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塾講師をしていて感じる「令和の子どもたち」の姿

自立型学習塾の講師になって来年で3年が経ちますが、自分より10歳以上下の世代と関わっていると自分の世代とのギャップをすごく感じます。
最近ではジャニーズの話題になったときに「嵐」の話をしたら「世代を感じる…笑」と言われたり(震え)、LINEよりインスタのDMでやりとりする方が多いと言っていたり…

彼らの生活にアンテナを張っていないと、一気におっさんになってしまう気がしてめちゃくちゃ焦ります。

そんな表面的なギャップもたくさんありつつ、もっと深い部分で彼らに共通する点がいくつかあると感じるので、今回はそれらをまとめてみます。

※「子どもの頃に見ていた同世代」と「大人になった今見ている子どもたち」という視点の違いがある点はご了承ください。




特徴その①「かわいい」

これが一番言いたかった(迫真)

こんなタイトルをつけておいてアレですが、生徒は全員びっくりするくらいかわいいです。マジで。

うちの塾は子どもたちと仲良くなってから指導をするスタイルなのですが、子どもたちは仲良くなってくると色んな素を出してきます。

以下、うちの塾の日常です。

中学生男子「学校の先生がハゲてて…(爆笑)」
ワイ「知るか!かわいいな!笑」

高校生女子「週末はPippi(彼氏)とデートで勉強できないんですよね♡♡♡」
ワイ「うるせえ!!!爆発しろ!!!かわいいな!!!」

高校生男子①「好きな子ができちゃって勉強に集中できなくて…」
ワイ「何やそれ!!!!もっと聞かせろ!!!!かわいいな!!!!」

高校生男子②「下ネタで古文の助動詞覚える動画観てたら下ネタしか思い出せねえ……」
ワイ「ざけんな!!!!バカ言ってんじゃねえ!!!!でもかわいいな!!!!」


こんな感じ。
最近では中学生女子が自習に飽きてしまい、縦長の筆箱でフルートの運指を練習しているところを目撃して爆笑しました。かわいすぎる


…とまあお遊びはここまでにして、ここからが本題です。


特徴その②「頭がいい」

日々子どもたちと話していると感じるのですが、今の子どもたちはとても頭がいいです。
自分の向き不向きをよく知ってるし、なりたい自分のビジョンを持ってる。
少しヒントを与えたら自ら考えて自走できるだけの思考力も持ってる。
同じくらいの年齢だった頃の自分を思い返すと(そんなことまで考えてるの…?)と思わず驚くことがあるくらい賢いです。

実際に(頭いいなあ…)と感じる例をいくつか挙げてみます。

◯考えや感情の表現が上手い
喜怒哀楽はもちろん、ちょっとした違和感や言語化できない段階でのもやもやを表に出すこと、抽象的な質問に対する返答がとても上手です。
〜が嬉しかった、〜は〇〇だから嫌、などの感情の言語化や「どういう感覚だった?」みたいな抽象的な感覚を聞いたときの言語化が上手いです。
感性を問うような話にもすごく強い。
僕は中学生以降で「嬉」と「楽」の感情の話を大人にした記憶がないです。素直にすごい。

一方で、具体的な問いかけに対する回答は苦手な子が多いです。
「何でそう考えたの?」と聞くと、だいたいは具体的な考えが出ないか返答に詰まるかになります。
「何でだろう…」とか「そう決まってるから…?」とか。「とにかく量こなす!」なんていう体育会系パターンもあります。

いいところまで考えられる力があるのに、さらにその先の本質までたどり着くには至らない子が多い、というのが印象です。

ただこれは日本人全体にありがちな特徴なので、彼らに限った話ではないと思っています。
これについてはそのうち記事にするかも。


◯納得しないと行動を変えない
昭和・平成前半に子どもだった人からすると信じられないかもしれませんが、大人から言われても納得しないと行動を変えない子が多いです。
こちらの話を聞いてる時点で納得してない感が漏れ出ていますし、仮に変えたとしてもパフォーマンスがめちゃくちゃ低くなります。

皆さんなら子どもたちのこの様子をどう思いますか?
素直に言うことを聞かない子ども、昔だったら先生からめちゃくちゃ嫌われるタイプじゃないですか?

これ、短所なようで実はものすごく長所だと思っています。
納得しない、簡単に言動を変えないのはしっかり自分の意思を持っているからで、彼らは本当によく物事を考えています。
納得してからの行動の変化幅が非常に大きく、また成長もすごく速いです。そういう点も本当に賢いです。

例えば、疑問を学校で質問しても「そういうものだから」しか言われず勉強が嫌いになった高校生女子は、理屈で考える練習をしまくった結果学校の先生の間違いを指摘して論破しました(白目)

また、元々理系科目が得意だったのに「物理は暗記すぎて面白くないからやりたくない」と言って文転した高校生男子は、1年未満で早稲田の現代文をほぼ満点回答できるレベルになりました。

こんな感じで、彼らは一度ハマると意味がわからないくらい伸びます。
と同時に、彼らを伸ばすのも潰すのも大人の接し方次第ということも強く感じます。
指導者である親や先生たちの役割と責任は、当事者が思っている以上に大きいと思っています。


特徴その③「めちゃくちゃ繊細」

今と昔の最大の違いだと思ってる点。彼らはよくも悪くもめちゃくちゃ繊細です。

上記のように、少しでも納得できていないまま行動すると一気にパフォーマンスを落としますし、絶好調に見えていた翌日に一人考え込んで絶不調になっていることもよくあります。

彼らの頭の良さはこうした繊細さからきているんだろうなと感じる一方、指導をしていて一番難しく配慮が要る部分でもあると思っています。

具体的に感じる繊細さはこんな感じ。

◯自己肯定感が低い
正直「自己肯定感」という言葉が好きではないので使いたくないですが、これまでの生徒さんで自己肯定感が高いなと感じた子は全体の5%もいません。
基本的に自分に自信がなく、夢や希望を抱いて「難関大に行きたい!」と言って塾に入ってくる子に至っては相当なレアポケモンです。

◯他人と自分をものすごく比べている
同級生、塾内の他の生徒など、彼らは本当によく他の生徒を見て自分と比べています。
模試の結果、やっているテキストのレベル、他人の余裕そうな様子(そんなことないのに)などなど、他人の様々なものと自分を比べて不安になっています。
他の生徒への声かけ内容にもすごく聞き耳を立てています。

◯親との関係が悪くなりがち
何となく想像がつくと思いますが、昭和と令和は引くほど相性が悪いです。アイスをおかずに米を食べるレベル。
気合いと根性で頑張り抜く昭和と、心と頭をフルに使う令和ではまず反りが合わないです(もちろん個人差はあります。仲良し家庭もあるので)

過去にあった事例では、親御様が不登校の生徒さんのメンタルヘルスを理解できず「昭和と令和は違うんだよ(クソデカ舌打ち)」とお子さんから言われてしまったことがありました。
子育てって難しい。

なぜ彼らは賢く繊細なのか

様々な要因があると思いますが、最大の要因は間違いなく「SNS」だと思っています。
特にインスタとTikTok。自分との比較対象で溢れているこれらは彼らの心に様々な影響を与えているように感じます。

以前読んだ本の中では、このような人々の変化を「心の肥大化」と呼んでいました。
昔は考える間もなく目の前のことに打ち込んでいたが故、心身を持ち崩すことが少なかった。
が、今の子どもたちはSNSの普及により「自分」や「心」と向き合う時間が長くなっている。
この暮らしの変化が日本によくある「謙遜」「他人に迷惑をかけてはいけない」という文化と奇跡的な噛み合い方をして悪さをしているように感じます。


最後に

ここまであれこれ書いてきましたが、読んでくれた方の中には他人事とは思えなかった方もいたのでは?と思っています。
そうです、これ全然他人事ではなくて自分たちの話です。僕はめちゃくちゃ心当たりがあります。

この心が肥大化した令和の時代を、我々はどう生き、どう人と関わっていけばお互い幸せになれるのでしょうか?
その鍵は自分が大切にしている「傾聴」と「対話」の中にあると信じていますが、それはまた別の記事で。


結論。今の子どもたちは「めちゃくちゃ繊細で賢くて †かわいい† 」というお話でした。


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