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夜明け前の21日詣り

21日詣りを始めた。
21日間続けてお詣りをすると、奇跡が起こるという。
期待してしまうなあ。
下心満々。

初日の早朝、まだ辺りが暗いころに家を出て、近所の神社に向かう。

空を見上げると、星がいっぱい出ている。
空気が澄んでいて、気持ちがいい。

パン屋で働いていたころはもっと早く家を出ていて、流れ星の時期になるとぴゅんぴゅん流れる星を目撃したもんだ。
早朝のお詣りを続けてたら、そのうちまた見られるかな。

お詣りを終えて帰ろうとすると、横道から急ぎ足の若い男性が現れた。
まだ暗いからか、彼は私を見てちょっとびっくりした様子だった。

狭くて人通りのない道を歩く。

私のちょっと前を歩いていた彼が、露骨に振り返って私を見た。

まるで「このオバチャン、なんでこんな時間にこんなところを歩きよーとかいな?」とでも言いたげな顔だ。

怪しい人と思われたくないので、道の左端を歩く彼に対抗して、私は右端を歩く。
どちらも急ぎ足だ。

すると、彼はもう一度露骨に振り返って私を見た。

さっきは右回転だったが、今度は左回転だ。

なーん。そんなに怪しまんでもよかろうもん。失礼しちゃうわ。

大きな(というか、普通の)通りに出たとたん、私はさらにスピードアップして彼を追い越し、我が家へと戻った。

「ほらね、変なオバチャンじゃなかったやろ?」という無言の主張だ。

21日詣りの1日目は、こうして終了した。

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