垂水文弥「The bird crossed the twilight moon」 角川俳句賞2024
The bird crossed twilight moon
ゆふぐれの手毬にひとびとに唄が
神見えてゐるなる父の寒さかな
狸らがこまかく見えて雨の中
機械に思想水仙に雪がふる
ずつとゐるまんさくに貧相な犬
寄居虫は夜のさびしさを昼も負ふ
電柱へ死者が歩いてゆきやなぎ
中年や流れつきたる蝌蚪の国
春はきさらぎ鳩もつどへば話し込み
あちらから見えてこちらの椿かな
月に水ありてふてふに死が近い
雛飾る日本に軍人の時代
目まぐるしい昼だ蜂来て鳥が食ふ
あはうみの色の衣よ春の鹿
巫