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パートナー案件のプリセールス支援

 プロダクトベンダーがパートナーにテリトリーを決めて販売権を渡す事は多く見られますが、その販売支援の品質を担保する事は難しいことです。どのようにこのプロセスをスムーズに実施し、かつスキルトランスファーが行なわれるようにするのが望ましいでしょう。

販売支援ツール

 通常ベンダーがパートナーに販売委託する場合にその販売に必要なツール(営業の契約関係を除く技術的なもの)は下記のようなものがあり、その使用方法などはセミナーや実技を伴うワークショップなどでパートナーへ伝えることになります。また、チャットサポートを受けるためには認定資格の取得を前提とするなど、技術レベルを上げるための施策も必要となります。

  • 概要の紹介資料

  • 製品説明のプレゼンテーション資料

  • 提案書のテンプレート(無い場合もある)

  • デモシナリオ

  • デモ環境

  • 技術的なFAQ

  • チャットなどの質問ツール

 パートナーからすると、これらの内容を理解したところで、実際の提案や顧客からの質問のハンドリングなど現場で発生する事象に対応する事はなかなか難しいと言えるでしょう。一方ベンダーからすると、ベンダーの意図したシナリオや適用方法で正しく提案されるかに不安があり、的外れな提案や、提案すべきで無い案件への無理な提案などを危惧することになります。

支援依頼のルール

 ベンダーのプリセールスエンジニアは多くの場合、直販の営業を支援することが主な役割で、パートナーの抱える案件への支援は一義的にはパートナーの技術者と、ベンダーのパートナーを担当する営業部隊で対応することになります。ただし、ベンダーのパートナー担当部隊は専任の技術者を抱えているケースは多く無く、殆どの場合直販の技術部隊へサポート依頼をすることになります。ライセンス数字を達成するという観点から支援すべきですが、なかなかパートナー案件の支援まで工数を割くことが難しいのが実情です。

 そこで一定のルールを設けて支援案件のスクリーニングを行い、パートナーに行ってもらうべき内容と、支援すべき内容、支援の方法についての取り決めを行う必要があります。下記にルールの例を挙げます。

  • ベンダーの営業(直販あるいはパートナー担当)がアサインされていること。(技術者だけのアサインとならない様に)

  • ベンダーの営業(直販あるいはパートナー担当)がスクリーニングし、金額や重要顧客という観点で支援すべきと判断した場合に依頼を実施。

  • パートナーの技術担当者は適切なトレーニングを受けて資格認定を受けている。(無免許の素人の支援は行わない)

  • 支援内容が販売の代行とならない様、顧客への窓口は必ずパートナーが行い、ベンダーの技術者は顧客の前に出ない。

  • パートナー側で社内でのノウハウの共有を確約してもらう。

スキルアッププログラム

 これらを実現するためには、パートナーに対して下記のようなスキルアップのプログラムが用意されている必要があります。

  • 製品説明の資料と説明の仕方やQA対応のためのワークショップ。

  • 擬似提案のロールプレイ含むワークショップ。

  • デモのシナリオや実際の環境設定を含むワークショップ。

  • 資格認定の研修(有償の場合もある)

 パートナーには、社内で当該プロダクトの窓口となる技術者をアサインしてもらい、基本的にはこの技術者を通じて支援する事で社内にノウハウの蓄積が出来るようにお願いします。都度新しい技術者に同じようなことを支援する非効率さを排除するための物です。パートナーもリソースが逼迫する中でこのような対応が難しいという場合も多いですが、お互いの工数を最適化するためにも必要な事なので、継続的に協議してゆくことになります。

あとがき

 基本的に「協業」は両者のコミットメントが必須なので上記のようなベンダー側の投資とパートナー側の受け入れ体制の整備などが無い場合はパートナー経由での販売は拡張すべきで無いと考えます。実施方法のレベル感などは考える必要がありますが、基本的なスタンスは変えるべきでは無いでしょう。

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