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京大ロー2年後期授業雑感



 4月ということで、皆様におかれましては期待と不安と色々な思いで新学期を迎えていることでしょう。私はといえば残りの必要単位が多くて泣きそうになってます。どうしてこうなった。
 ということで3年生も全く余裕がなさそうですし、記憶があるうちに後期の授業雑感を書いておきたいと思います。


民法総合2

 授業では物権法と不法行為法をメインに、相続法や不当利得を扱いました。
 課題として事例問題と事前解説が配布されますが、特に後者は一般的な教科書の内容を噛み砕いて詳細に説明してくれるので、授業後に配布される要件事実表とあわせて予習復習に大変役立ちます。また、これらに加えて先生により事前に質問する予定の内容が告知されるようです。
 授業内容については、物権法分野では相続法や総則等の関連分野と複雑に絡み合った問題を要件事実に沿って詳細に検討し、ある主張が攻撃防御構造上どのような位置付け(再抗弁か予備的抗弁か等)になるかを説得的に論じることが求められ、預金契約や混合寄託契約など普段あまり深く勉強しない論点も検討します。不法行為分野では、一般不法行為と共同不法行為のほか、名誉棄損と差止や医療過誤に関連するテーマまで幅広く扱いました。特に、因果関係や損害額の算定などでは判例通説と異なる理解を前提とした検討を要求されたりするので注意が必要かもしれません。
 教科書は特に指定されません。佐久間先生の民法の基礎2物権と潮見先生の基本講義を使う人が多いと思いますが、私の場合はとにかく授業が難解だったので、文献まであたり完璧に理解するよりは入門書で超基礎的なことを盤石にして発展的なことは授業で扱ったことに留める方針で臨みました。物権は松岡先生の物権法と択一六法、不法行為と不当利得はストゥディアを読み込んで、あとは事前解説と要件事実表で復習、たまに重問で問題演習していたら単位は何とかなりました。ただ、良い成績をとるなら物権・不当利得は重問を徹底的に解くのが有効なようです。不法行為は問題集も少ないので、基本講義を何度も読むか、旧試論文にあたってみるのも良いかもしれません。
 ソクラテスは名簿順ですが、私のクラスでは条文を答えたり簡単な説明で終わるので進みが非常に早く、2回ほどで1周してしまい逆に大変でしたね...。

商法総合2

 会社法事例演習教材の第2部を扱います。こちらは第1部と異なり会社訴訟の場面ではなく、紛争予防のための手続や制度の理解を深めることが主な内容となっています。授業内容は非常に高度で、会社法の隅々まで条文をひかされるほか、江頭や田中にも記載がないことをさらっと問われたりするので、完璧に予習するのは無理でしたね...。教科書類よりウェブで証券会社や銀行が公開しているファイナンスの解説が一番参考になったかもしれません。ちなみに、ここら辺は公認会計士試験のテキストが非常に詳しいらしいです。ただ、法律を駆使して依頼者の希望を可能な限り実現させようという問題設定自体は興味深かったですし、死ぬほど細かく条文を引かされたのもあってか会社法全体の理解が非常に深まったので大変満足度の高い授業だとは思っています(学期中は気が気じゃなかったですが...)。
 今までは第1部が司法試験に直結しており2部不要論まで提唱されていましたが、令和2年など近年の司法試験では2部の勉強内容そのものな問題も出始めているので、今後は注意深く勉強する必要があるかもしれません。
 その他、とにかく分量が膨大です。しかも手ごろな問題集がなく論証集も全く記載がないので一元化ができず、授業ノートを見直すほかありません。試験1か月以上前に復習初めても間に合うかどうかで冷や汗ものでした。私の場合はノートを見直す時間もなく読むだけじゃさっぱり記憶にも残らないので、苦肉の策で自力で一問一答のチェックシートだかサブノートだか分からない代物を作って直前期に見直し&関連条文にマーカー引いたカラフル六法をこしらえて期末に臨みました。単位は比較的甘めなようですが、可能な限り授業と並行して巻末の演習問題を解いたり復習可能な程度に端的なノート作りを心がけましょう。
 最後に、ソクラテスはどの先生も基本的に座席順みたいです。長々詰められることは稀ですが、進み具合が回により大きく違ったり途中でスタート位置が飛ぶ等で不意打ちを喰らうことがあるので注意が必要です。

民事訴訟法総合1

 第一審判決手続のうち、訴え提起から証拠までを扱います。計画上は訴訟の終了や上訴再審、複雑訴訟等は範囲外となってはいるものの、既判力や再審手続などは授業と関連する限度で取り扱われるほか試験にも出題されるので少々注意が必要です。
 教科書はケースブック民訴とロースクール民訴の2冊が指定され、判例を精読しつつ設問をひたすら解いていきます。全ての問題を検討する訳ではありませんが、それでも分量が多すぎて説明が駆け足になったり残部を自習に委ねることが多かったです。このほか参考書にリークエを利用する人が多かったようですが、私の場合は基本書類を読んでもさっぱりだったので主に山本和彦先生の最新重要判例250で予習復習をしていました。同書は授業で扱う判例の大半をカバーしており、解説も端的ながら非常に分かりやすく、設問の検討や講義の要点を把握するのに大変役立ちました。ただ、解説を一項に収める都合で簡潔すぎる側面があるのは否めず、基本書や百選の解説等で補完するべきかもしれません。
 試験対策としてはロースクール演習民事訴訟法が非常に役立ちました。民訴の試験は論点に気が付くことすらできないレベルで苦手だったのですが、同書は問題の難易度もちょうどよく、事実から論点を抽出する思考過程を丁寧に解説しているので事例問題の取り組み方を学ぶのに最適でした。なお、指定教材の方は「ロースクール民事訴訟法」で紛らわしいですが別物です。このほか、旧司の問題を改変したものが期末に出題されることがあるので参考にすると良いかもしれません。
 期末試験については、授業範囲の関係で出題論点が限られているためか重複起訴や弁論主義などの典型論点をかなり捻った問題と完全初見に近い論点不明なものがそれぞれ出題されることがあり、苦手な人だと論点に気が付くことすらおぼつかないかもしれません。R4年度は比較的簡単な方だと思います。ただし、採点は甘々なので基本的な論点をしっかり勉強すれば単位は心配ないと思います。ロープラでもロー演でも重問でも良いので、手を広げすぎず一冊選んで徹底的に勉強しましょう。
 ソクラテスは座席順でしたが、YMKT先生は完全ランダムなうえにガンガン詰めて来るので担当クラスの人は死ぬほど大変そうでした。なお、YMKT先生は来年度以降は基幹の担当を離れるようです。


刑法総合2

 総論の共犯論と各論を扱います。前期と同様にケースブック刑法が指定され、授業の進め方も同じです。各論部分なだけあって前期より具体的なイメージが付きやすく勉強は進めやすくなったと感じましたが、分量が増えて予習の負担はそれなりに重かったです。細かい論点や学説も扱いますが、司法試験を意識した解説もあり、特に事例検討回は非常によい勉強になったと思います。
 予習と試験対策は徹底チェック刑法と十河先生の刑法事例演習をメインに、適時参考文献に指定された論文や判例を参照していました。悩みどころも役に立つんじゃないかなと思います。このほか、事例検討回では司法試験の過去問を参照するのがおすすめです。
 期末試験は毎回かなり難易度が高い問題が出題されます。学生があまり深く勉強しないような犯罪をメインに所々共犯や強盗などの重要論点が絡んでくるなど満遍なく論点を問われる傾向にありますし、2年連続で同じ類型の犯罪を別の観点から問うような出題をすることもあるのでヤマをはると痛い目をみるかもしれません。知識量よりは現場での思考力や処理能力を試されているように思え、初見の問題でも慌てずに基本的な検討手順(重い罪から軽い罪へ等)を崩さず条文を指摘し、事実をしっかり評価すれば一応の水準には達するのではないでしょうか。採点は比較的甘めですが、決して油断せず普段から事例問題を注意深く検討しておく必要があると思います。

刑事訴訟法総合2

 公判・証拠法・上訴を扱います。教材は前期と同様にケースブックを使用し、事前に授業で扱う設問が指定されます。訴因や伝聞などの主要な分野だけでなく公訴提起や科学的証拠などの細かい部分もしっかり勉強することになりますし、前期よりは問答も厳しく中途半端な回答ではなかなか放してくれません。とはいえ授業内容は素晴らしく、判例の精読をとおして事実の評価の仕方を深く学べるほか、理論的な説明が大変わかりやすいので論証をブラッシュアップするのに非常に役立ちました。前期のIKD先生は和やかな雰囲気だったのに対して後期のHRE先生は厳しそうな雰囲気でガンガン詰めて来るので緊張感がありますが、質問などでお話する際はとてもやさしく笑顔で対応してくださるので積極的に質問にいくとよいでしょう。
 予習の際は川出先生の判例講座や古江本が役立ってくれましたが、期末対策としては手を広げずに使い慣れた問題集と基本刑訴を何度も繰り返すのがおすすめです。可能ならば司法試験の過去問で事実の分析の訓練をしておくとなお良いと思います。
 試験は基本的な事例を捻った長文問題が出題されました。高度な理論を展開するよりは、典型とは少し外れた事実関係でも正確に分析して論点を洗い出し、必要な事実を拾って規範と整合的に評価することが求められているように思え、あまり理論を煮詰めるよりは問題演習を多くこなして処理の手順を身に付けておいた方がよいと思いました。成績評価は少し厳しめかもしれませんが、問題の所在を明らかにすることと基本的な論点の理解を正確に示すことを厳守すれば変な点はつかないと思います。

法曹倫理

 教科書は弁護士職務基本規定(通称緑本)と弁護士倫理(飯村ほか)が指定され、最初と最後の数回が講義で、そのほかは毎回与えられる課題を担当者が発表する形で授業が進みます。担当の先生により詳細なレジュメを配布してくれたり解説で済ませたりと差があり、課題の問題の解答例を入手できれば期末試験の勉強がぐっと楽になると思います。このほか高中法曹倫理が事例問題と解説の形式で勉強しやすかったので、私はこちらをメイン教材にしていました。ただ、期末の成績を見る限り件の解答例を使った方がいいかもしれません。
 期末では独立した短い事例問題が複数出題されるので、事実を拾って字数を稼ぐのが難しく、割と暗記が重要かもしれません。成績評価の実感としては、一夜漬けに近い勉強でも良い評価の人が居る一方で、しっかり勉強しているはずの人が単位ぎりぎりの点数をつけられたりと、なんだかよくわからないです。私は暗記を横着して規範を薄く事実を丁寧に、といった形で書いたところびみょーーな点数が来ました。

民事法文書作成

 2年後期から3年前期にかけて通しで開講される授業で、実務家の視点から民事の問題に対して解決策を提案したり準備書面を作ったりします。他の試験とは異なりロールプレイの側面が強く、あくまで依頼者の要望を叶えることを念頭にした解答が重要なようで、依頼者の不利になるような事実を拾って色々書いたりすると小言を言われます。科目により問題の難易度は異なり、特に民法はかなり難しかったです。
 成績評価は合否のみで、個々の起案は不合格の評価さえ受けなければ問題ありません。相対評価とはいえ評価基準も今のところ甘めで、全く何も書けないとかよほど変なことを書かない限り不合格にはならないと思います。だいたい2か月に1回くらいの頻度で実力テストを受けるようなイメージですね。

憲法総合
こちらの詳細は他の方の解説に委ねたいと思います。

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