社員食堂
かなり以前のことになるが、サラリーマンをやっていた時のこと。
当時勤めていた会社は、品川駅の高輪口から港南口に移転して、移転当初は周りにランチ営業をするような飲食店がなかったため、移転と同時に社員食堂が作られていた。
品川駅の港南口に向かう人のラッシュは都内の働く人の象徴のようにニュースには出て来るが、もちろんまだ新幹線も停まらないし、港南口のオフィスビル群がまだ都営のテニスコートから生まれ変わるあたりの時代だった。
私が勤めていた会社はヨーロッパのグローバル企業で、社員は会社の公用語である英語を必須とされていた。
特に女性社員は会社の公用語に堪能で、しっかりとした言語教育を受けた人も多かったのに対して、男性社員はその公用語に対してはなかなか対応できてない人も多かった時代だった。
で、当時といっても1990年代だが、ウチらのグループで足りてなかった技術スタッフとしてフランスからテンポラリーに助っ人に来てきくれたのがJamesというチェコ人。
若い白人で細身の、今で言うイケメン。
どれくらいの期間日本に来てたのかは記憶していないが、まぁ、半年か1年くらい。
しかも我々の仕事は、日本中に点在する客先で数週間は滞在して装置を動かすようなもの。
Jamesがどれくらいウチらの頻度でウチらのオフィスで過ごしてたのかは記憶にないが、せいぜい月に3日くらいなはずだった。
しかしだ、僅かその程度しかオフィスには現れないJamesと一緒に社員食堂に行った時の、女性社員の視線は忘れられない。
まぁ、そもそもその会社の公用語に長けた女性社員なのだから、その公用語を使う人種、しかも白人のイケメンに目が無いはずもない。
しかし、社員食堂でのあの無遠慮な視線は、今で言う男性アイドルに対するものと同じだった。
いやまぁ、当時にはまだ無かった「ガン見」そのもの。
そして、Jamesの帰国前には、ウチらの仲間うちを集めて会社が彼の滞在期間に与えていたマンションの部屋で軽く送別パーティーをしたのだが、集まった女性メンバーには、ウチらの仕事仲間とは全く違う事業部から来た知らない女性がもうたくさん!
もちろんだが、彼女らの必死のJamesへのアプローチが実ることはなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?