幽刃の軌跡 #46
第46話:「四国の咆哮、平真男の猛攻」
四国軍総帥である平 真男が、ついに平安国の要所である備前港へ上陸した。艶やかな深い青の甲冑を着た真男の姿が、静かな海風の中に現れると、彼に続いて四国軍の精鋭たちが次々と波打つように上陸し、平安国の防衛線を突破していく。彼らの勢いは止まることを知らず、真男の登場を合図に戦況は一気に四国軍へと傾き始めた。
真男「久しぶりの我が平場国よ!」
眼前に広がる平安国の大地を見据え、雄々しく吼えた。その声は嵐のように響き渡る。敵味方の兵士たちの士気が揺れ動く中、真男の笑い声は狂気すら帯びていた。
尊「今、奴の相手をできる手練れがこちらにはいない…」
尊は冷静に周囲を見渡しながら、心の中で戦況を判断する。彼の目に映るのは、次々と戦況を覆される自軍の姿だった。平安国の守備が崩れ始め、真男の圧倒的な存在感が戦場を支配している。
しかし、その瞬間、油断を突くように、尊の背後から素早い斬撃が襲いかかる。
琴太「だ・か・ら!!!よそ見してると危ないで!!!」
琴太の刃が尊の鎧を斬り裂き、鈍い痛みが走る。尊はすぐに体勢を立て直すが、琴太の素早い動きに押され、徐々に追い詰められていた。
明菜「まずいですね…どうすれば…」
遠くから戦況を見つめる明菜は、平安国が四国軍に押されていることを感じ取り、不安げに小さくつぶやく。
那須「四国軍の勢いが増していきます。このままでは…」
那須もまた、戦場の圧倒的な変化を目の当たりにし、焦りを隠せない。
飯伏「まずいな…」
平安国軍の副将である飯伏は、冷静に戦況を見極めながら、心の中で戦いの終わりを思い描いていた。
だが、今は負けるわけにはいかない――。
宇都宮「ここは軍隊員に任せましょ!! 飯伏さん!! 総帥を止めに行きましょか!!!」
宇都宮は飯伏の肩を叩き、勢いよく言い放つ。
飯伏「やな!!!いくで!!!」
飯伏は力強く頷き、二人は前線を部下に任せ、真男に向かって駆け出した。
真男が待ち構えるその場所は、既に血の臭いが漂う戦場と化していた。四国軍の精鋭たちが平安国の兵士たちを次々と薙ぎ倒し、その圧倒的な力に恐怖が広がっていた。
真男「お前らごとき若造になにができる?」
真男は笑いながら、二人を見下ろすようにして叫んだ。彼の霊域の力が辺りを包み込むように広がり、凍てつく冷気と共に燃えるような炎が混ざり合い、周囲を圧倒していく。
だが、飯伏は怯むことなく、すぐさま霊域を解放する。
飯伏「霊域解放!!! 弐式憑依!!! 鎌鼬(かまいたち)!!!!」
飯伏の周囲には、突如として無数の疾風が吹き荒れ、風の刃が宙を舞う。それは鼬のように鋭く、彼のスピードを格段に引き上げた。
真男「ほう、弐式憑依か。面白い、かかってこい!」
真男はその場に踏みとどまり、飯伏の襲いかかる斬撃をすべて刀で防ぐ。彼の動きは、まるで見えないほど素早く、力強い。
隊員たち「飯伏軍隊長のスピードを凌ぐ者はいない。それを…すべて防いでいるだと…?」
周囲の兵士たちは、真男の圧倒的な技量に驚愕していた。
飯伏「まだまだや!!!!」
飯伏はさらにスピードを上げ、鋭い斬撃を真男に向けて放つ。斬撃は風と共に舞い、無数の刃となって真男を切り裂こうとするが、彼の刀はそれをことごとく跳ね返していく。
宇都宮「霊域解放!!! 守護式!!! 超豪の盾(ちょうごうのたて)!!!!」
宇都宮の前に、黄金の輝きを放つ三枚の鉄壁が現れた。その巨大な盾は、まるで絶対防御のように堅牢だ。
宇都宮「飯伏さん!! こちらから攻撃をすれば、奴の斬撃は私が止めます!!!」
飯伏「助かるで!!!」
二人は完璧なコンビネーションで、真男に攻撃を仕掛け始める。飯伏の素早い斬撃を宇都宮が守り、その隙をついて飯伏が猛攻を仕掛けていく。
だが、真男は微塵も怯まず、その霊域をますます解き放つ。
真男「なんだその霊域は…お前らそれでも現役か!!!」
真男の体から溢れ出る霊域が、まるで炎と氷がぶつかり合うように渦巻き、彼の周囲に氷焔剣舞を描き出した。
宇都宮「私の盾が…こんなにも強い霊域を受けるのは初めてだ…」
宇都宮は盾が震え、ひび割れ始めるのを感じながらも、なんとか持ちこたえていた。
飯伏「大丈夫や!! それまでにケリをつける!!!」
飯伏は再び真男に斬りかかり、戦場の緊張は極限に達する。
こうして、四国の総帥・真男を迎え撃つべく、平安国の勇者たちは全力で戦い続ける。真男の力は凄まじく、彼の霊域はまだ解き放たれたばかりに過ぎない。戦いはさらに激しさを増し、勝負の行方は未知数であった。