ちかちゃん

短編小説、ショートショート、エッセイなどを書いております。今は長編小説を書いているので…

ちかちゃん

短編小説、ショートショート、エッセイなどを書いております。今は長編小説を書いているので、その間は短いやつはお休みで、その代わりエッセイを書きます。写真も載せます。読んでいただけるとありがたいです。

マガジン

  • クラマラス(長編小説)

    ギターが得意な男の子と吹奏楽部の女子が出会うことで起こる、挫折と成長の話。

最近の記事

クラマラス 30話 (長編小説)

全クラスのプレゼンが終わり最後のプログラム。吹奏楽部による演奏。  私は出ることを決めた。  練習もしてきた、葛西くんと午前中にステージに立って演奏することができた。  私には出来るのだと自信がついた。覚悟を決めた。 「北野、気負わずに。これまで通りでいいから」 橋本が隣で声をかけてくれる。 「北野先輩。一緒に頑張りましょう」 トランペットの後輩たちが励ましてくれる。 「北野先輩。無理だったら私に任せてくださいね」 そうやって冗談を言ってくれる山下には感謝だ。 「そ

    • クラマラス 29話 (長編小説)

      昼休憩、僕は教室に戻る。道すがらに1年生の女子の集団に囲まれてしまった。 「先輩!凄くかっこ良かったです!」 「北野先輩とは付き合ってるんですか?」 「葛西先輩。また聞きたいです!」 などなど。などなど。気分はいいがなんだか・・・鬱陶しい。 「あーごめん、これから明日の打ち合わせがあるから葛西さん行きますよー」 「はいはい道開けてねー」 大原と新谷が助けてくれた。 「明日のライブ見に来てねー」 そう言いながら1年生の集団からそそくさと立ち去る。 「大原、新谷ありが

      • クラマラス 28話 (長編小説)

         私たちは舞台袖に立った。 「いつも河原でやっている曲を3曲。それでいい」 「でも、私、こんなの、誰かに聞かせようと思ってやってないから無理だよ」 「いいんだよ。今日より明日。誰かの為じゃなく自分のためにしよう。北野さんは自分のためにこれからステージに立つんだ。明日のために立つんだ」 背中を押されるような気がした。岩野先生と谷岡さんの言葉だ。 「北野!これ」 梅沢がトランペットを持って来てくれた。 「1回合わせてみよう」 ダンス部は盛り上がっている。ベース音が大きい音楽な

        • クラマラス 27話 (長編小説)

          文化祭まで数日。僕たちは準備に追われている。 今年は色々とすることがあるので忙しさが段違いだが、去年も忙しかった。 別に嫌いではない。学校中が1つのことに向かって何かをする高揚感みたいなものがある。僕たちのクラスの模擬店は屋台で鉄板焼き、焼きそば、お好み焼きを売る。  マーケティングをし、材料の仕入れ量を決めたり、どの場所で店を開けば売り上げがいいのかリサーチしてその場所を他のクラスと取り合うためのプレゼンをしたり、屋台のレイアウトや売れるためのアイデアを出し合ったり、

        クラマラス 30話 (長編小説)

        マガジン

        • クラマラス(長編小説)
          30本

        記事

          楽しい時間のはずなのに、なんだかなぁと思うこともそれはそれで人生かと思った話(エッセイ)

          夜にマクドナルドでハンバーガーを食べる。 ハンバーガーも高いので僕にとっては贅沢な食事だ。 大切に食べようと思う。 座る場所が無い。賑わっているマクドナルド。 真ん中の大きなテーブルの端っこに腰を下ろし、「ささっと食べて帰ろう」と決意する。『大切に食べる』はどこに行ったのやら。 反対の端の席に母親と子どもの兄弟が腰下ろした。歳のころは下の男の子は年少くらい、上の男の子は年長か小学1年生くらい、母親は見た目は小綺麗にしている所謂『できる』感じの格好。 同じテーブルで

          楽しい時間のはずなのに、なんだかなぁと思うこともそれはそれで人生かと思った話(エッセイ)

          乗り遅れた季節とやってくる寒さを感じようと外に出た。(エッセイ)

          曇り空に写真を撮り行く。 涼しくなったと思いきや暑い日もあって 気温が高い日が続くと季節感覚がおかしくなる。 もう10月も後半なので秋祭りや秋のイベントがどんどん始まっている。 なんと来週にはハロウィンらしい。 お店に行けばハロウィン仕様のお菓子が売ってあったり、ジャックオランタンがいたりする。 今年も木村佳乃がおせちを勧めるポスターが貼ってある。 コンビニの入り口には『ケーキご予約受付中』の張り紙と店内にはおでんの匂い。 すっかり秋であるしもう冬に向けて動き出

          乗り遅れた季節とやってくる寒さを感じようと外に出た。(エッセイ)

          素晴らしい経験の先に待っていた地獄の話。(汚い話になったので可愛い猫の写真で中和してください)(エッセイ)

          先日、保育園の運動会の撮影に行った。 写真スタジオの業務委託として何人かのカメラマンさんと一緒に撮影へ。  初めての経験であったので色々と教えてもらいながら、でも保育士をしているので保育園で子どもをどう撮るかは熟知している。自分のこれまでの経験とこれまで撮影してきた方々の助言を上手いこと組み合わせて初回にしてはちゃんとしたものを撮れたと実感した。(業務でのことなので写真は掲載することができません)  それはいいのです。自分の中でも「多分、撮れるよな・・・」と漠然とした自

          素晴らしい経験の先に待っていた地獄の話。(汚い話になったので可愛い猫の写真で中和してください)(エッセイ)

          暑さと寒さが行き交う

          今10月が後半に差し掛かる。 数日前まで日中にエアコンを入れないと暑い日が続いた。 一日中の雨が止み、涼しくなってきた。 この季節は車の空調を迷う。 外は涼しいが締め切った車内には太陽の光が入って暑い。 窓を開けると風の音で音楽やラジオが聴こえず、空気の流れで息苦しい。 エアコンを入れると寒くなる。切ると太陽の光が入ってきて暑い。 なんだこれは??負の循環だ。どうすればいいのか・・・ 今年の長い長い暑い日で忘れていたが今は秋だ。 気がつけば散歩をしているとい

          暑さと寒さが行き交う

          クラマラス 26話 (長編小説)

           メンバーに聞いてもらう。弾き語りの形で。  昨日、谷岡さんの言葉で爆発した思いを書き記したものだ。 「なんだか、すごい曲ですね」 大原が言ってくれた。 「うん、なんか心が打たれた」 「葛西さんの今の心の中ですか?」 浦野と新谷が聞いた。 「うん、それもあるし、北野さんの気持ちかもしれないし。みんなのそれぞれの思いかもしれないし」 「だから、響くのかもしれないな」 浦野が言ってくれた。 「ありがとう」 「これで完成?」 「うん。でももうちょっと手直しをしたい」 「わか

          クラマラス 26話 (長編小説)

          クラマラス 25話 (長編小説)

           北野さんは部活を休むようになったが、河原でのセッションは僕の希望もあって続けていた。 「北野さん、部活、出ないの?」 「うん、みんなが許してくれるはずないじゃん。もう出られないよ」 「でも、ここには来てるじゃない」 「それは!・・・だって葛西くんとの演奏は楽しいんだもの」 「嬉しいけど、違うよね?北野さんはトランペットから離れられないんだよ」 「それはそう・・・このことは吹部のみんなには言わないでね」 「言うつもりはないよ」  学校からこの場所まで離れているとは言っても

          クラマラス 25話 (長編小説)

          クラマラス 24話 (長編小説)

           本番の時間になった。  大丈夫。大丈夫。ちゃんと練習はして来た。  午前のリハでもしっかりできた。大丈夫だ。  葛西くんは励ましてくれた。昼の岩野先生の話だってそうだ、自分の為にやればいいんだ。  大丈夫だ。  落ち着けよ心臓。 「それでは皆さん盛大な拍手でお迎えください」 司会の方から合図。始まりの音はパーカッション。そこから順番に管楽器が出て行って音に厚みを出していく。そういう演出だ。  私たちトランペットは最後から3番目、徐々に舞台袖から人が居なくなっていく。私た

          クラマラス 24話 (長編小説)

          クラマラス 23話 (長編小説)

          葛西くんのライブから二週間。  今度は私たち吹奏楽部の番だ。ショッピングモールでの演奏会のオファーがあった。  私たちがコンクールの地区大会に行ったことがオファーのきっかけらしい。    この日の為と言うよりこれからの文化祭、定期演奏会の延長線?前哨戦?みたいな気持ちでみんなは臨んでいた。  私は不調だった。あのコンクールからずっと不調でトランペットのソロは橋本たちが分担して私には回って来ていない。  それでいい。今の私には無理だ。 「もうちょっとだね、本番」 葛西くん

          クラマラス 23話 (長編小説)

          「ここが撮影スポットです」に天邪鬼な私が行くと良からぬことを考えてしまい、人生を損している。と言うお話。(エッセイ)

          今日は彼岸花が有名な場所に撮影に行ってくれと頼まれて市内でも有数の場所へ 道ゆく人は皆スマホを持っていたり、僕と同じように一眼のカメラを持っていたり、でかいレンズをつけて意気揚々と歩いていたり・・・ どの方も楽しそう。いや、必死に撮っておられて「凄いなぁ」と思う。 何かのコンテストにでもお出しするのかな? 元来の天邪鬼な性格。 「凄いなぁ」と思う反面。「なんだかな?」と。 撮影している方に対してではなく、「ここが撮影スポットです!」と言われている場所で自分も撮影して

          「ここが撮影スポットです」に天邪鬼な私が行くと良からぬことを考えてしまい、人生を損している。と言うお話。(エッセイ)

          クラマラス 22話 (長編小説)

           ついにこの日が来た。みんなで「ああでもない」「こうでもない」と言いながら1時間のセットリスト組み上げて1週間。練習に練習を重ねてこの日が来た。  土曜日のライブは開場18:00からだが、リハーサルがあるので僕らは17:0にライブハウスにきた。大原の父親が車を出してくれて機材を運ばせてもらう。 「じゃあ6時半になったら見に来るからしっかり頼むぜ」 と言い残して大原父は去っていった。それと入れ違いに谷岡さんがやってくる。 「いやぁさっき大原さんに会ったぜ、今日はよろしく」

          クラマラス 22話 (長編小説)

          個人の感想です。の話の中に先を取るか後を取るかの選択を迫られる。(エッセイ)

          「洗濯が好き」とは言えない。 ただ、洗濯物が溜まるのは嫌いだ。 「洗濯しないと着る服がない」と言うほどミニマリストでもない。  ただ汗で汚れた衣類や水を拭いたタオル・布巾などが長時間洗濯かごの中に放置されているのは 「菌がそこに繁殖するのでは?」 と思う。どれだけ菌が繁殖するかはわからないが・・・  だから洗濯は毎日する。時間があればなんなら1日に2回、3回と洗濯する。(足拭きマットやら、タオルケットやらは別でしたい)  ずっと使い続けていた洗剤は『アタックZERO』

          個人の感想です。の話の中に先を取るか後を取るかの選択を迫られる。(エッセイ)

          クラマラス 21話 (長編小説)

           帰り道。部活終わり。九月になっても当たり前に暑いのだけど、少しずつ日が落ちるのが早くなっていると感じる。そんな事を感じるのはほとんど毎日この時間に下校してるからだろう。  最近は僕と、浦野と北野さんと筒井さんと、北野さんの後輩のこの間名前を教えてもらった山下さんと5人で帰っている。 「よかったじゃん。ライブできることになって」 筒井さんが言った。それに浦野が 「良いんだけどさぁ。その為に岩野も村井も来るんだぜ。やってらんないよ」 「うける。岩野がライブハウス?イメージで

          クラマラス 21話 (長編小説)