世界一周物語17話"番外編世界一周準備編"〜京都で4店舗の飲食店を経営する五十棲さんとの出会い〜
京都で4店舗の飲食店を経営する五十棲さんとの出会い
ちなみに、最近、カンブリア宮殿に出られていたそう。
器用ではない僕は、こっちが楽しくなると、学校へ行くのがだんだん少なくなっていく。仕事が終わるのは深夜で家に帰って寝るのは夜中の1時や2時に平気でなってしまっていた。
それで、起きて学校へ行くことはだんだんと出来なくなり、大学3回生の前期はほぼ学校へ行けなくなり、ほぼ単位が取れない状況。
ちなみに2年生までは真面目までとは言えないが、単位は落とす事はないぐらいに学校へ通っていた。そして教職の単位も取っていたので、一般的な大学生の倍の単位を取得していた。
そして、少年の大学では小学校の教諭の免許は取得できなかったので、佛教大学の教育学部にも通っていた。また、児童福祉施設のボランティアの部活にも週2回あったが、毎回出席していた。
そう、少年は着実に教師になる為の歩みを進めていた。
お店で働く時間が長くなるにつれて、学校へ行く頻度が減っていった。
イソマツに週6日で出勤する日々。
少年にとっては、教師になりたいと言うより、お店を持ちたい、そんな想いの方が強くなってきていた。そして、このお店で数年働いて、自分のお店を持ちたいなと漠然と思っていた。そんな想いを胸に仕事に励んでいた。
そんなある日、お店に社長の五十棲さんがお店に来られた。
少年は五十棲さんに度肝を抜かれた。
常連さんに次々と話しかけ、五十棲さんが来るとお店の雰囲気がガラッと変わっていく。社員さんの顔もいつも以上に引き締まり、五十棲さんが来る日と来ない日では雰囲気が全く違うように感じた。
自分自身、お店をやるには、料理が上手くないといけない。料理の勉強をしようと思ってこのお店に入った。しかし、イソマツさんを見ていると、一切キッチンに入らず、お客さんを見て、お店全体をチェック。
そして五十棲さんが必ず来る所と言えば、ボクがいる洗い場。そんな五十棲さんを見ていると、料理の腕より、人間的な魅力が必要なんだな~と思うようになる。
お客さんはお店のスタッフに、スタッフは社長に惹かれて、
その店や、会社に来るのではないか?
少年は考えた。
僕は料理人になりたいのか?
それとも、自分で会社を経営したいのか?
もちろん、五十棲さんは京都の有名居酒屋で2年間ほど修行をされたそうだ。しかし、五十棲さんは、料理人というより、経営者だな〜と思った。
そこで、少年は思った。
僕は、料理人というより、自分の城が築きたい。
そう思っていた。
お店をやるのに必要な人間的な魅力を備えているのか?
五十棲さんみたいになりたい。
五十棲さんとボクとの差は何なのか?
少年は考えた。
人間的な魅力。
すごく愛想は良くて、腰は低いが、どこか自信に満ち溢れた態度。
お金持ちそうな人や地位の高さそうな人とも対等に接する態度。
言葉ではうまく説明できないが、
人間としての器と言うか、
覚悟と言うか、
人間としての魅力というか、
そんなものが圧倒的な違いがあると少年は痛感した。
お店をやるとかやらないとか以前の問題だと思った。
人間として、全く歯が立たないのを痛感した少年だった。
そんな思いから、少しでも五十棲さんに近づく方法はないのか?
そんな事を少年は考えた。
自分の魅力を上げることは何だろうか?
仕事に明け暮れる日々を過ごしながら、来る日も来る日も考えた。
今まで生きてきた人生の中で最も衝撃を受けたのが、
モンゴルの国際ボランティア。
だったら、もっと他の国へ行って、
色々な人と出会って、色々な経験をすることではないか?
そうだ、海外にもう一度行こう。少年は思った。
もう一度海外へ行って、自分を成長させたい。
次は何処へ行こうか?
タイのカオサンロードがバックパッカーの聖地らしい。
インドも人生を変えてくれるらしい。
アフリカもやっぱり行ってみたい。
オシャレなヨーロッパにも行ってみたい。
そんなこんなで、行きたい所がたくさんあって、行き先が決まらない。
色々な旅行雑誌や本を見て、どこに行こうか探していると、
ある本に出会う。
それが高橋歩の本だった。彼は世界一周を進めていた。
そうだ、僕も色々な国へ巡る世界一周へ行こうと。
なんだか、世界一周という言葉がカッコよく感じた。
世界一周へ行こうと決めた、少年。
決めたら、あとは行動に移すのみ。
休学を決意する少年
世界一周に行くと言うことは、大学なんて通ってられない。
と言うことは、大学は行く必要はない。
と言うことで、大学を辞めようと少年は考えた。
大学を退学するため書類もらいに大学の学生センターへ行く少年。
退学しようとする旨を職員さんに説明する。
『何で退学したいの?』センターの人
『世界一周へ行こうと思っています。』少年
『。。。。留学ではなくて?』セ
『はい。色々な国を1年間巡ろうと思っています。』少
『旅行ということですか?』セ
『旅行というか旅です。世界一周の旅です。』少
『。。。。』セ
何かお猿さんとでも喋っているようなセンターの職員さん。
この子何を言っているのだろう?
バカなのだろうか?この子は。
と言う目をしていた。
被害妄想とかではなく、絶対に思っていた。
逆の立場だったら、僕は思っていると思う。
職員さんは、頭の中が???
でいっぱいになっていたのが少年にはわかった。
今まで、語学留学や卒業が難しくなって
退学願いをしに行く人はたくさんいたのだろう。
」
しかし、『世界一周』をやりたいから、
退学したいですという学生はあまりいなかったのだろう。
そして、窓口の奥に通され、2時間ぐらい喋っただろうか?
お金のこと、親御さんのこと、教職のこと、貰っていた奨学金のこと。
まあ、センターのスタッフの人と相談して、、勧められたのが休学。
休学だと年間の休学費が10万円ぐらいだったかな?
それを収めると休学という形になって、
海外から帰ってきたら、復学できるらしい。
そして、最大2年間の連続しての休学が可能らしい。
まあ、どうせ帰ってきても大学なんて通う気はないし、
少年は学校を辞める退学をしようと思っていた。
そして、学生センターで、休学届と退学届の両方の書類をもらい、
家に帰って、早速、母親に相談というか、報告をする。
休学するという旨の。
少年は知っていた。
何事も、相談ではなく、報告がいいと言うことを。
自分が決めかねている時は、大人には相談しない。
自分で決めてから、僕はこうすると決めてから、報告する。
すると、大体の交渉事はうまくいく。
それが一番だと、モンゴルの国際ボランティアで行くことを決めて、行動に移す時に身にしみて感じていた。
だから、今回も、事後報告。
そして、母親に海外一周の旅へ出たいから、大学を辞めると報告。
そんなことは許されるはずもなく、バトル。
バトルの結果、折衷案として、
世界一周の旅へ行っていいから、帰ってきたら大学を必ず、卒業することっていう約束の元、大学を休学しての海外一周の旅が決定。
母親を説得して、世界一周の為に大学を2年間休学する。
そして、一旦、大学生を辞めて、
そこから、世界一周へ向けての働く日々が本格的に始まっていく。
やりたい事を掲げ、そこに向かって歩みを進める
少年は思った。
やりたい事をやっていく過程で、幾つかの壁が生まれるんではないか?
その壁は
『自分がやろうとしていることは本当に成し遂げたいことなのか?』
その壁は、少年を試していたかのように。
誰かに反対されて諦めらるような夢だったら、
やめた方がいい。
やりたいことをやるために必要なお金が貯められないようなら、
やめた方がいい。
自分の前の立ちはだかる壁はそんな事を言っているかのようだった。
やりたいことをやる。
その為には、色々な『辞めなけらばならないモノ』
があるんだなと少年は思った。
他人の言うことを聞くお利口な自分。
他人が歩んでいる正しいとされる道に、違和感がありながらも従う自分。
他人から、どう見られているかを気にする自分。
やりたいことを実現していく為には、
今ままでの自分と、お別れをすることでもあったのではないか?
少年は今までの世間一般の人が良しとする道から外れて、
自分の道を歩もうとしていた。
そのきっかけが世界一周であって、
それはなんでも良かったのかもしれない。
世界一周への道がここから始まる。
別に、世界一周へ行ったからって、尊敬する五十棲さんに近づける事はないかもしれないし、人間的な魅力があるかも分からない。
しかし、自分がやりたいと思える夢や目標を掲げ、そこに向かって、歩みを進めるその過程こそ、かけがえのない日々であったのではないか?
当時を振り返って、私は思った。
次回に続く。