幽刃の軌跡 #19
第19話: 竜馬の霊域解放「弐式・憑依」
戦場に張り詰めた緊張感が一瞬で変わる。竜馬が静かに呟いた「弐式…憑依」の言葉とともに、その霊域が一気に膨れ上がり、まるで嵐が巻き起こったかのように空気が変わった。
竜馬の体が光りに包まれ、まるで闘刀の牙そのものが彼の肉体に宿ったかのようだった。その姿は人間離れし、圧倒的な威圧感を漂わせている。
朱留はその霊域の膨大さに言葉を失う。「なんだ・・・この・・・膨大な量の霊域は・・・」唖然としながらも、全身に感じる圧力は計り知れない。
一方で、大森は顔色を変えた。「竜馬殿...それは解放せん約束やったではないですか・・・」その言葉には驚きと焦りが滲み出ている。
「うるさいわ!!お前がチンタラやってるからやろ!!」竜馬が怒りを込めて叫ぶと、ますます霊域は高まり、その力は朱留の霊域さえも飲み込もうとしていた。
明菜もその光景を目の当たりにし、動揺を隠せない。「あれは...霊域解放弐式・・・まさか解放できる者がこの戦にいるなんて・・・」その驚きは、霊域の強大さに対する恐れとも言える。
那須も同様に呆然としながら「あれは・・・平安軍でも上位隊長クラスでなければ解放できぬ代物を・・・」と、竜馬の実力に驚愕する。
次の瞬間、竜馬の霊域が爆発的に広がり、朱留に向かって無数の斬撃が放たれる。その速度は尋常ではなく、まるで無数の刀が空間を切り裂くように襲いかかる。朱留は反射的に「天幽の刃」を振りかざし、防御態勢を取るが、霊域の波が次々と彼の防御を押し破ろうとしていた。
「くそっ…!」朱留は全身でその攻撃を受け止め、必死に立ち向かうが、竜馬の力はあまりにも強大だ。身体機能、霊域、そして圧倒的な速度がすべて桁違いに上がっていた。
竜馬は笑みを浮かべながら、さらに攻撃の手を強める。「さあ、もっと楽しませてくれよ」彼の声には狂気と楽しみが入り混じり、朱留を追い詰めようとしている。
戦場全体が竜馬の霊域に圧倒され、平安軍は次々とその恐怖に飲まれていく。果たして朱留は、この強大な力にどう立ち向かうのか