シールド付きvsシールド無し!コストとのバランスを考えよう:UTPとSTP
はい、こんにちは!有線LANの標準規格イーサネットについて連続記事でご紹介しております。
前回は、ツイストペアケーブルの芯線の交差の違い(ストレートまたはクロス)をスイッチやルータ側で吸収する仕組み「Auto MDI/MDI-X」についてお話ししました。ありがたい機能ですね!
さて、今回は、まだツイストペアケーブルのお話しです。ツイストペアケーブルは、いろいろな観点から分類できますが、今度はシールド(被覆材)の有無で分類してみましょう!
ケーブルにシールドがあるか、ないかなんて考えてみたこともないですね!?でも、どの環境や条件にどのタイプのケーブルが最適か、この機会にぜひ知っておくことにしましょう!
では行ってみましょう!
ツイストペアケーブルの基本構造
まずは、ツイストペアケーブルの基本構造を振り返りましょう!
ツイストペアケーブルは、絶縁された二本の銅線を、ツイストして(より合わせて)作られています。この構造により、電磁干渉を減少させることができます。一般的には、4対の8本(8芯式)を束ねた形態がよく使われます。
この先の理解のために、この構造を念頭においておきましょう!
なぜシールドで覆うのか?
ツイストペアケーブルには、シールドで覆うものと、覆わないものがあります。
それぞれ、
UTP(Unshielded Twisted Pair Cable)
STP(Shielded Twisted Pair Cable)
と呼ばれます。なお、後者の「STP」は、Spanning Tree Protocolの略でもあるので、ネットワークを学んでいると一瞬どちらのことが迷います…。
なぜシールドで覆うものがあるかといえば、電磁干渉から守るためです。
なら、「すべてのケーブルをシールドで覆ってしまそう?」となりそうですが、そんなに単純ではありません。
では、UTPとSTPの違いを見ていきましょう!
UTPケーブル(Unshielded Twisted Pair)
UTPケーブルは、最も基本的なツイストペアケーブルです。シールドが施されておらず、外界からの電磁ノイズに影響を受けやすいです。
しかし、その単純な構造からコストが低く、一般的なオフィスや家庭での使用には十分な性能を提供します。
よほど、電磁ノイズの影響が懸念される環境でない限り、UTPで十分です。
STPケーブル(Shielded Twisted Pair)
STPケーブルは、シールドが施されていることが特徴です。シールドにより、電磁ノイズに対してケーブルが保護されます。工場など電磁ノイズの影響が懸念される環境に適しています。
ただ、単に「ケーブルをシールドする」といっても、
被覆の対象:ペア or ケーブル全体
被覆の材料:編組(へんそ;メッシュ) or 薄膜(ホイル)
による違いがあります。この組み合わせによりSTPケーブルには、バラエティがあります。
シールドの違いを理解しよう!
では、STPを深堀りしましょう。より詳細にケーブルの仕様を表記する方法があります。次のとおりです。
【ケーブル全体のシールド】/【ペア単位のシールド】TP
スラッシュを使うことで、被覆対象がどこなのかが分かるわけです。さらに、この【 】内に被覆材料を表すアルファベットを入れます。
U:シールドなし
S:編組(金属メッシュ)
F:ホイル(Foil)
イメージが湧きませんか?具体例を示します。
U/UTP:何もシールドされていません。典型的なLANケーブルです。
U/FTP:ペア単位で薄膜で被覆されています。
F/UTP:ケーブル全体を薄膜で被覆されています。
S/FTP:薄膜でペアを被覆した上に、ケーブル全体を編組で被覆しています。重厚なノイズ対応ですね。
ただ、単に「STP」といった場合は、「U/STP」を指すことが多く、また単に「FTP」といった場合は、「U/FTP」(ペアをホイル)なのか、「F/UTP」(ケーブルをホイル)なのか定まっていないようです。(参考:「IT用語辞典E-Words」)。
「扱いやすさやコスト」とのトレードオフ
さて、ケーブルの違いを理解したところで、どのようにケーブルを選ぶのがよいでしょうか。
上述したように、電磁ノイズの心配がそもそもないらな、UTP一択です。その心配があるのなら、シールド付きを選びます。
ただ、手厚く被覆すればするほど、柔軟性は下がり、重量は増えます。結果として、取り回しが悪くなり、加工しにくくなります。
そして、何よりシールド付きの方がUTPよりも価格が高いです。
以上を踏まえると、まずはネットワークをUTPで構成して、ノイズの影響が明らかな箇所が確認できたならば、シールド付きに交換を検討する…という運用が典型的ではないでしょうか。あとから交換するのが面倒な場合もありましょうが、状況次第ですね。
はい、本日はここまで!今回は、シールドの有無によるツイストペアケーブルの違いについてお話ししました。
次回は、、、銅線のケーブルを離れて、光ファイバーケーブルについてご紹介します!
では!