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「パラレルゲイト ~琉球異世界譚~」
QAB(琉球朝日放送)が開局30周年記念で制作したドラマ。
トナさんは興味がなさそうだったので、僕一人で鑑賞。
いやー、ひとりで見て良かった。
二人で見てたら、チープなローカルドラマに突っ込み入れまくりで鑑賞どころではなかっただろう。
けど、僕はNHK少年ドラマシリーズ「タイムトラベラー」で育った世代なので、こういうジュブナイル臭のするドラマは大好物!
物凄く没頭してしまった。
まだ幼くて、性欲とかあんま意識してなくて、よくわからない「透明なもの」に突き動かされて生きていた頃を思い出す。
このドラマ、僕(63歳男性)にはとても面白かったし少し感動してしまった。
「パラレルゲイト ~琉球異世界譚~」は、3本の短編からなるオムニバス構成。
第1話は「スクール オブ UTA」
特殊能力を持つ子供たちの学校が舞台。
学校の名前が「United Totome Academy」略して「UTA」というのが良い!
トートーメーは先祖や位牌を指す沖縄の言葉。
「UTA」は「ユタ」(沖縄の霊媒師)とも読めるし。シャレが効いてる。
「『沖縄そば』が存在しないマルチバース」という設定は、一見バカバカしいようだけど、リアルな理由がある。
実際、「沖縄そば」は、本土復帰後に「そば」という名称の使用を禁止されていた。
「沖縄そば」は小麦粉で作られているため、蕎麦粉を使用しない麺類は「そば」を名乗ってはいけないと一方的に決められたのだとか。
しかし、「沖縄そば」は、昔から県民に愛されていた歴史ある名称である。
沖縄生麺協同組合が運動を起こした結果、公正取引委員会から正式に「沖縄そば」の呼称認定を受けられたのは復帰6年後の10月17日。
だから今でも沖縄では毎年10月17日は「沖縄そばの日」なのである。
沖縄そばが存在する世界に行って、うめーし(沖縄の箸)を使うと能力が…という設定も好き。
第2話は「mermAId」(マーメイド、と読むのかな?)
幼い少女が生物兵器、という設定はちょっと今さらアレだけど、主人公のヤンキーのうちなーぐち(沖縄の言葉)が最高だった!
シージャー(年上、先輩)、ウットゥ(年下、後輩)の描写が素晴らしい。
このことは、昔読んだ「ヤンキーと地元」という本に詳しく書かれていた。
この本を書いた社会学者の打越正行氏は、45歳という若さで先月急死してしまったのだよなぁ…。
哀しい…。
第3話は、「エイサー イン ザ ダーク」
この作品が個人的には一番好きだった。
子供の頃に読んでいた手塚治虫の短編集「ザ・クレーター」を思い出した。
エイサー(先祖供養のための念仏踊り)を使って、こんな切ないストーリーを紡ぐなんて…。泣けた…。
けどラストが明るくてステキ!
ていうか、「エイサー イン ザ ダーク」というタイトルだけで象印賞!!!
このドラマは、現在QABのウェブサイトで全編無料配信中だ。
太っ腹。