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FP&Aと税理士の共通点 (2/2)

現職FP&Aである私が考える税理士との共通点を3つ並べてみました。

FP&Aと税理士業務との共通点

① 数値計算

税理士の主要業務として集計した損益データから消費税、法人税、所得税などの税額を計算します。通常は、会計ソフトを駆使して計算しますが、足し算・掛け算・引き算・割り算の4つを忖度なく用いて計算することは、FP&Aがエクセル上で行う数値計算と全く同じであります。

② ロジカルなプランニング

税法や判例、租税条約を参考にして、節税スキームを考察したり、海外子会社を設立した場合の税額シュミレーションなど、税理士はクライアントからの依頼によりタックス・プランニングを行うことも税理士ならではの仕事です。また、FP&Aもデータを活用してプランニングすることは、1丁目1番地ともいえる主要業務です。

どちらもゆるぎない事実に基づいて数値をはじき出す、最適な案を提供できるかどうかが、プロである力量の見せ所だと思います。

③ 複雑さを容易に説明

税理士であれば、クライアントや税務監査時では税務署職員向けに、分かりやすく簡潔に伝えて相手に理解してもらうことが欠かせません。

複雑で細かい税制をグダグダ説明するよりも、まずは全体像から説明して、結論を先に述べてからその結論に至った経緯を説明する流れで話すことは非常に重要です。

まさにFP&Aに求められる説明能力も同じであり、複雑な計算過程で導かれた結論を端的かつ明確に説明する力が求められます。

一方で、FP&Aの仕事と税理士業務で異なる点も勿論存在するので、これも3点に纏めてみました。

税理士業務と異なる点

・国内市場メイン vs. 海外を視野

外資系企業のFP&Aが分析を行うエリアは、原則日本国内市場に特化したものであり、米国は米国企業担当のFP&Aが担当し、日本市場を見ているアナリストが、米国市場にアプローチすることは考えにくく、現地マーケットに近い担当者が担当します。FP&Aはローカルマーケットが分析領域なのです。

昨今のボーダーレス取引が活発になる中、税理士は日本国内の税制やスキームだけを見ているだけでは、世の中のトレンドに追いつきません。日本と他国の租税条約に精通し、適切な納税地を判断することが必要で、もっと日本から外を向いて考えることが必要なのです。

・内向き vs. 外向き

FP&Aの作業はすべて所属企業内向けへのレポートなので内向きですが、税理士は常にクライアントや税務署にレポートを行うので外向きな仕事になります。税理士は複数の企業の実態や財務データを取り扱うことができますが、FP&Aは所属企業のみのデータを扱うために、他社がどんなデータを扱っているのか全く把握できません。

・独自ルール vs. 法律

FP&Aの取り扱うデータは、主に管理会計上のデータ、企業独自の事業部の損益で社外投資家に向けて公表する資料ではなく、管理会計上のデータとなります。どのような切り口でもよいものになります。前回FP&Aは数字を扱うマジシャンと言ったように、シナリオを変化させてを数値を変動させる裁量性はあります。

税理士の作成する資料やデータは、税制ルールや税法に適合して作成されなければならず税理士の裁量で数値を策定する余地はあまり無いものです。

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