高校生活の陽炎


なんか影響されたから小説風高校生活を書きたい。

このシリーズは(多分今回でやめるけど)俺が高校生活にあった出来事を小説風に書き綴っていく物語です。

メンバー紹介が必要な場合は先に書きます。

それでは本編。

暑い。袖の下から水滴が流れる。

お世辞にもオシャレとは言えないスクールバッグの重さが、天気予報のサイトに示された気温よりも高く感じさせた。

昨日までの大学生活から一転、気がつくと僕は、8月の、忘れられない夏の真っ只中にいたのだった。

信じられない。これは、人生で一番の夏の日だったのだ。

僕が所属するクラスは、いわゆる特進コースで、夏にも講習があった。

大学をサボり怠惰に耽っていた僕は、何故この場所にいるんだろう。

覚束ない足元で、教室に向かう。中には変わり映えしないメンツで賑わっていた。

まだ予習しきれていない英語のテキストを開いて、当てられた時に困惑しないために、前の列から逆算して、当てられそうな箇所だけ問題を解こうとする。

ああ、間違いない。高校生の時の自分だ。

あっという間にホームルームが終わり、俺たちは、待ちに待った今日を楽しみにしていたのだ。

その日は俺の好きな子の誕生日だった。クラスにある男女グルで、サプライズで祝おうと決めていた日だった。

ケーキを買いに行く男性陣を見送り、それがバレないように彼女を引き留め、クラスで会話している時間は間違いなくこの世で一番カメラ写りが良かっただろう。

みんなが帰ってきたあと、教室でケーキを食べ、
そこにいる全員が幸せになる空間ができた。
夕方に差し掛かったので江古田にある公園に向かった。

水風船。

もうやることはなくなってしまったけど、無邪気に水を掛け合い、大笑いしながらびしょ濡れになった。

日もくれて、最後に花火。
ロケット花火やこま花火、色とりどりな花火などの華やかな灯火が、青春を形づくる。

疲れ切って笑い声が少し小さくなると、線香花火に火がついていた。

「ずっと続いてくれれば」

線香花火に思いを託す。

儚く散りゆくその導火線は、青春という言葉の意味を示唆していた。

花火は終わり、僕はあの子と電車に乗る。
気がつくと、3番線のホームに2人。

音のない空間に、緊張を隠す声が一つ。

「今日家まで送ろっか?」

「ほんと?」

「うん」

心なしか嬉しそうな君が、僕の横を歩く。

袖の下からまた水滴が出る。

けど、朝のとは決して違う。
青春モノの漫画よくある、きっとああいう水滴だろう。

お世辞にもオシャレとは言えないスクールバッグも、今日だけは愛おしく思える気がした。

でもやっぱり、気温は天気予報のアプリよりもずっとずっと高いように感じた。


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後日談

今振り返ると、この時が一番輝いていたなと思います。

今ももちろんキラキラしていると思うけど、一つ一つのイベントにワクワクしていたと思う。

みんなと同じことをやらされる環境下があったからこそ、こう言った非日常は他の思い出に比べて綺麗に映るような気がする。

なんというか久々に、文章を用いて自分の書きたいことを書けた気がする。気分がいいのでまた続けます。



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