は震え、呆然とした目で真男を見つめている。


第一軍隊員:「これはまずいぞ!!後退しろ!!荒波が押し寄せてくる!!!」


水際で戦っていた戦士たちは、次々と混乱に陥り、敵味方の区別もつかないまま、陸地に向かって逃げ始めた。波が次々と押し寄せ、足元が崩れる感覚に、全員がパニックに陥っている。


那須:「これは……備前港が……全軍!!!安全な場所まで後退!!!!!」


真男の高笑いが、あたり一帯に響き渡る。


真男:「さあ!!若いの!!!これが戦や!!!」


真男の動きは遅い。しかし、その霊域はあまりにも膨大で、飯伏と宇都宮の霊域をも圧倒し、まるで二人の全力を嘲笑うかのようだった。


真男:「俺の斬撃は全てを切り裂く!!」


真男が振り下ろした巨大な斬撃が、宇都宮の防御壁に激突した。


宇都宮:「飯伏さん……耐えきれんかもしれん……」


その防御壁は真っ二つに割れ、飯伏が反撃に出ようとするも、真男の水界明王の圧倒的な力の前に無数の疾風も無力と化してしまう。


飯伏:「くそ……俺が行く!!」


しかし、飯伏の全力の攻撃も、まるで紙のように真男の霊域に吸収され、彼は大きな斬撃を受けてその場に倒れ込んだ。


宇都宮も援護に向かうが、彼の霊域もまた、真男の膨大な力の前には全く通用せず、次々と倒れていく。


明菜:「軍隊長二人しても……全く歯が立たないなんて……」


那須:「第一軍前線部隊!!二人の回収に向かえ!!急げ!!波が迫ってくるぞ!!」


真男:「させるか……こいつらはここで終わりや。ワハハハハハ!!!」


突然、影が大地を走り、真男の足元から黒い裂け目が現れた。


景虎:「影遁術……影遁裂界陣(えいとんれっかいじん)!!!!」


倒れ込む飯伏と宇都宮の姿が、熊谷景虎の術によって別の場所に瞬時に転送された。景虎が現れると、戦場が一瞬、静まり返る。


第一軍隊員:「景虎様!!!!!」


真男:「来たか……」


そして、景虎の横には、平安王・藤原真彦が静かに立っていた。


真彦:「みな、よくここまで戦ってくれた。後は我らに任せよ」


平安王の登場に、兵士たちは驚きと歓喜が交錯する。


明菜:「お父様……までも……」


第一軍隊員たち:「国王様!!!国王様が来たぞ!!!」


困惑していた兵士たちの中に、希望の光が差し込んだ瞬間だった。


真男:「ようやくやな、真彦!!!」


真彦「真男……いや、四国軍総帥よ!!!!!まだこのような無意味な戦をするつもりか!!」


真男は不敵な笑みを浮かべた。その目には何か狂気じみた決意が宿っている。


真男「あほか!!お前らが攻め入る前に、こっちから動いたまでよ!!!!」


真彦はため息をつくように、哀しげな目で真男を見つめた。その視線に、どこか同情の色が混じる。


真彦「またか……またしても、どこかの誰かに踊らされているのか……残念だ。」


真男の表情が一瞬、怒りに染まる。


真男「黙れ!!!俺は誰にも踊らされてなどいない!!俺はただ、自らの故郷を取り戻すのみだ!!」


真男の声は荒々しく、まるで爆発するかのように響き渡る。そして次の瞬間、彼の手には青白い光を帯びた刃が現れた。その圧倒的な霊域の力が周囲の空気をねじ曲げ、震わせる。


真男「お前の霊域など、俺の前では無力!!無力な国王が前線に出てくるとは、死にに来たも同然だ!!!」


その言葉と同時に、真男の斬撃が青白い閃光となって平安王、真彦に向かって飛んできた。風を切り裂くその音は、まるで雷鳴の如く耳をつんざく。


――だが、その斬撃は届かなかった。


景虎「影遁術!!!!影遁裂界陣!!!!」


突然、景虎の声が響き渡り、空間が揺らめく。真男の斬撃は平安王に届くことなく、見えない力によって軌道を変えられ、瀬戸内海へと飛ばされた。次の瞬間、海面が真っ二つに割れる。波がまるで巨大な壁のように立ち上がり、裂け目から吹き上がる水柱が空へと轟音を立てて昇る。


景虎「真男……国王に手を出させはせん!!」


景虎の目は冷静そのもので、まるで次の一手を見据えているかのようだった。しかし、真男はその様子を見て不敵に笑う。


真男「さすが景虎、だが俺を止められると思うな!」


一方、戦場の別の場所では尊と琴太の戦いが激しさを増していた。琴太の攻撃は、鋭く、的確で、尊の体にはすでに無数の斬撃の痕が残っていた。血が地面にぽたりと滴り、尊の動きは徐々に鈍っていく。


尊「くそ……みんなも救えん……国王までも……俺は……何をしているんだ……」


琴太は満足げに、尊を見下ろしていた。


琴太「悔しいか? 悔しいか! でもな……この20年、俺はもっと長い悔しさを噛み締めてきたんやで!!!!!」


琴太の声は憎しみに満ちている。尊は、どうすればこの戦況を覆すことができるのか、必死に考えていた。だが、心の中で分かっていた――もはや、通常の手段では勝機はない。


尊「……いよいよあれを使うしかなさそうだ……何分持つかわからんが……やるしかない……」


彼の目は鋭く光り、その手がそっと腰に触れた。それは、長年使うことを禁じていた技。その力を解放すれば、戦況を一変させることができるかもしれないが、自らの命をも削る覚悟が必要だった。








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