月夜の海面の花びらの

海には誠に摩訶不思議な生物がいる。
数多(あまた)居るその中に、体は略(ほぼ)水であり、脳がなく心臓もなければ血さえない、そんなものが存在する。
クラゲである。漢字で「海月」と表記される。

何故「海月」なのか、という私の問いの答えは既に、古人の歌に詠まれていた。

秋くれば 月の桂(かつら)の 実やはなる 光を花と 散らすばかりを(古今和歌集 源恵)

海面(うなも)に花と散った月光の化身、それこそ「海月」なのだ。

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