仮説を検証する系の分析では、まず"定性的"に課題を定義した方がいい
データを使って特定の仮説を検証するような分析を行う機会は多い。
このような分析では、実際にデータの収集をしはじめる前に「検証したい仮説とその後のアクション」を定性的に整理しておいた方がいい。
凄くざっくりしているが「〇〇なカスタマーは、××なUXを感じているかも知れない。そうだとしたら△△すべきだ」と、言った感じで、対象と検証したいUXと検証できた場合に行うアクションを定性的に整理してから分析に入るだけでも大分良い。
そうしないと「せっかく仮説の裏付けができたのに特に意味がなかった...」みたいなことが起きやすい。
具体的に何をどうするのか?
例えば、あなたがとあるECサイトのデータ分析者で「雨が降った日は売り上げが上がるんじゃないか?」という仮説を持ったとしよう。
この仮説は、気象庁が公開しているの降水量のデータと売り上げを照らし合わせれば比較的簡単に検証できるはずだが、いきなりデータを集計しはじめるのはよくない。
・どんなカスタマーが?
・どんなUXを感じているのか?
・そうだとしたら、どんなアクションを取るべきなのか?
まず、この3点を定性的に整理したのち、それを定量的に裏付ける方法を考えてデータ集計を始めた方が効率が良い。
例えば、集計に着手する前にこんな風に定性的に整理してみる。
・どんなカスタマーが?
→ 雨が降った場合、外出したくなくなるようなカスタマーが、
・どんなUXを感じているのか?
→ 雨が降った場合に、外出したくなくなって、家の中で時間をつぶしたくなるのではないか? ( 結果としてECサイトの閲覧時間が多くなって売り上げが増えるのではないか? )
・そうだとしたら、どんなアクションを取るべきなのか?
→ 「雨が降っていて家の中で時間をつぶしたい」というニーズに合う商品(例えば電子書籍など)を優先してレコメンドしてはどうか?
そうすると、
「そもそも、雨が降った場合、外出したくなくなるようなカスタマーってそんなに人数が多いだろうか?」とか
「雨が降っていて家の中で時間をつぶしたいというニーズに合う商品なんて、自社のECサイトのラインナップにあったかな?」とか
分析の前に、予備的に調べるべきことや、そもそも分析する意味があるのか確認すべき点などにあらかじめ気づきやすいと思う。
なぜ定性が重要だと考えているのか?
それは、定量的な分析が完全に理想通りに実施できた場合でも、得られる成果は「定性的に定義された仮説が全部検証できた」という範囲を超えないからだ。
大体の場合、仮説の裏付けを取ろうとするような分析では、定性と定量の関係は以下ような状態になっている。
その「定性的な課題」が検証してもビジネスインパクトが出ないような重要でない課題だったら、その後の分析をいくらやっても価値は出ない。
だから、その「MAXで得られる成果」を確認しておくためにも、確認したい仮説をいきなりデータで語らずに、まずは定性的に表現してみるステップを踏んだ方が良い。
まとめ
仮説検証系の分析の場合、いきなり定量的に考える前に、まず定性的に整理してみるのがおすすめです。なぜかと言うと、定量的な分析で得られる成果は「定性的に定義した課題が全部裏付けられた」という範囲を超えないからです。