見出し画像

船のお話

年末だから新しいこと(執筆)始めます

僕は高校生の時にはまさか自分が船について勉強するとは思わなかった。これは自分が船を勉強するようになってから感じたことであるが車や飛行機にてついてメカニックなことを知っている人は多いが船についてはあまりいない気がする。

           「船は浮いて当然」
 
もちろん沈んだら困るし、その通りであるが、僕が船に興味を持てなかったのも、こう思っていたからではないだろうか。つまり船は浮く。それ以下でもそれ以上でもない。だから興味が湧かない。だからこそここでは浮くという現象についてまじめに考えてみようではないか。

’船’とは

まず初めに船とは何であろうか。学問を定義するうえでは定義しない限りは始まらない。(でも簡潔に)早速であるが船は
・「浮揚性」
・「積載性」
・「移動性」

の三点を兼ね備える構造物とされている。古代に羊や牛などの内臓の皮に空気を送り込んで風船のようなものを作り川を渡るという手法があったが実はこれもしっかり船といえるのである。(ってことはプールで使う浮き輪なんかも船って言えなくもない?!以外に船の意味は広い、、。)
現代であれば船の種類は貨客船、タンカー、自動車運搬船、、、etc
とされているが今回は省く。

’浮く’とは

 今回の本題に入ろう。僕の目標としては「船って浮力が働くから浮くんでしょ」っていう説明以上に続けて「安全に浮く、つまり転覆しないためには~」という説明ができる人が増えてくれればなぁと思う。

 高校物理なんかで物体にかかる重力を重心という一点に集めて考えることをしたことがあると思う。それと同じで浮力という力に関しても「浮心」を考えることができる。(ちょっと踏み込むとこの重心というのは船に積み込む荷物や人によって動く→船の構造だけでは決まらない。しかし浮心については完全に水面下の船の形だけで決まる。)
 
 そして船においてはこの浮心と重心の位置関係がまず大切になる。浮心が重心よりも下にある状況を想像して欲しい。理由は重心が鉛直下向きの力、浮力が鉛直上向きの力であることを意識すれば理解できる。四角い箱を用意してその断面を考えてみると、四角形になると思うがちょっと時計回りに回転させてもらうと重力と浮力の偶力が確かにもとに戻る方向、つまり反時計周りにかかるというのが分かるだろうか。(逆向きも同じ理屈、実際はこれが交互に起きるからいわゆる’揺れ’が生じる)これを「復原力」(復”原”です。復”元”じゃないよ)と呼ぶ。傾いても元に戻ること、つまり復原性があること、これが波によって様々な方向から力のかかる船には必要なのである。

イメージしてほしい図

 多分これだけで終われば高校の教科書なんかにも載るのではと個人的には思う。しかしながらそうはいかない。実際に船に復原性があるかどうかは「メタセンタ」で決まるからだ。復原性があれば上のように物事が進む。
ではメタセンタとは何か紹介しよう。
 
 メタセンタとは浮体をつり合い角からφ(rad)だけ傾斜させた場合における新たな浮心の位置を通り水面に垂直な直線と、つり合い時に浮心と重心を結んだ直線の交点についてφ→0としたときのこの交点が収束する位置のことをメタセンタという。(もっとうまい説明があるんだろうなぁ。下図からのほうが理解しやすいかも)


φの表記が変わってしまった、、。重心で図は揃えてます。



 このメタセンタは頭文字をとってMで表されることが多く、また後述する理由からGMという形で使われる。(GMは重心からメタセンタに向かうベクトルのイメージかな~)そして浮体が安定性がある、つまり復原性を有するとはGM>0という形で表される。(これで船が安全に浮くためには~の説明ができる!!)

GM<0というのも下の図で説明できるかな。重心が浮心より上にあったとしても必ずしも復原力とはならない。浮力と重力の偶力が復原力となってくれるための条件がGM>0っていういイメージ。

GN<0の時の図 確かにこのままだと時計回りに偶力が働いて転覆しそう。


 
 

まとめ(必要か?)

以上から船、浮体が安全に浮くということが分かったであろうか。もちろんこれだけではないが、このGMの概念がないと船舶工学は始まらない。転覆しない船は確かに存在しない。でも転覆しにくい船なら存在できる。そのための学問である。

この文章を読んでくれたあなたが浮くということの奥深さを理解して、興味をもってくれたらなと思います。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集