春風と共に
出会いと別れが入り混じる季節がやってきた。
別れって寂しいんだけど、ちょっといいなって思う体験があった。
去年の3月ぐらいからお世話になった先輩がいて、この一年間色んなライブでお世話になったんだけど、正直本当にそれだけの関係だった。
特にどこかに行こうという話が出るわけでもなければ、何か共通の趣味があるわけでもなく、
ただライブであって、一緒にお酒を飲んで、お互いの演奏を褒め合う
今思えば、これが理想の形だったような気がする。
言葉でまとめると端的に感じちゃうけど、きっとそんな数少ない行動の中にも、色々なものをもらっているんだと思う。その人の温かさだったり、感情だったり、喜びだったり、はたまた尊敬の念だったり。
人間関係ってきっと情報量だけじゃないんだと思う。
もちろんそれもあるけど、案外この人のこと知らないなあって思ってても、それでも俺はこの人が好きだって言い切れる何かは必ずある。
聖さんが残してくれた、後輩に愛を持って接するということ。
1人でいる後輩がいたら手を差し伸べること。
常に笑顔でいてくれて、ライブハウスを明るくしてくれたこと。
全部全部、俺のルーツになっていると思う。
そんな出会いから生まれる優しさに、春を感じた。
もうステージ上からその姿が見えなくなっても、俺自身が今度はそういう存在になれたらなと思う。
あゆむくんが俺のことをOBさんに紹介する時の誇らしげなあの顔、聖さんを見送った後ろ姿も、ずっとずっと忘れないでいたい。一つの時代が終わったあの瞬間は、間違いなく、この春で一番美しかったと思う。