
インターネットの「地図」を描くプロトコル:ルーティングプロトコルとは?
「私が送ったデータは、どんなルールで転送されて相手に届くのだろうか?」
はい、こんにちは!松井真也です。シリーズ「基礎から分かる!ルーティング大全」第6回でございます。
前回は、「スタティックルーティング」と「ダイナミックルーティング」についてお話ししました。経路表である「ルーティングテーブル」を手動で設定するか、自動で設定するかの違いでしたね。
さて、今回は、そのダイナミックルーティングを実現するための「ルーティングプロトコル」について全体像をつかむことにしましょう!ルーティングプロトコルはたくさんありますが、いくつか代表的なものを押さえておくことが大事です。
では、いってみましょう!
ルーティングプロトコルの役割
ルータは、ネットワーク上のどの経路にパケットを送出するかを決めるには、ルーティングテーブルを参照するのでした。
この「ルーティングテーブル」を一定のルールにしたがって自動的(ダイナミック)に決定するルールが、「ルーティングプロトコル」です!
ルーティングプロトコルは、データパケットが目的地に効率的に到達するための道しるべのようなものです。このプロトコルがあるおかげで、ルータは受け取ったデータを次の転送先へと正確に導くことができるのです。

このルーティングプロトコルには、大きくIGP(Interior Gateway Protocol)とEGP(Exterior Gateway Protocol)の二つのタイプがあります。この記事では、この分類に焦点をあてます。
IGPは、一つの組織内のネットワーク(AS;Autonomous System)で使用されるプロトコルです。一方、EGPは異なるAS間での経路情報交換に使われるプロトコルです。言葉どおりですね。
AS(自律システム)という重要な単位
突然、AS(Autonomous System)という聞きなれない言葉がでてきましたね。これは、ルーティングの文脈で登場する重要な概念なんです。これを先に確認しておきましょう。
ASは、一つのネットワーク管理者によって制御される一連のIPネットワーク群を指します。単一のネットワーク管理者が管理できる範囲を示していることがポイントです。具体的な特徴は次の通りです。
管理ポリシーが一貫している
AS内のネットワークは単一の管理者や組織によって管理されており、その管理下にあるネットワーク機器は共通のルーティングポリシーに従います。
ユニークな識別子がある
それぞれのASは、ユニークなAS番号(ASN)によって識別されます。このASNは、インターネット上での経路交換で、特定のASの識別に使用されます。
ルーティングプロトコルの使用: AS間でルーティング情報を交換する際には、主にBGP(Border Gateway Protocol)というルーティングプロトコルが使用されます。BGPを用いることで、異なるAS間で効率的にデータをルーティングすることが可能になります。
インターネットに相互接続するための枠組み
ASはインターネットに接続された異なるネットワークを統合するための仕組みです。これのお陰で、インターネットは世界中のさまざまなネットワークが相互に接続する「巨大なネットワーク」として機能するというわけです。
これでインターネットの構成単位としてのASが何となく分かりました!
AS内のルーティング:IGP
では、AS内での経路選択に使用されるプロトコルIGP(Interior Gateway Protocol)を見てみましょう。
IGPには、様々なプロトコルがありますが、このシリーズでは、代表的プロトコルであるRIPとOSPFの2種類を押さえることにします。専門用語が出てきますが、別記事できちんと解説します。
RIPは、「ディスタンスベクトル型プロトコル」で、最短のホップ数を基準にルーティングを行います。
OSPFは「リンクステート型プロトコル」で、より詳細なネットワークの状態を考慮してルーティングを行います。
これらのプロトコルは、それぞれのネットワークの要件に基づいて選択されるますよ。
AS間のルーティング:EGP
EGP(Exterior Gateway Protocol)は、異なるAS間のルーティング情報を交換するために使用されます。
インターネットでは、この役割を現代ではBGP4(Border Gateway Protocol)が担っています。これだけEGPは、このBGP4を押さえておけばとりあえずOKです。
各ASのネットワークアドレスや到達可能な経路情報を共有して、インターネット上でデータが最適な経路を通じて目的地に到達することを可能にします。
ルーティングプロトコルの選択方法
ということで、いくつかプロトコルが登場しましたが、最適なルーティングプロトコルの選択は、ネットワークの要件に依存します。
例えば、小規模なネットワークでは、設定が比較的簡単なRIPが適しているかもしれません。一方、大規模ネットワークやより複雑な要件を持つ場合は、OSPFのような高度なプロトコルが必要になります。
また、管理のしやすさだけでなく、パフォーマンスやセキュリティといった複数の観点からも、適切なプロトコルを選択しないといけません。
いずれにせよ、各プロトコルの詳細は次回以降に!
はい、本日はここまで!今回は、ルーティングプロトコルの概要についてつかむことができました。
次回は、ルーティングプロトコルのアルゴリズムを見ていくことにしましょう!
では。