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高速で障害に強い!ネットワークを構築する:リンクアグリゲーション(LAG)

「スイッチ間の複数のケーブルで結んだら、通信は速くなるのかな?」

こんにちは!松井真也です。有線LANの標準規格「イーサネット」について、シリーズ記事を書いております。

前回は、STPの高速化版「RSTP」についてご紹介しました。STPでは、トポロジーに変更があったり、障害があったりした際、収束に時間がかかったところ、RSTPでは数秒で収束可能でした。

今回は、これに関連して、リンクアグリゲーション(LAG)についてご紹介します。STPは実際のところ課題がいくつかあって現代ではあまり使われません。それに代わるのがリンクアグリゲーションです。STPの弱点の多くをこれにより克服できます。果たしてどんな技術でしょうか?

さっそく行ってみましょう!

リンクアグリゲーションって何だ?

リンクアグリゲーション(Link Aggregation Group、LAG)は、現代のネットワーク技術においてとても重要な役割を担っています。

簡単にいうと、LAGは、複数の物理的回線を束ね、一つの仮想的な(論理的な)回線として機能させる技術です。仮想化技術、冗長化技術の一つですね。

文字通り、回線(Link)を集める・束ねる(Aggregate)技術です。

これがLAGの強みだ

リンクアグリゲーションは、特に構内ネットワーク(LAN)上でネットワークスイッチ間やサーバーとスイッチ間の通信において効果を発揮します。

LAGによって、1)通信速度を向上させる、2)ネットワークの耐障害性を高めることを同時にできるのです。よし、少し詳しく見てみましょう!

1)帯域の拡大

複数の回線を束ねることで、単一の回線よりも大きな帯域幅を確保できます。

LAGで帯域を拡大

例えば、1Gbpsのイーサネット回線を2本束ねることにより、合計2Gbpsの帯域幅を持つ仮想的な回線を構築できます。これにより、大量のデータを迅速にやり取りすることが可能になり、ネットワークのパフォーマンスが大幅に向上します。

2)冗長化による耐障害性の向上

一つの回線に障害が発生しても、他の回線が機能を維持するため、通信は継続されます。これにより、回線の一部に障害が発生しても、ネットワーク全体のダウンタイムを防ぐことができ、より信頼性の高い通信環境を提供します。

LAGによる縮退した通信

例えば、1Gbpsのイーサネット回線を2本束ねてあれば、1本に障害がおきても、1Gbpsの帯域幅を持つ仮想的な回線で通信を継続できます。

これで強みは分かりました!

IEEE 802.3adで標準化

このLAGですが、2000年に策定されたIEEE 802.3adで標準化されています。標準的なプロトコルであるLink Aggregation Control Protocol(LACP)を定義していて、多くのネットワーク機器に実装されており、異なるメーカーの機器間での互換性が保証されます。

他方、米Cisco社は、独自のプロトコルであるPort Aggregation Protocol(PAgP)を使用し、イーサチャネル(EtherChannel)と呼ばれるリンクアグリゲーション機能を提供しています。もしかすると、LAGよりもイーサチャネルの方が名前のとおりがよいでしょうか?

STPよりもここが魅力的だ

LAGは、先に紹介したSTP(Spanning Tree Protocol)と比較して、いくつかの優位性があります。

  1. LAGは障害発生時の収束時間が短い。

  2. 設定も運用も比較的簡単。

  3. 複数の回線を効率良く利用することで、帯域を無駄なく使える。

これに対して、STPは、せっかく冗長化した経路を無効化しますから、帯域の一部が未使用になりもったいないです。

このような利点があるので、LAGは現代ではSTPより好んで取り入れられているというわけです。


はい、本日はここまで!今回は、スイッチ間のリンクを論理的に束ねて、高速化と冗長化を実現する技術「リンクアグリゲーション」についてご紹介しました!


以上で、有線LANの標準規格「イーサネット」シリーズは終了とします。2024年第1弾のシリーズです。毎回のことながら最後まで記事がかけるか不安なのですけど、乗り切れてよかったです。皆様の学習に少しでもお役に立てたなら幸いです。私自身、非常に勉強になりました!

次回は、別のシリーズの紹介に参りましょう!


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