297: The Beatles / Rain

ビートルズが「マッチボックス/スロー・ダウン」という、両面ともカヴァー曲のシングルをリリース(USのみ)したのは1964年の8月のこと。
それから2年も経過していない1966年6月(USは同年5月)にリリースされたシングル「ペイパーバック・ライター/レイン」は、そのわずかな期間に、ビートルズがロックをどれだけ変革させたかを見せつける作品となっています。
特に、B面のこの曲で、それはより顕著でした。
手数多めなリンゴのドラムス、メロディ楽器の様なポールのベース、インド音楽風なジョージのギター、そしてテープの速度変更や逆再生等を駆使して創り出したジョンのヴォーカル。
ほんの数年前までカヴァーしていた、ロックンロール、ロカビリーやカントリー等とは、まったく別物の音楽となっています。
しかも、そんな曲をシングルのB面でリリースするというところがおそろしい。
さらに、同時期に録音したアルバム『リボルバー』(1966年8月リリース)には、このシングル2曲を収録しなかったというのも驚きです。収録していれば、『リボルバー』の名盤度がさらに上がっていたかも知れません。
よく「ビートルズはポピュラー・ミュージックの世界を変えた」と言いますが、それが少しの誇張でもないことを、この時期の作品は示していると思います。

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