「腰背部痛へのアセスメント」
セラピストとして腰背部痛を訴える方への対応機会はかなり多いです。腰背部痛=整形疾患だけでは無く、内臓疾患で緊急性の高い疾患が潜んでいる可能性があります。
果たして、緊急性の高い疾患を見落とさずに、リハビリアプローチに繋げることはできるでしょうか。
上記の内容に対して少しでも不安があるセラピストは、是非最後までご覧ください。
腰背部痛の分類
腰背部痛への対応機会は多いですが、運動連鎖不全や筋スパズムによる疼痛や慢性腰痛であることも多く、高齢者では慢性腰痛に加え不定愁訴であることも多く軽視されることが多いです。
しかし、腰背部痛の中には整形疾患だけでなく、内臓疾患・皮膚疾患・血管疾患と他にも要因があり、緊急度の高い疾患に気づくためにも腰背部痛の分類を把握しておくことは重要です。
◎整形疾患
◎内臓疾患
・心筋梗塞・狭心症:放散痛で背部に痛みが生じる事があります。
・腎盂腎炎:尿道から腎臓へ菌が入り感染に伴う炎症を起こして、腰・臀部痛が生じます。
・腎・尿路結石:尿路結石が尿路を移動する際に、腰部に著明な痛みが生じます。下腹部や鼠径部に放散痛が生じることもあります。
・急性膵炎:膵臓に炎症が起こる事で背部・上腹部に著明な痛みが生じます。
◎皮膚疾患
・帯状疱疹:免疫力が低下するとウイルスが増殖し発症し、神経に沿って帯状疱疹ができることから、強い痛みが出現します。
・褥瘡:軟部組織が壊死するため痛みが出現します。
◎血管疾患
・大動脈解離:大動脈の内膜が裂け、そこに血液が入り中膜が裂ける事で痛みが出現しますが、この亀裂が下行大動脈まで至ると上背部に疼痛が生じます。
・腹部大動脈瘤:瘤が周囲の神経を圧迫する事で腹痛や腰痛を感じますが、瘤が破裂すると著明な腹痛を認めます。
腰背部痛を訴える方への観察ポイント
上記で腰背部痛の分類と主な疾患を記載しましたが、結論を言いますとセラピストでも実施可能なアセスメントとして、腰背部痛に伴うショック徴候を見落とさないことが大切です。
急激な腰背部痛の発症で、安静時でも持続する疼痛に加えショック徴候を呈する場合は、血管・内臓疾患の可能性が高いです。
また内臓疾患では敗血症を呈している可能性も高いためqSOFAを活用したアセスメントがおすすめです。
※ショックの5P「蒼白・冷汗・虚脱・脈拍微弱・呼吸不全」
※qSOFA(下記の項目で2項目に該当)
血 圧:収縮期血圧100mmHg以下
呼吸数:22回/分以上の頻呼吸
意 識:意識障害( GCSで15未満)
セラピストとして腰背部痛を訴える方へ関わる機会は多いですが、中でも命に関わる緊急性の高いものが潜んでいますので、「腰背部痛+ショック徴候」に注意したアセスメントが大切です。
本記事内容で完璧に対応できる訳では無く、あくまでも対応の参考の一部と捉えて頂ければ幸いです。
以上、リハキムでした!