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光ファイバー使うなら知っておきたい裏側の仕組み:受動光ネットワーク「PON」

「私専用の光ケーブル、いったいどこから分岐しているのか?」

はい、こんにちは!松井真也です。新シリーズ「1分でわかる!ネットワーク用語」第10回でございます。

前回は、FTTH(Fiber To The Home)のお話をしました。自宅に光ファイバーを導入することができる素晴らしい世の中になりましたね。私たちはどこまで伝送速度を追い求めるのでしょうか?

さて、今回は、FTTHに関連する技術として、PONをご紹介します。なんか親しみやすい名称ですね!このPassive Optical Network(受動光ネットワーク)は、私たちの気づかないところで、光ファイバー通信を楽しむために重要な役割を果たしてくれています。

どんな技術でしょうか?早速見てみましょう!

PONとは何か?

まずはPONの基本から説明しましょう!

PONは、一本の光ファイバー回線を複数の加入者で共有する通信方式です。これは、光ファイバーを用いた公衆網の一形態で、前回紹介したFTTH(Fiber To The Home)で、家庭まで光ファイバーを直接引き込むときに利用されています。

さて、ここでPONはどのように機能するのでしょうか。通信事業者の収容局から出発した光ファイバーは、途中に設置された「光スプリッタ」によって分岐され、最終的に複数の加入者宅へと届けられます。このプロセスにより、一つの回線が多くの家庭にサービスを提供することが可能になるわけです。

PONの最大の特徴は、この「光スプリッタ」という受動装置を用いることです。「受動って何よ?」と思いますよね。光スプリッタは、電源を必要とせず、電気的な処理を行いません。そのため、受動と呼ばれます(FTPなどITでは受動って用語がとときどき耳にしますね…)。

おかげでメンテナンスの手間と費用が大いに削減できます。

イメージが湧かないですね。絵にしましょう。

PONの仕組み

光スプリッタは、判断をしません。届いたデータを各宅のONU(Optical Network Unit)に向けて送ります。ONUは、自分のデータだけ受け取った残りは廃棄します。う~ん、リピータハブみないな振舞いですね。

以上のとおり、PONは、光スプリッタによりFTTHの引き込みに使われる技術であることは分かりました!

PONが優位な特徴とは?

では、PON以外の通信方式「AON(Active Optical Network)」と比較しましょう。

AONは、「アクティブ光ネットワーク」です。その名の通り、こちらは電気を使って通信に介入します。

AONでは、通信事業者の収容局から加入者宅への光ファイバー回線の終端に、メディア変換機能を持つアクティブな分岐装置を設置します。つまり、このシステムでは、加入者宅までの間に光信号を電気信号に変換するための装置が必要となるのです。

AONの大きな特徴は、加入者宅までの回線に既存のメタルケーブル(例えば銅線)を使用することができる点です。これにより、新たに光ファイバーを引き込むコストは抑えることが可能になります。

ただし、この方式では、局外に電源が必要となるため、設置場所が限られたり、設置や運用におけるコストが発生します。

このように、その設置・運用コストの面から、家庭向けのサービスにはPONのような受動的な方式が好まれます。


はい、本日はここまで。今回は、FTTHに使われる重要な技術PONについてご紹介しました。技術的には、分割技術(TDM)についてもお話ししたかったのですが、時間の制約上お許しください。

次回は、PLCについてです。では!

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