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〜ガテン系の仕事を始めるの巻〜世界一周物語19話"番外編"

建築現場を通りかかると、今でも自分が働いていた時の光景が蘇る。

建築現場で働く人は、肉体労働をする人達。
デスクで働く人は、頭を使う人達。

少年は、どこか、肉体労働をする人をどこか蔑んでいたように感じる。
そこで働く人は、デスクで働く人より、社会的な立場が低いように
感じていた。

建築現場で出会った職人さん達は、
自分達の仕事にポリシーを持って働いていた。
石膏ボードを運ぶのにももちろん技術が必要で、
狭い階段を傷つけないように、角度を考え、置き方を考え、
自分の汗が石膏ボードにつかいないように考え。
新人とベテランでは運ぶスピードが全く違っていた。

どの仕事が社会的に上や下なんてないんだな〜と。

給料の多い少ないで、仕事の優劣をつけてしまっていたように、
そして見た目で人を判断してしまっていたように。

1ヶ月の短い荷揚げの仕事だったが、
少年の偏見や人間としての至らなさを痛感した。

自分の中の固定観念がどれだけ世界を狭めているかを実感した。

自分自身を見つめる時も
他人を見つめる時に抱く固定観念を抱いてしまうように感じる。

あの人はここがこうだから、こうだ。
と思っている自分は、
自分のここの部分がこうだから、こうだ。
と思っている。

人に対して固定観念を持って接すると言うことは、
自分自身に対して固定観念を持って接すること。

人に抱く固定観点は、結局は自分自身を苦しめていたのではないだろうか?

学歴が、とか
年収が、とか
容赦が、とか、
友達が、とか、
身長が、とか、
体重が、とか、
性格が、とか
社会的な立場が、とか

日本社会に住む大勢の人が””良し””とする人間像を
自分自身も良しとしてしまったいたのではないか?

普通は、、、、
社会は、、、、
一般的には、、、、
平均では、、、、

人間一人一人、
持って生まれてきたもの
育ってきて中で中で身につけて来たもの
先祖から受け継いだもの

それぞれ違う中で、
人間を単一化すること自体に無理があるのではないか?

””良くない””とするものを
良くないとしてしまっていたのではないだろうか?

いつしか、自分の物差しではなく、
他人の物差しで世界を見つめてい他のではないか?

自分の物差しは自分で決めるべきもので、
他人に委ねるべきではない。

自分の物差しは自分で決める

少年はガテン系のシゴトの1ヶ月を通じて、そう思った。

建築現場で働いた少年の胸の内


ガテン系のシゴトの”荷上げ”を始める

五十松のは、週に5〜6回。17時〜24時ぐらいまで。
段々と、五十松の仕事が慣れてきて、身体的にも余裕ができてきた。

そこで、少年は昼の仕事も探すことにする。
五十松のアルバイトに兄貴がいた。
その兄貴は朝は荷上げという仕事をしていた。

荷上げという仕事は、
建築現場で、畳一畳分の石膏ボードを一階から上の階へあげていく仕事。
荷物をあげる仕事ということで、『荷上げ』。

兄貴がこの仕事をやっていたので、少年はこの仕事を紹介してもらう。
早速、面接へいき、無事に合格して、荷上げの仕事がスタートする。


朝の5時ごろに事務所へ行き、
各建築現場へ派遣されていくというスタイル。
大体は建築中のビルや大きな建物。
現場によって3人で行ったり、5人で行ったりと言う感じだ。

そして、現場へ行くと、必ず、ラジオ体操から始まる。
そこの現場で仕事をする大工さん、
電気関係、現場監督、クレーン作業員、いろいろな職人の全ての人が
ラジオ体操から始まる。

そして、現場監督の『今日も安全に』という掛け声で一日がスタートする。

少年はその光景が好きだった。

仕事は辛さしかなかったが、
最初のその光景を楽しみに行っていたようなものだ。笑


僕たちの仕事と言えば、
ひたすらに石膏ボードを上に上に上げていくというもの。
新人は2枚ぐらい。ベテランの人は倍の4〜5枚は持ち上げる。

その石膏ボードをビルの階段を一階から上の階へひたすらにあげていく。

この仕事半端じゃない。
めちゃくちゃきつい。
逃げ場のない仕事。
サボり用もない。

実力差が如実にわかる仕事で、
この仕事が人生で経験した中でダントツきつかった。

千円札を握りしめてのパシリ

ガテン系の仕事は強面な人が多かった。
いろいろな場所に墨が入った人や、少年院上がりの人や、いろいろな人が職場にはいた。休憩時間や、朝出勤した時に、少年は恐る恐る喋る。

生まれてこの方20年、
平穏な兵庫の片田舎に育ってきた少年は、こんな世界もあるんだな〜と。

テレビや映画ではこういう人達が描かれていたので、
頭ではこういう人がいるのもわかっていた。
一緒の職場で、働いてみて、現実として、いはるんだな〜と。
喋ることや、食べるもの、人としての優しさは当たり前だけど、ノット強面の人とは変わらない。

むしろ、義理や人情みたいなところはすごくあったように感じた。

ちょっとしたことだけど、
コンビニに缶コーヒーを買いに行ってこいと言われた時、1000円渡されて、みんな分の缶コーヒーを1番の先輩が奢る。

そして、買い出しは1番の下っ端がいく。お釣りはお前が持っとけと、くれた。なんかいいな〜と思ったのを少年は覚えている。

1番の下っ端が、パシられるのは給料が1番低いから、お釣りをあげようとする先輩の優しさからなのかもしれないと少年は思った。

事務所への朝の出勤は5時。
京都の外れに住んでいた少年は4時ごろに起きないと、
自分の家から事務所まで間に合わない。

ということは、五十松の仕事から帰ってきて、
なんぼ早く寝れても、夜中の1時。4時間睡眠にしかできない計算になる。

そして、荷上げの仕事が大体12時〜13時ごろに終わる。
そして家に帰って、シャワーを浴びたりして、夕方の5時にまた五十松に出勤。
体力的にめちゃくちゃキツかったし、身体はついていかなかった。


これは無理だと感じた少年は荷上げの仕事を1ヶ月で辞めることにした。

次章に続く。


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