THE GREAT HUNTER  黒騎士編 無明長夜の章3.動乱の話

~ユウカ~

 フォルが助けてくれた。ただそのフォルは重傷を負い、完治させることが出来たが、体力の消耗が激しいのか、目覚めるか分からない状態。特に腕がひどい状態だった。幸いなことに私でも対処できる弱い妖精のようなものしか寄ってこない。あまりここには悪い気配がしない。昨日死体の大群で一通り悪いものは倒した様だった。雲が月を完全に覆い隠し、灯りは焚火だけ。静寂が支配するこの空間に恐ろしさを覚える。私は彼の戦いを見ていたが、伝承に聞く狂戦士の様だった。

「ほんと、速く帰って来てよね、君の大剣重くて持ってくるのも一苦労だったし。ナイフとかも拾えてないし、盗まれないかは心配ないと思うけど。というか生きてるよね?傷は治ったけど…。」

 私はずうっとケイラって人との会話が気になっていた。彼の体に触れた時、彼の内面が見える。その中は曠野(こうや)であり、また北国の夜の様に暗く冷たい。その中心には温かい焚火が小さく静かに、しかし強く燃えていた。

(過去に何があったんだろう、あの時、伝わってきた感情、ものすごい負の感情。後嬉しいな…、本当に私を思っていてくれて。あと、何か懐かしい気配があるなぁ、過去にあったこと会ったっけ?)

 そう思っていると、フォルがいつの間にか起き上がっていた。凄まじい生命力だ。まるで自然がそのまま宿ったように。

「あ!目を覚ましたのなら言えばいいのに。」

 と言うと、フォルが静かに。

「ああ、そのようだな。亡者たちは現れなかったか。」

「うん、昨日で一通りやっつけたみたいだね。」

 と言うと、

「そうか。」

 といつものように答えた。けれど、表情は少し暗かった。

~フォルレジス~

 暗い世界、俺はとにかく走っていた。後ろには子供がいた、その子供はこちらを見ている。親に向ける尊敬のような眼差しで、しかし雰囲気は悲しみに満ちている。辛うじてわかる見た目は女のそれだった。それを見て言い表しがたい感情になる。何かの化け物だと思ったが、なぜかそれだけではない。それは何なのだろうか…?

 目を覚ませばユウカがそばにいた。まともに娘が生まれていれば、いずれこのくらいの少女になっただろうか。

 そう思っていると、俺の心の憐憫(れんびん)が表情に現れていたのか、ユウカが心配そうな顔をこちらに向けてくる。

「大丈夫だ。何も悪いところはない。というより、数年ぶりにまともに休んだ。」

 というともっと心配そうな顔になった。

「休んでいることには休んでいるから大丈夫だ。」

「そ、そう言う問題じゃない気がするけど。と、取り合えず歩けるのなら、飛び散った装備を取りに行きましょう。」

「ああ。」

 そしてユウカについて行くことにした。そして大剣を背中にしまった後、戦いで飛び散ったナイフなどこまごまとした物を拾い、元居た場所に戻って来た。

「ねえ、君は何で旅を続けているの?」

 少し大きい石に腰かけてユウカが低い声でそう聞いてきた。

「復讐だ。」

 まだ疲労が抜けきっていないのか、俺もユウカの横に座り、話をする。

「どうして?」

「大切なものを失ったからだ。」

「そう、失う事って辛いことなの?」

「ああ。」

「なら、何で私を仲間だって言ってくれたの?」

 淡々と答えていたら、なんとも答えるのが難しい質問をしてくる。実際俺にもよくわからないのだ。

「さあな、どうにも分からん。だがかつて俺には仲間がいた、信頼に足る仲間がだ。もう二度と思っていた。」

 するとユウカが、納得したような顔をする。何とか納得してくれたようだ。

「だから初めて会った時あんなに冷たかったのか。」

「ああ、そうだ。」

 そうこうしているうちに日が昇り始め辺りは明るくなった。少しずつさわやかな風が吹き始める。

「移動するぞ。」

「何処に?」

「ケイラ(やつ)の言っていたことが気になる。」

「うん分かった。ついて行くよ、どこまでも。」

 そして森のもっと奥の方へユウカを連れて行くことにした。静かに、しかし確かにユウカがそう答えた。その目には確かに決意が、何かの決意がみなぎっていた。

~ユウカ~

 私はまだ日が昇り始めて間もないころから、森の中をフォルと歩いていた。これまでは平らな道で歩きやすい森だった。けれど奥に行くたびに険しくなっていく。木が巨大になり、それに比例して根が大きくなり、起伏が激しくなっていた。ずっと、体の内に疲労が溜まる。一方で、フォルは息も切らしていない。

「ねえ、少し休もうよ。」

 とクタクタになった私が進言する。

「いや、止まるわけにはいかん。こい、背負ってやる。」

 そうして私に背を向け、しゃがむ。

「うん、ありがと。」

 フォルの優しさを感じ、自分が情けなくなる。

「…!」

 と、フォルが何かに気付いたように前方に飛び上がる。その後、後ろの方でドシャッと何かが落ちる音がした。

「どうしたの?」

 突然の出来事に驚いた私は、少し震える声で尋ねると、フォルが先ほど私たちがいた方向へ、私を背負ったまま向く。その光景に私は背筋が凍る感覚を感じた。

 そこにあったのは人の死体だった。

「何かが俺達を狙っている、降ろすぞ。」

「うん。」

 そしてフォルの手から離れた途端。どこからともなく声が聞こえてくる。

『役立たず。』

 それは不安と不快感を感じさせる声だった。そして確かに言った、役立たずと。そんなはずはない!すぐに否定したかったけれど、その考えはすぐに出てこなかった。

『あなたがいなければあんな大怪我をしなかったかもしれないのに、役に立ったって言うの?守られてばかりじゃない‼』

 近くで叫ばれているようにやかましい。

「うるさい!うるさい‼」

 その声の主が分からず、恐ろしかった。私の心の中は大波が荒れ狂い、耳を塞いで屈む。

「どうした⁉俺には何も聞こえない。落ち着け!」

 フォルがそう声をかけてくれるが、私の動揺は収まらない。すると何かに気付いたようにフォルが一瞬にして大剣を構える。とたん台地が轟音を上げ、揺れ始める。その恐怖で一周回ったのか、私は冷静になった。

「下がれ。」

 フォルの思いは分かっている。

「でも、大丈夫…?」

 しかし、こう言わずにはいられなかった。

「いいから下がれ、危険だ。」

「…うん。」

 そしてフォルの後ろに下がる。現れたのは大木と遜色ない大きさの巨人たちだった。

「フォル、私に考えがあるの。」

「却下だ。」

 おとりになってもいい、助けになりたい。そう思った一心で上げた言葉は、淡々とそう阻まれた。

「何で言う前からそう言うの?」

 私は心の中で憤慨した。まるで私の考え全てが否定された気がして。

「話は後だ。」

 そう言われ、もう口を閉ざすしかなくなる。すぐそこまで巨人が迫って来ていたからだ。

「貴様か。我らが森を汚さんとするものは。」

 と、先頭の巨人が語り掛けてくる。ある程度の知能はあるようだった。

「無言か、ならば貴様らを葬り去ってくれる。」

 とたん轟音が鳴る。巨人たちがその巨躯からなる力強い攻撃を腕に込め、振るってきたのだ。フォルが私を巨人のいない後ろに投げ、迫りくる巨人の腕を真正面から切り崩し、肉塊へと変える。そしてフォルが巨人の肩まで跳躍し、そのまま肩を足場にする。そして巨人の顔面に向けて何度も大剣を叩きつける。仰向けに倒れる巨人から飛び降り、追い打ちをかけるが如く落下と共に大剣を叩きつけ、巨人の頭を完全に叩き潰した。

「終わったぞ。」

 太陽に照らされ、きらきら光る血の海の中、フォルがそうやって私を呼んできた。その強さにあこがれを抱き、自分が小さなものかのように感じる。

「私、全然役に立ってない。」

 何故か不貞腐れた声で、私がそう言った。

「どうした?」

 そんな私にフォルは、少しも面倒臭がらずに心配してくれた。

「いや、迷惑かけてばかりだなって。」

 私は不満げに口にした。

「お前が心配することじゃない。行くぞ。」

 フォルはそれが何とでもないかのように口にする。そんなフォルを見ると、くだらないことで勝手に不快になっている自分が小さく見える。何度かフォルの傷を癒した。たった一度とはいえ命を助けた。けれどそれ以上にフォルに対する恩が大きすぎる。ただ二度傷を癒しただけなのだ。

 まだまだ日が浅く、冷たい風が吹き、フォルの横でまた歩いている。その時、フォルが何かに感づいて、辺りを見回した。

「どうしたの?」

 私は気になって聞いてみた。すると、

「巨人どものほかに何かがいないかを探していた。だがもういないみたいだな。」

 静まった声が森の中に響いた。フォルは未だに警戒したままだ。

「ねぇ、私って邪魔?」

 自分でも驚くほどに唐突に私は聞いた。

「そんなことは有り得ん。」

 静かに、フォルがそう答えた。その言葉には、心がこもっていない様だった。その状態が、戦いの疲労によるものだということが分かっていても私には、彼がその返答に面倒くさがっているように聞こえた。

「嘘だ。どうせ私のことはどうでもいいんでしょ⁉」

 私は思わず声を荒げて、そう答えてしまった。

「…、事を急いて考えるな。」

 少しの沈黙の後、フォルが静かにそう言う。私は考えても、考えても、疑念が離れなかった。

「だってそうでしょ、いつも戦うのはフォルだけ、ご飯だってフォルが作ってくれるし、私を頼るのは傷を治すときだけ、私はそれだけしかないの?」

「…。」

 その問いに俯くだけで何も答えない。私は自分の感情が分からず、涙が流れてくる。

「やっぱりそうだったんだ!」

 そう言い、何も考えることなく走り出す。

~フォルレジス~

「待て!」

 そう言うが、ユウカには聞こえていなかった様だった。走り出したユウカを追いかける。

「どこに行った。」

 その言葉も静寂に響くだけだ。奥へ、奥へ進んで行くと、開けた場所に出た。

「ユウカ!」

 とっさに名前を叫ぶ。

「こ、こっちに来ないで!」

 相変わらずこちらを拒絶している。すると、

「キャァァァァ!」

 とユウカの悲鳴が聞こえてきた。そして風圧がこちらを襲う。それに耐えながら見えたモノはドラゴンだった。

 そのドラゴンはユウカを丸呑みする。

「ユウカ!」

 そして飛び立とうとするドラゴンの尻尾を掴み、手が鱗に引っかかり、決して離す事は無い。とたん凄まじい風圧が俺を襲う。うねるドラゴンの尻尾が俺の体を振り回す。

「うおおおおお。」

 手で鱗を掴み、尻尾を伝い、胴体へたどり着く。

「カアアアア。」

 という独特な鳴き声でこちらに気付き、こちらを振りほどこうと激しい飛行をする。それに大剣を背中に突き刺す。

「キャアアアアア、ガァ、ガァ。」

 呻き声をあげながら顔をこちらに向け、口を開ける。その口の奥から赤い炎が暴れ出していた。

 ドラゴンの伝承を思い出す。人の及ばぬ力を持ち、そして口から炎を吐く、

「まずい…。」

 炎がこちらに迫ってきた瞬間、腰に差した長剣を引き抜き、肩に剛力を宿し、大きく開けた口に中に真っ直ぐ投げつける。それは奴の口の中を散々に傷つけ、喉の奥底に深々と突き刺さった。

「ギャアアアア!」

 その痛みにドラゴンは大きく暴れる。突き刺している大剣の柄を渾身の力で握り、その場を凌ごうとする。しかしさすがはドラゴンの膂力と言ったところか!大剣が抜け、ドラゴンの背中の上で転がる。上も下も分からぬ驚天動地にまどろみ。そこに厳しい風が吹き荒れる。

 気が付けば崖の先に降り立とうとしていた。そこは激しく動くドラゴンの翼の上だった。己が左手の爪と握力でその翼にしがみつく。

「やむを得ん。」

 翼と共に動き回る自分の体を左の腕の膨張し、鋼鉄となった肉の塊で支え、右肩に、腕に、破壊が宿る。ドラゴンの大きな翼に大剣を叩きつける。

 すると俺のいた翼の膜が二つに破れた。

「キシャアアアア!」

 呻き声をあげながらドラゴンは墜落する。だがドラゴンも落ちぬようにと抵抗したため、墜落の速さが和らいだこと。またドラゴンの体がクッションになったため、大した怪我にならずに済んだ。気付けば、ドラゴンと共に飛び去った森の開けた場所に戻って来ていた。

 それよりも早くユウカを助けなければならない。口の中にはいなかったので殺して腹を裂かなければいけないだろう。だが、ドラゴンはまだ生きている。命尽きるまで俺を殺そうとするだろう。

「お前の目的も知らん!さっさと返せ‼」

 通じないと分かっていながらもドラゴンにそう叫んだ。

「ゴアアアアアア」

 開戦の合図と言わんばかりにドラゴンが雄叫びを上げ、こちらに突進してくる。横に避けて素早くかわし、足に向かって剣を振り下ろす。鱗に亀裂を入れ、骨を砕く。しかし、直後に尻尾による薙ぎ払いが弧を描き、空いていた右の脇腹にもろに食らう。

「ぐはぁ!」

 肺が圧迫され息が漏れ出る、肋骨もいくつか折れているようだった。そして不幸は続く。吹き飛ばされ、木に叩きつけられた俺に向かってもう一度突進してくる。

「っく!」

 何とか大剣を構え辛うじて急所を守って足に岩の重さの如き力を入れる。だがいかんせん力の差がありすぎる。何度も木に叩きつけられながら、ようやく止まった。その時には左腕が折れ、足や肋骨もさらに折れてしまい、身動きが取れない状態に。何とか利き腕は守ったまだ戦える、しかし指がいくつか反対方向に折れ曲がり、使い物になるか怪しい。そのような状態では剣が振れるかどうか。だが出来る出来ないではない。やるしかないのだ。

「グルルルル。」

 ドラゴンがこちらを見つめ、俺が瀕死であるかどうかを確認してきた。そして立ち上がり、こちらを食い殺さんとする、この世から肉体さえ無き物にしようとする。その貌は勝ち誇った肉食獣のそれであり、ドラゴンにも余裕さえ生まれていた。

 大きく口を開け、こちらの足に噛み付いてきた、チャンスは今しかない。そして大剣を二本の指だけが動く右腕でつかみ、完全に折れた左腕を大剣の中腹に添える。

「死ぬのは貴様だ‼」

 力を入れるために全力で歯を血の吹きだす程噛み締め叫ぶ。体全体がまるで腕のように錯覚する。

(そうだ。足も、腕も、腹もすべてを仕え。奴を殺すために。)

 そう思い、必ず外さぬよう集中し、上半身だけで勢い良く飛び掛かる。それはちょうどドラゴンの頭を、鱗の隙間を捉え、深くヒビを入れる。

「うおおおおお!」

 まだ仕留めていない。余力の付きかけた俺は、だが瀕死の猛虎がまだ生きたいかと足掻く様に、叫び、自分でも信じられない程何度も大剣を叩きつけ続けた。そして気付けば、叩き潰した頭蓋骨から脳髄をまき散らしていた。

「ヒュー、ヒュー。」

 命が尽きようとしているドラゴンが今生の際の最後のあがきに、まだ生きたいと述べるようにか細く、その口から空気を漏らす。それは暫くしてようやく黙った。

 横に倒れているドラゴンの腹へ大剣を杖代わりにしながら足を引きずり向かう。もはや自分がなぜ立っているのかさえ分からず、ただユウカへの情を胸に小さなナイフを引き抜き、腹へ突き刺す。そのまま分厚い腹を捌き、内臓を引きずり出す。一つ一つ引き裂いて確かめる。そして大きい肉袋の様なものからユウカが流れ落ちてくる。

「ユウカ!目を覚ましてくれ。頼む、お願いだ…。」

 だんだんと声が小さくなってくる。顔に耳を近づければ小さな息はしている。胸に手を当てれば、心臓の鼓動も確かにある。だが、もう目を覚まさないのではないか。そう考えている矢先。

「大丈夫、少し休んでただけ。」

 と、確かにそう聞こえてきた。少女の赤黒い瞳がこちらを映していた。その顔は安心の微笑を浮かべている。幸い、顔に傷は無い様だ。

「ごめんなさい。また迷惑かけて。」

 そう、ユウカが静かな涙を流しながら誤って来る。

「迷惑などと思っていない。こちらこそ謝るべきだ、済まない。俺が話をしなかった。」

「え、何を?」

 驚くユウカに話しを続ける。

「お前が役に立たないなどと思うとは、だがそんな事は無い。現に俺がお前を見捨てていないのが証拠だ。」

 するとユウカが聞いてくる。

「なら何であの時何も話さなかったの?」

 と聞いてくる。

「どう言えばいいか分からなかった。」

 俺はそう答えた。

~ユウカ~

 目を覚ませば、明るい緑が目を刺激する。静寂(シジマ)が支配する空間の中で、パチパチと、焚火の音がする。そばにいたフォルから感情が流れ込んできた。心配、責任、罪悪感。そう言った謝罪的な感情が。

【どう言えばいいか分からなかった。】

 フォルがそう言う。少しこの人が分かった気がした。不愛想で、口足らずで、ただすごく優しい人。

「どう言えばいいか分からなかった。って?」

 と私が聞くと。

「お前が言っていた…事。お前にそう言われることが理解できなかった。」

 その説明で疑問が確信に変わる。

「ならどんな良いところがあるの?」

 

「傷を癒す力、それだけでも十分だ。お前の力が無ければ俺は何度も死んでいる。だがそれ以外にもある。どのような状況にも臆さない強い心を持っている。人の強さはそこで決まる。もっと自分に自信を持て。」

 力がこもったその声に嬉しくなる。

「と言うよりボロボロじゃん!私のためにそれだけ。」

 私は照れくさい気持ちを隠すように言うと。

「お前が傷を癒す力を持っていなくても助けるつもりだ。もし何も出来なくても、何かをできるようにする。お前はまだ子供だ、どんな者にもなれる。若ければどんな失敗をしても経験にしていけば良い。」

「そう…。」

 と答えると。

「何故笑っている。」

 とフォルから帰って来た。知らぬ間に笑みが浮かんでいるようだった。

「だって嬉しかったんだもん。」

 恥ずかしかったので、不機嫌を装って答えると。

「そうか。」

 と、淡々とフォルは答えた。日はまだ高い位置にあったし、さっきも眠っていたけれど、妙に瞼が重い。私は眠ることにした。

 激動の昼を終え、地獄の夜が始まる。













この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?