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恋をした。久しぶりの恋だった。結論を先に書くがフラれてしまった恋だ。
変にハッピーエンドを期待させるのも悪いので結末を先に伝えさせていただいた。
それでも構わないという人だけ読んで欲しい。

歳下の女の子だった。

ひょんなことから飲み会に行き、そのままカラオケに行くことになった。楽しい夜だった。
その夜の別れ際、彼女は笑顔でこちらに手を振った。

その時の笑顔が俺の全てを持っていった。

この世の綺麗なものを全てそこ一点に集めたような、とてつもない笑顔だった。
初対面ではなかった。が、特に会話らしい会話をした事もなく、面識で言えば今回が初めてまともに会話をしたと言っていい、その程度の関係だった。

一目惚れだった。その日からその子のことを考えなかった日はなかった。その子のことを知りたいと思ったし、俺を知って欲しいと思った。

名前と髪が綺麗な子だった。笑顔は言った通り素敵で、どこかほのぼのとした空気を纏い、しかし真摯な面も持ち合わせた、とにかく魅力的な子だった。

一度だけ2人きりで出かけた日があった。美術館に行き、映画を観て、ご飯を食べた。女の子と2人で出かけるなんて数年振りだったので、気の利いた演出とか、ロマンチックなこととか、年相応なアプローチはできなかったが、とにかく幸せだった。あれが今俺が女の子にできる精一杯のアプローチだった。横顔を見るのに夢中だった。

夜は散歩をした。最高の夜だった。いろんな話をし
た。正直内容はあまり詳細に覚えていないのだが…。ドキドキしたりホッとしたり、心臓が忙しかったことだけはよく覚えている。俺史上最高の夜だった。


それからもやりとりは続いたが、2人で出かけたのはそれっきりだった。誘いはしたが、誰か友達を介したり、断られたりと、そんなことが続いた。

薄々気づいてはいたのだ。質問をするのもこちらから。向こうから何かを尋ねたり誘ったりすることはあまりなかった。返信の頻度もまばらになってきた。いや、本当のところはわからないが、そう思えてきてしまった。

今にして思えば、距離感を測り損ねたんだと思う。向こうからしたら好きでもない男からあーだのこーだの聞かれたり誘われたり、どうしたってストレスだし煩わしい。己の恋愛経験値の無さを呪った。

結局最終的に、「ずっと友達で、遊ぶ時もみんなで」との言葉が届いた。言葉は柔らかいが、要するに拒絶である。なにせ俺は君以外の誰かと過ごす時間に何の価値も見出せないのだから。多分、ここら辺のズレも尾を引いたのだろう。

今でもちょくちょくやり取りはしている。今も好きかと言われたら正直わからない。好きなのは好きだが、恋愛感情はだいぶ薄くなってしまったと思う。

魅力的な君のことだ。男女問わず連絡なり誘いが途絶えないのだろう(勝手な推測だが)。俺はその一部にしかなれなかった。もっといろんな話をしたかった。もっといろんな話を聞きたかった。

だが、恋愛のことを考えなくなってからの日々は比較的快適だった。恋愛関係の動画なり記事なりを漁ることも無くなった。人に相談することも、こまめにLINEを開いて既読の有無を確認することも無くなった。純粋に生活が楽になった。

さて、大体書きたいことは書けたような気がする。結果的にはいい日々だったんだと思う。あんなに誰かのことを思い、考えたのは久々、なんなら初めてだったかも知れない。

君がこのnoteを読むことは万が一にもありえないので、ダラダラと書かせてもらったよ。ありがとう。君のことを思い過ごす日々は、辛く苦しいこともあったけど、なんというか、人間として大事な時間だったんだなと思う。

健康と幸せを心から願っています。

もし気が向いたら、また夜2人で散歩をしましょう。

あの夜は本当に、素敵な夜だったから。

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