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ばいきんまんで泣き、勝ち負けのあるゲームからは走って逃げていた息子が、お友達とのポケモン対戦で負けることが出来るようになった方法

ルールのある遊びが出来ない 長男の困り事

長い人生で、勝ったり負けたりから逃げる事って難しいですよね。

絶対勝たなきゃいけないわけではないし、負けたら終わりってわけでもなくて、それでも、勝った負けたの場に立たないと得られない経験というのがあると思うんです。

長男は、僕らの育て方なのか本人の特質なのか、とにかく、「やったりやられたり」という関係が苦手で、保育園時代にみんなが園庭で鬼ごっこをしていても、決して参加しなかった。
休日に公園で鬼ごっこをするときは、彼が鬼で、親が逃げる。逃げる側は、鬼にタッチされる瞬間に、”負けた”という気持ちになるからできなかったんだと思う。

同じように、何かが”できなかった”という気持ちになるのもすごく嫌なようで、勝敗はなくてもルールがあるゲームや、レゴやラキューを説明書に従って作ったりするのも嫌がる。

そんな特性なので、一方的な遊び方を受け入れてくれる大人としか遊べない時期が結構長く続いていた。

どうしたものかと思っていた時に、妻が見つけてきたのがPCIT(親子相互交流療法)というものだった。

PCIT 特別な5分間

すごくざっくりいうと、親子で落ち着いて遊ぶ時間を意識的に作って、その時間に、親が効果的な声掛けの練習をして、子供は指示に従う練習をするという、育児における行動療法の一種、だと思う。

5分間の「特別な時間」を毎日行うこと、特別な時間中は親も子供と遊ぶこと、5分間の時間をしっかり守ること、子供に遊びの主導権を握らせること、親が子供がやっている事をそのまま言葉にする声掛けをすることなどが特徴。

子どもに遊びの主導権を握らせ、行っている動作を親が言葉にしてあげることで、子供と親の間の信頼関係を養う事が当初の目標である。

数日から数週間程度で「特別な時間」が習慣化してきたら、子供主導の特別な時間に引き続いて、親主導の「特別な時間」を行う。
遊びに使う道具は、子供主導の特別な時間のものをそのまま使うのが基本で、子供がしていた遊びに近い遊びをしながら、子供に対して、「玩具を貸して」などの指示を取り入れて、それに従う訓練的な側面を取り入れていく。

元来は、セラピストの監督の下で、親の声掛けなどについて、フィードバックを貰いながら行う事で、親の育児スキルを延ばしていくものではあると思いますが、我が家が、1冊の本をざっくり読んで、雑に取り入れたやり方をご紹介してみます。

我が家の子ども主導の「特別な時間」

年中さんの歳の後半ごろから、PCITの考え方を生活に取り入れて、「息子主導で遊ぶ」と宣言して遊ぶ5分間を就寝前のルーティンに取り入れた。

初めは、本に従って、ソフト積み木やプラレール、レゴ、ラキューなど息子の好きな玩具から選ばせて、「特別な時間」をしようとした。
そして、声掛けも、「四角の上に、丸を乗せるんだね」とか「まっすぐのレールを二つ繋げるんだ」のように、評価をせず、動作の具体的描写をするように心がけていた。

ところが、一週間ほどもすると、この「特別な時間」を嫌がるようになったのだ。
「好きな遊びをしていいのなら、寝室で暴れまわりたい」というのだ。
それもそうだ。なにせ、わざわざ「特別な時間」などと言わずとも、私も妻も四六時中そんな声掛けはずっとしていたのだ。
息子にとっては、「特別な時間」などと言いながら、遊ぶおもちゃの選択肢をわざわざ提示されたものから選び、親は一緒に遊ぶと言いながら、自分が作るものの手助けはしてくれないという、「いつもより不自由な遊びの時間」でしかなかったのだ。

仕方がなく、我が家の特別な時間は、「寝室で枕投げをする時間」になってしまった。その日の息子に気分によって、親は枕を避けるように動いたり、枕を壁にぶつかる前に止めるように動いたりして、息子の動作を言葉にする声掛けなどする余地のない、遊びの参加者にされてしまったのだ。

そんな状態で、一向に保育園での遊びの参加などの状況も改善されるはずもなかった。

そんな「特別な時間」を1年ほど続けただろうか。

親主導の特別な時間の導入

小学校に上がって1月ほどした頃だろうか。
「特別な時間」は、息子が一方的に父親(私)を追いかけまわして、枕で叩きまくる時間となっていた。
相変わらず、休日の親との鬼ごっこも、鬼を交代するような遊び方は出来ないままだった。

「特別な時間」が息子の特性を悪い方向に助長している。

ある日、息子に「特別な時間」の前に、「いつもの君が決めるルールでは、お父さんはすっとたたかれるばかりで、すごく嫌な気持ちになるので、お父さんも楽しくなるようなルールを考えるように」と伝えた。
しかし、彼は泣いて取り乱し、しばらくして、妻に抱きしめられながら、「僕は小学校をすごく頑張っている。「特別な時間」は、僕が決めたルールで遊んでいい時間のはずだ。なぜすでに頑張っている僕にそんなことを要求するのか。」というようなことを言ってきた。

私は、改めて
・「特別な時間」は、君が決めたルールで遊んでいいこと
・「特別な時間」は、他人と一緒に遊ぶ練習の場でもあること
・自分でルールを決めていいからといって、一緒に遊ぶ人がまったく楽しくないルールは、遊びのルールにはならない事
を説明し、これまで、きちんとルールの善し悪しを教えなかったことを誤った。

そのうえで、親主導の「特別な時間」の導入を提案し、大号泣されたが、妻からも説得してもらい、何とか、子供の5分間の後に、「親の5分間」を設定することを認めさせた。

親の5分間でやっている遊び

親の5分間でやることは、「一般的なゲームのルールに従う事」「勝ったり負けたりすること」「親の指示に従いながら体を動かすこと」という三つの軸を妻との話し合いで設定して、いくつかの遊びをローテーションしている。
初めの頃は、その場でその日の遊びを決めていたが、息子が嫌がるゲームをその場で提案するとどうしても不機嫌になってしうため、完全に順序を決めて、文字に起こして、親がその場で決めているのではなく、順番に従っているだけという体にすることで、抵抗を少なくして、色々な遊びを体験させている。

また、はじめと終わりに、「よろしくお願いします」「ありがとうございました」をいう事を徹底している。
負けてしまったときにも、決まった動作や言葉を発することで、行動をコントロールすることで、感情もコントロールできることを学んでほしいと思っている。

具体的にやっている遊びを列挙する。

  • ボトルチップス

  • トーキングカード

  • すごろく

  • ふれあい囲碁7

  • どうぶつしょうぎ

  • UNO

  • 七並べ

  • ババ抜き

  • 神経衰弱

  • かるた

  • かるたで50音並べ(七並べみたいなやつ)

  • 器械体操

  • 基本教練

ボトルチップやかるた並べ、七並べは勝ち負けというよりは、みんなで協力して楽しむゲームとして、初めの頃から結構楽しんでやってくれている。

すごろくは、完全な運で、勝ったり負けたりする感覚を養うのに結構いい。

トーキングカードは、何か月も繰り返しているとだんだん飽きてくる。
初めの頃は、静かに人が話しているのを聞く、自分の話をきちんとする、相手の話を聞いて質問をするなどの練習としてよさそうだったが、楽しくなさそうで、逆にコミュニケーションに悪い印象を与えそうで、扱いが結構難しい。

どうぶつしょうぎやふれあい囲碁は、負けるとかなり悔しい。
将棋なら親はライオンだけから始めたり、以後ならたくさん石を置かせたりとハンデの調整がしやすい。
ある程度メンタルが落ち着いている時は、本気で悔しくなる負けを経験させるにはちょうどいい。
だんだん、ハンデつけていると本当に勝てなくなってくる。

かるたは、体を動かす要素もあって、スポーツっぽく負ける練習にちょうどいい。
親は、札を読み終わるまで目をつぶるなど、ハンデをつけるところから始めるといい。

器械体操は、前転後転や四つ這い歩きなど、親の動きをまねさせる遊び

基本教練は、気を付け、休め、敬礼、右向け右、回れ右などや、行進に関する基本的な号令なんかを練習した。

ぼつになった遊び達

  • ポーズ真似

  • 顔真似

  • 表情あてゲーム

特に表情あてゲームはソーシャルスキル的にもいいかと思ったんだが、遊びとして面白くしようとすると、ソーシャルスキル面が無くなっていってしまって、お蔵入りになった。
ポーズ真似とかは、結構楽しいので、器械体操の時などに今でも登場することがある。

大人主導の「特別な時間」導入半年での感想

「負け方」の体得

この半年で、何度も勝ちも負けも経験させることが出来た。
特に、ハンデをしっかりつけることで、親も本気でやって、本気の親に勝ったり、負けたりできているのは、何の忖度もしてくれないお友達と遊ぶための練習になっていると思いたい。
また、最近、新しくオセロをローテーションに入れて、早々に大敗を経験したが、くっと唇をかみしめて、「ありがとうございました」といった後、自分の部屋で寝かしつけの絵本を選びながら妻に泣きついていたが、負けた時に、悔しさを受け止めて、「ありがとうございました」が言えるのは、本当に強い人に育っていると感じた。

今日、お友達と初めてポケモンの通信対戦をした。井の中の蛙は、見事に大海を知ったが、「(シナリオの)チャンピオンの100倍強かった。」と素直に言えていて、「特別な時間」の成果なのか、純粋に本人の成長なのかはわからないが、とにかく、他人と関わる力がついていることに感動した。

一緒に楽しめるルールを考える力

子ども主導の「特別な時間」にも変化があった。
お父さんを一方的にたたくような遊び方はしなくなった。

親も参加するリズムゲームのようなものを考え出して、提案してくれたり、こちらが、それは痛いからもう少し違うのにしてといえば、聞き入れてくれる。
自分が勝つ条件と親が勝つ条件をしっかり提示した遊びを提案する。

とにかく、完全に独りよがりで、一緒に遊んでくれる人の痛みなど考えられなかった頃からは、隔世の感すらあるような成長ぶりである。

じっくり考える力

これは、”どうぶつしょうぎ”や”ふれあい囲碁”のおかげかも知れないが、「この駒を動かすとお父さんはこうする」とか、「ここに石をおけば、お父さんはここには置けなくなる」とか、じっくりと先のことを考えて遊べるようになってきているように思う。
もちろん、かなり感覚的にしかやっていないのだが、感覚が正しく育っているというか。
ただ、これが、勝ち負けのある遊びを通じてしか得られない経験、感覚だと思う。
ポケモンの対戦にしても、決まった行動しかとらないシナリオのトレーナーと意思を持って勝とうとしてくるお友達とは全く違う。
そのことに気付く土俵に息子が立てるようになってきたことが心から嬉しい。

最後に

PCITの「特別な時間」という概念を雑に取り入れたおかげで、初めの頃は、困り事の解決に向かっているのか、悪い方に向かっているのかもわからない状態でした。

しかし、意志を持って事態を前に進めていけば、親も子も変わっていくことが出来ると思います。

その時の一つの道しるべとして、PCITという概念は、私達家族にとっては、必要なものだったと思います。

本をうのみにする必要はないと思いますが、自分たちの頭の中以外から、体系化された何かを学ぶことは、育児においても重要なことだと思います。

夫婦で話し合いながら、これからも子供たちと向き合っていければいいなと思ってます。

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