448: Bruce Springsteen / Born To Run

ロイ・オービソンが「国民的シンガー」であったことを示すエピソードとして、若き日のブルース・スプリングスティーンが、「ボブ・ディランのような歌詞を、フィル・スペクターのようなサウンドに乗せ、ロイ・オービソンのように歌いたい」と語ったと言われています。
そんな「ザ・ボス」(「ビッグ・ボス」ではない)をロック・シーンの最前線に送り込んだのが、1975年リリースのアルバム『明日なき暴走』(US3位/UK36位)。
1stシングルとなったこの曲もUS23位のヒットとなりました。
これ以降、次々に名盤をリリースし、「国民的ロッカー」の地位を確固たるものとしました。
冒頭の言葉に戻ると、彼の詩は若者や労働者階級の目線で書かれたものが多く、「ボブ・ディランのような」強いメッセージをもっています。
また、この曲に代表されるように、多くのキーボードやホーン・セクションを重ねた分厚いサウンドは、「フィル・スペクターのような」ウォール・オブ・サウンドを意識していることは明らかです。
ただ、独特のしわがれた声は、ロイ・オービソンの澄んだ伸びやかな声とは似ても似つかないような気はします。
まあ、それこそが彼の個性であり魅力なので、似せる必要は全くないのですが。

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