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エバートンの魅力が詰まった好ゲーム(延期分 プレミアリーグ15節マージーサイドダービー)
こんなにも気持ちのいい朝日に当たったのはいつぶりだろう。春休みになり、日頃から太陽がとっくに昇った頃に起きていたのもあるが、こんなにも陽光が眩しく感じるのはエバートンの選手達を、エバトニアンであることを誇りに思っているからに違いない。
試合の興奮が冷めないままに指を動かしているので試合の分析というより、エバトニアンとしてマージーサイドダービーについて語りたいと思います。
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マージーサイドダービー
どんな下馬評であろうと言い訳が許されないのがダービーというものだ。そう、例えリバプールがプレミアリーグ順位テーブルで首位を走るチームだとしてもだ。今期のリバプールの印象は文字通りの常勝軍団だ。どのポジションにもワールドクラスの選手が揃っており、エースであるサラーに至ってはバロンドール候補だ。その好調ぶりからエバトニアンである私ですら彼をバロンドールに推すほどだ。偉大なクロップが去り、調子を落とすと思われたのにも関わらず、わずか一敗しかしていないリバプールに隙はなかった。
だがエバートンは勝たなければならない。なぜならリバプールはダービー相手であり、なによりグディソンパークでのラストダービーだからだ。
試合
4時20分からなり続けるアラームを止めたのは30分になってからだった。パソコンを起動させ、熱気に包まれたグディソンパークが映る頃には試合は始まっており、画面左上のスコアが動いていないのを確認して安堵したのを覚えている。しかしどうにもおかしい、選手の動きが異常なほど早いのだ。リアタイのためありえないことなのだが、寝起きの働いていない頭の私は倍速をしているのだと勘違いし、数十秒試合そっちのけでカーソルを動かして倍速ボタンを探すこととなる。そしてしばらくたってから解説者の声が通常速度だということに気づき、単に選手の動きが早いだけだということに気づく。選手に対するよせの速さ、ボールスピード、すべてが今シーズンのどの試合よりも早い。画面越しからでも選手ひとりひとりのダービーにかける思いが伝わってくる。
もちろんそれは最初だけではない。前半11分、ベトの先制ゴールのあとの選手たちの喜びようからは、ボトムハーフだろうがお構いなしに1位を倒すのだという宣言を聞いた気がした。
しかし25分、ブロヤの負傷を思い出させる地蹴りによる負傷でエンディアイが目元をユニフォームで隠しながらピッチを去っていった。16分に同点に追いつかれた後だということもあり、私はこれ以上沈みようがない、谷底から地上の光を眺める気持ちで、涙を浮かべながら彼を見送った。
試合は進むにつれ接触は増えていき、カードの枚数も増えていく(オリバー劇場ではあったが…)リバプールの選手達からも決して譲る気はないという思いが伝わってくる。試合は進みリバプールは逆転に成功する。誰を責めるとかではなく、リバプールの完成度の高さによる、サラーの好調具合が伺える2得点だった。
逆転以降リバプールは試合を締める準備を始め、試合の流れは一気に緩くなった。のろのろとパスを回すリバプールと消耗しきってプレッシャーをかけきれないエバートン。そんな展開のままATに突入して試合も終わるかという頃だった。途中出場のアルカラスのサイドチェンジから、これまた途中出場のヤングがハーフライン付近から放り込む。それをミコが受けて苦し紛れにクロスを入れると、そのボールは途中出場ティムの頭を経由して最終ラインから前線に上がってきていたターキーに届き、劇的同点弾を生むに至った。
モイーズの采配ズバリ!
ラストプレーでのキャプテンの一撃!
朝早い時間だというのに叫ばずにはいられなかった。喜びを全面にだすキャプテンのセレブレーションに、駆け寄るエバートンの選手達と、ピッチに流れ込まんばかりのエバトニアン達。思わず部屋中駆けまわって喜びを発散した。
これだからエバートンはやめられない。
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次節以降
マクニールは帰ってこないし、トップは相変わらずべト1人しかいないし、エンディアイは怪我、さらに試合が終わってからドゥクレはにっこにこでレッドカードをもらう始末。中2日でクリスタルパレス戦が迫ってきている。不安要素が溢れかえるこの状況だが、今日くらいは勝ち点をもぎ取ったダービーマッチに酔いしれてもいいだろう。