「腹痛へのアセスメント」
腹痛は最も多くみられる自覚症状ですが、冷静に対応は行えますでしょうか?
腹痛には3つの分類があり、また緊急性の高い疾患や、高齢者や寝たきりの方で鑑別しておかなければいけない疾患があります。
腹痛への対応方法を行えるようになりたいと思う方は、是非最後までご覧ください。
腹痛の分類と機序
1.内蔵痛
◎機序
管腔臓器(消化管や尿路)自体から発生する腹痛で、管腔臓器が拡張されるなどの機械的刺激が脳に伝わり痛みと感じます。
◎痛みの特徴
間欠的な鈍痛で、腹部正中に非限局的な痛みを感じます。
2.体性痛
◎機序
炎症を起こした腹膜からの痛みで、疾患臓器から壁側臓器、腸間膜、横隔膜に刺激が加わり痛みを感じます。
◎痛みの特徴
持続的な鋭い痛みが特徴で、痛みの部位が限局しています。体動や咳で痛みが増悪することが多く、静かに横になっていることが多いです。
3.関連痛
◎機序
強い内蔵痛が脊髄内で隣接する神経線維を刺激し、対応する皮膚分節に痛みが出現します。
◎痛みの特徴
放散痛とも言われ、部位や程度には個人差があります。
緊急性の高い兆候
◎腹膜刺激症状
出血や感染、化学刺激により炎症が壁側腹膜まで波及すると腹膜炎を併発しますが、腹痛を訴える方に腹膜刺激症状(筋性防御・反跳痛・打診)があると腹膜炎の可能性が高いです。
※筋性防御:腹壁を手掌で圧迫すると板のように硬い。
※反跳痛:痛みを訴える部位をゆっくり圧迫し、急にその手を離すと圧迫していた時より強く痛みを感じる
※打診:触診の後に行い、消化管穿孔では太鼓を叩いたようなコンコンという音が鳴り、腹膜炎では打診でも痛みを強く訴える。
高齢者や寝たきりの方で鑑別すべき疾患
◎イレウス(腸閉塞)
何らかの原因で腸管内に消化物やガスが溜まり、腹部膨満・疼痛・悪心・嘔吐を伴います。立ち座りによる慢性的な鼠径部への圧力に加え、加齢などにより腹部周囲の筋肉量が減少することで、腸が足の付け根部分で飛び出し膨らみとして現れます。
腹痛への対応方法
セラピストでも実施可能な対応方法として、まずは腹痛に加えショック症状がある場合は緊急性が高いため、直ちに緊急搬送を行う必要があります。
腹膜刺激症状を認める場合は、出血や虚血、穿孔などが起こっている可能性が高いため、直ちに医師へ報告を行いましょう。
腹痛を訴える方のほとんどは緊急性の低いものがほとんどですが、セラピストでも腹痛への評価は可能なので、緊急性の高い疾患を見逃さないようにしましょう。
本記事内容で完璧に対応できる訳では無く、あくまでも対応の参考の一部と捉えて頂ければ幸いです。
以上、リハキムでした!
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