蘇った赤い悪魔の最初の犠牲者(プレミアリグ第１３節マンチェスターユナイテッド戦レビュー)
皆さんこんにちは、今回から口調を崩してみようと思います。
ユナイテッド戦は言い訳のしようがないほどの完敗でしたね。私は後半開始早々の失点を受けて試合を見るのをやめてしまったので、今回のレビューは前半のみになります（笑）
アモリム哲学とダイシ哲学
プレミアリーグにおいて３バック採用のチームは大変珍しい。私の記憶が正しければ、アモリムユナイテッドは昨シーズンのルートンタウンの以降の３バック採用のはずだ。
3-4-3陣形ユナイテッドの狙いは明確だった。ウイングバックのダロト、ディアロを両サイドに張らせ、ロングボール一本でサイドチェンジをしてチャンスを作るというものだった。実際、この戦術はエバートンに対してかなり有効だったと思う。エバートンの両サイドバック(ミコレンコ、ヤング)は足の速い選手ではない、そのため莫大なスペースを持って１対１を仕掛けられるこの戦術はエバートンの両サイドバック、特に足の速いディアロと対峙するミコレンコを苦しめた。
さらに、ユナイテッドがサイドチェンジを容易にできたのはユナイテッドの３トップが重要な役割を担っていたからだ。ザークチィを中央に置き、その下にラッシュフォードとブルーノ・フェルナンデスが配置された陣形。しかし攻撃時はこの並びではなかった。
①ザークチィがボールを受けるために降りていく
②ブランスorターキーが付いて行く
③ラッシュフォードがザークチィの開けたスペースに走りこむ
という感じでラッシュフォードが中央としてプレーしており、ザークチィは囮であり、周りを生かすためのターゲット役だったのだ。ユナイテッドとしては②まで成功させてしまえば、ブルーノにボールを預けてサイドチェンジ、裏パスを出させるなり、センターバックが付いてこないならターンして前を向き、脅威を生むことだってできた。要は自由にプレーできたのだ。
それに対し、エバートンは前節同様4-4-2で守備陣形を作っていた。
マズラウィ、デリフト、リサンドロ・マルティネスの３バックに対してスタメン起用のべトとマクニールでプレスをかける。
問題は二列目のマークだ。インディアイ、ドゥクレ、ゲイエ、リンストロムの４枚でユナイテッドのトップ下２枚を含む６枚を見なければならなかったのだ。画面上で試合を見る私たちはこの明らかなミスマッチに気づいていた。試合中、コートの中央でドフリーのブルーノ・フェルナンデスを何度も見た。ゲイエ、ドゥクレはお互いにブルーノをマークしていなかったという失態に気づき、ラッシュフォード、ザークチィと２対２状態を作られたブランスとターキーはラインを下げることしかできない。
このミスマッチは試合のあらゆるところで見られた。エバートンのプレッシャーはユナイテッドの選手がボールを持ち、前を向いて、パスが出せるという状態になってようやくかかっていた。要はワンテンポ遅れたプレッシャーだったのだ。
さらにエバートンの戦術は攻撃面でもユナイテッドに劣っていた。
私としてはベトがスタメンだったことが影響していると考えているのだが(私はルインのスタメン落ちに関して、ダイシを支持してます)、エバートンは繋ぐサッカーをした。ルインがいないんじゃロングボールが意味をなさないという意見に関しては、紛うことなき正論であり、反論のしようがない。だが、結果論にはなるがユナイテッドの２得点はエバートンのビルドアップを捕まえたところから決まったものだ。前線を３枚で構えさせるチーム相手に徹底的なパスサッカーを挑むのは悪手だった。
修正力がないダイシにとって、事前に用意した戦術がはまらなかったら、このような悲惨な結果になってしまうのは必然なのかもしれない。
ダイシ解任の条件
これでエバートンは４試合無得点となり、エバトニアンからダイシの解任を求める声がちらほら聞こえてきた。ダイシはランバートに代わり、エバートンを降格の危機から救ってくれた英雄だ。それは誰もが認知しており、その上で解任を叫んでいる。彼らを非難するエバトニアンがいるのも理解したうえで、私もダイシ解任に賛成している(叩かないでください……)
私の持論になるが、ダイシの解任はある条件を満たしたことの裏返しとなっていると思う。その条件とは降格の心配がなくなったということだ。彼の力がなくても残留できる、それを感じているからこそ私を含むエバトニアンは彼の解任を要求する。他サポと話すとき、私たちはダイシサッカーの魅力を語る。しかし頭のどこかでこの戦術ではボトムハーフから上の順位にはいけない、栄冠を再び掴むことはできないと思っている。だからこそ、私たちは上の順位に上がるために、どんなフォーメーション、どんな戦術に対しても太刀打ちできる監督が必要だと感じている。
分かりやすいように、目次にはダイシ解任の条件と書いたが、ここまで読んでくださった読者なら、エバートンはダイシ解任の資格を得たと言って伝わるだろう。
今後、エバートンが連敗し、非難を浴びながら解任されるであろうダイシを、私は拍手で送りだしたい。
