549: The Beach Boys / Heroes And Villains

1960年代の半ば、大西洋の両岸の、若き天才音楽家が競い合った物語の結末は、残酷なものでした。
ビートルズ『リボルバー』に刺激を受けたブライアン・ウィルソンは、『スマイル』の作成に取りかかります。
しかしながら、レコーディングは難航し、発売は延期に。
先行して発売されたシングル「グッド・ヴァイブレーション」は大ヒットするものの、レコード会社のプレッシャーは強まる一方で、バンドメンバー間のゴタゴタもあって、次第にブライアンの精神状態は悪化していきます。
そして、1967年6月1日、ビートルズが『サージェント・ペパーズ』をリリース。
その圧倒的な完成度を耳にしたブライアンは、完全に打ちのめされ、『スマイル』の制作を中止してしまいます。
この曲は、「グッド・ヴァイブレーション」に続いてリリースされたシングル(US12位/UK8位)。
上述したような壮絶な歴史を微塵も感じさせない、能天気なアニメのMV(2011年の『ザ・スマイル・セッションズ』発売時に作られたもの)が、何とも複雑な気分にさせてくれます。
その後、ブライアンは長きにわたってスランプに陥り、ビートルズとの差は決定的なものとなります。(ま、ビートルズは実質2年後に解散しますが)
「たら」「れば」を言っても仕方ありませんが...
『スマイル』が完成していれば、音楽の歴史は違うものになっていたんじゃないか。やっぱりそう思ってしまいます。

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