女性ホルモンと胃腸の関係：生理周期・妊娠期でこんなに変わる消化状態

要旨
女性ホルモンであるエストロゲン（エストラジオールを含む）やプロゲステロンは、女性の身体機能を多面的に調節しています。これらのホルモンは生殖機能のみならず、消化管運動、腸内環境、エネルギー代謝、さらには自律神経機能まで多岐にわたって影響を及ぼします。生理周期を通じてエストラジオールとプロゲステロンは周期的に変化し、妊娠期にはこれらホルモンが著明に上昇します。結果として、月経前後や妊娠中に便秘・下痢・胃もたれといった消化症状が生じやすくなり、「生理前にお腹が張る」「妊娠中に便秘がひどくなる」といった声は、決して思い込みではなく生理学的な背景を伴う現象であると考えられます。

本稿では、女性ホルモンと消化管機能の関係について、最新の研究知見をもとに整理し、日常生活で生かせるケアのヒントや、妊娠期特有の対応策、さらには消化機能と腸内環境のつながりについてまとめます。女性が自分の身体リズムを理解することで、消化症状に上手く対応し、生活の質を向上させる一助となれば幸いです。