死にたくなったら本を買う[エッセイ]

ある歳を境に(それは高校生くらいか)僕は自殺したくなる事が度々あった。誇張でも比喩でもない。本当に首を吊りたくなっていたのだ。

僕は度々そういう気持ちになり、泣いていた。そういう時、ぼくは必ず本を買っていた。「これを読み終えたら死のう」そう思って、読み終わる頃には雑多な死に向かう悩みは消えているのだ。

何を買おうと決めて本屋に行くわけではない。本屋に行ってから面白そうな本を選ぶのだ。言い換えるのなら、私が本を選ぶのではなく、本が私を選ぶのだ。

高校三年生。今までにないほどの希死念慮を抱えて本屋に行ったとき、太宰治「人間失格」が僕に訴えかけてきた。「俺を買ってくれよ。お前みたいな奴が主人公だぞ」と。

そうして読んだ「人間失格」。自分みたいなならず者も生きていていいんだ。心が落ち着いた。以降太宰治は大好きです。

今は死にたいなんて、思わなくなりました。

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